法人企業の売上減少、設備投資減少
最近、景気悪化を伝えるニュースが多いですが、またもそんなニュースが流れてきました。
財務省が3月2日に「法人企業の売上減少と設備投資減少」を発表したのです。
今回はその話です。
この記事を読むと、日本の景気がどんどん悪くなるのがわかります。
また、政府はどんな対策を打てばよいのか、GDPの観点からKAZUTOYOなりに考えて書くことにしました。
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法人企業の売上減少、設備投資減少
記事の内容
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この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
法人企業の売上減少、設備投資減少
- 売上高6.4%減少
財務省の発表によると、2019年10月~12月期の法人企業統計は、全産業の売上高が前年同期比6.4%減少の3兆8257億円であることがわかりました。(金融・保険業は除く)
これは2四半期(つまり6ヵ月)連続の減少となります。
法人企業の設備投資も3.5%減少しています。
現在の売上高と将来の売上高に大きく影響する設備投資の両方が減少していることは、今後日本の景気がますます悪化することを示すものと言えます。
売上減少の主なポイント
- 消費税引き上げと中国経済の減速
財務省では、法人企業の売上高減少の原因は、消費税の増税と中国経済の減速と捉えています。
2019年10月~12月期の法人企業統計ですから、新型肺炎の影響はまだ入っていません。
2020年2月以降になると新型肺炎の影響も加わり、更に数字は悪化するものと考えられます。
産業別のポイント
- 製造業のポイント
産業別の特徴をみると、製造業ではスマートフォン部品を含む情報通信機械や輸送用機械が振るわず、6.7%の減少となりました。
- 非製造業のポイント
非製造業では卸売業と小売業での減少幅が大きいことが要因となり、6.3%の減少となりました。
財務省は消費増税による駆け込み需要の反動が大きかったと分析しています。
設備投資減少の主なポイント
- 情報通信機械で大きく減少
設備投資では、情報通信機械で大きく減少し、製造業が9.0%の減少となっています。
情報通信機械産業は、将来の日本を支える重要な産業です。
この分野で大きな減少ということは、この点でも日本の将来は明るいとは言えなくなってきているようです。
GDPで考える景気対策
- GDPは景気の良し悪しを示す指標
GDPは景気の良し悪しを示す重要な指標であり、景気を総合的に考える上でも有用です。
GDPの増え方が早ければ景気が良いことになり、逆にGDPの増え方が遅かったり、GDPが減っていたりすれば、景気が悪いとなるからです。
そこで、ここではGDPの視点で景気対策を考えていくことにします。
GDPを増加させれば、それは景気が良くなるということだからです。
GDPの構成要素
- GDPの構成要素は大きく分けて7つ
GDPの視点で景気対策を考える上で、まずは前提としてGDPの構成要素を見ていきます。
GDPの構成要素は大きくわけて以下の7つです。
- 民間最終消費支出
- 民間住宅
- 民間企業設備投資
- 政府最終消費支出
- 公的固定資本形成
- 純輸出
政府最終消費支出は政府が公共サービスを提供するために使う費用のことです。公務員の給料や教育支出、医療保険や介護保険の政府負担分への支出です。
公的固定資本形成は道路や橋等建設への投資、いわゆる公共投資のことです。
純輸出はモノやサービスの輸出額から輸入額を引いた金額のことです。ちなみに日本の2019年のGDPでは純輸出額はマイナスとなっています。
2019年の日本のGDPの円グラフを内閣府の統計資料をもとに作成しました。
次のようなります。
日本の2019年のGDPは536兆5241億円です。
そのうちの299兆円は民間最終消費支出です。日本は内需の国ということがわかります。
いまだに、テレビなどで日本は貿易立国と言う人がいますが、大きな間違いであることがわかります。
昔とは違うのです。
どの項目でGDPを増加させるのか
- 7つの中で何を増加させるのか
GDPの構成要素は7つあることがわかりました。それぞれの構成要素を増加させる方法を考えれば良いのです。
一番効果が大きいのは、GDPに占める割合が大きい民間最終消費支出です。これを増加させるのが一番効果的だとわかります。
次は2番目に割合が高い政府最終消費支出を増加させることです。
3番目は民間企業設備です。4番目が公的固定資本形成です。5番目が民間住宅となります。
次にそれぞれについてKAZUTOYOが考える対策を書きます。(5番目の民間住宅は省略します)
民間最終消費支出を増加させる方法
- 消費増税の撤廃、エコポイント
去年10月から始まった消費税10%が消費を減速させているのですから、それを撤廃するのが一番の方策です。
撤廃しましょう。
8%に戻すだけでも良いと思います。
また、2009年に行い成果もあった家電エコポイント制度も実施すると良いでしょう。今年はオリンピックもあるので(中止にならないと良いのですが)、テレビなどの買い替え需要もあるかと思います。家電製品を購入するのにお得な制度があれば、利用する人もいるのではないでしょうか。カンフル剤的な役割にもなると思います。
とにかく、お金が回っていくような対策をとることがポイントだと思います。
政府最終消費支出を増加させる方法
- 介護に関わる人の給料を上げる
普通の公務員の給料をあげても良いのですが、貯蓄に回る可能性が高く有効ではありません。とにかくお金が回っていくようにしたいわけです。
介護の仕事はやりがいはあるが、仕事がきつく、かつ給料が低いということで人材が定着しないと聞きます。
介護職の給料を高めるような対策を実施すれば、人材も集まるし、定着率も高まると思います。
将来の日本のためにもそのような政策をとっていくことが望まれます。
民間企業設備投資
- 補助金の見直し
民間企業設備投資については、企業自身の判断に任せるしかないのが現状です。経済が回っていくようになると将来の見通しも明るくなり、投資意欲も高まってくるものと考えます。
ただし、補助金については、中小企業診断士もよくかかわっている「ものづくり補助金」の補助割合が従来の企業負担1/3から1/2に今年は変更になっています。
補助金申請をして仮に通っても必要額の半分しか補助金がでないということになったのです。
となると、企業にとってもあまり魅力あるものではなくなってしまいます。企業が利用したいというような補助金制度に一時的でも良いので改正するのが良いと思います。
例えば、企業の負担率が1/5ぐらいになると仮に1000万円の設備投資でも企業の負担は200万円でよくなり、じゃあやってみようかなとなります。
補助金の見直しなども必要かと思います。
公的固定資本形成
- 公共事業は減少しています
よくばらまきなどといって、やり玉に挙げられる公共投資事業ですが、公共投資は以前と比較すると減少しています。
内閣府の統計をもとに1994年からのGDPを示すグラフを作りましたので貼っておきます。一目両全で、公共事業(公的固定資本形成)は増えていません。むしろ減っているのです。
公共事業のように、公共には役立つが儲からないものは政府がやるしかありません。道路や橋など老朽化が進んでいるのも心配です。
政府には力を入れてやって欲しいと思います。
- 長期的な公共事業が必要
建設業の社長にも話を聞く機会がありますが、単年度ではなく長期的に仕事、例えば10年程度仕事があることが分かれば設備投資をする意欲をもっています。
ですが、来年は仕事があるかわからない、というのが現状なので設備投資はリスクがありすぎてできないのです。
政府は、長期的な視点で公共事業に投資して欲しいとKAZUTOYOは思います。
そうすれば、建設業も設備投資をいろいろするようになります。そうなれば自然と経済が回っていくようになると考えます。
- 政府が借金しても大丈夫
公共事業をするにはお金がかかります。
政府がまた借金をすることになります。国債を発行しての借金です
それで大丈夫なのか、と心配する人もいます。借金で経済が破綻すると言う人もいます。でも大丈夫です。
理由についは、当ブログ『「国の借金」1000兆円超えて膨張』 で書いています。
また、そんなことを続けているとハイパーインフレになる、ジンバブエのようになってしまうという人もいます。
これも大丈夫です。むしろ今はデフレなので多少のインフレになったほうが良いぐらいです。
理由については当ブログ「中小企業診断士の視点:ハイパーインフレって何?」に書いています。
興味のある方は、ご覧ください。
まとめ
法人企業の売上減少、設備投資減少 2019年10月~12月期の法人企業統計は、全産業の売上高が前年同期比6.4%減少の3兆8257億円であることがわかりました。法人企業の設備投資も3.5%減少しています。
消費税引き上げと中国経済の減速が原因
設備投資では、情報通信機械で大きく減少し、製造業が9.0%の減少となっています。
GDPは景気の良し悪しを示す指標
GDPの構成要素は大きく分けて7つ
一番効果が大きいのは、GDPに占める割合が大きい民間最終消費支出です。次は2番目に割合が高い政府最終消費支出を増加させることです。3番目は民間企業設備です。4番目が公的固定資本形成です。5番目が民間住宅です。
消費増税の撤廃とエコポイント制度の実施です。
長期的な公共事業をするべきと考えます。 |