中小企業診断士の視点:ハイパーインフレって何?

ハイパーインフレって何?

経済の話しで、景気を良くするために国債を発行し、日本銀行に引き受けてもらおう。

そのお金で政府が仕事を作って、需要を喚起しよう。

というような話題になると、「そんなことを大々的にするとハイパーインフレになってしまうからだめだ」

という評論家がいます。

 

ではハイパーインフレってなんでしょう?

その人はハイパーインフレについて詳しく知っているのでしょうか?

 

今日は、そんなことをふと思い、ハイパーインフレについて調べてみました。

 

この記事を読むと、ハイパーインフレついてわかります。

 

中小企業診断士の視点:ハイパーインフレって何?

記事の内容

  • ハイパーインフレの定義
  • 戦後の日本のインフレはどの程度
  • ハイパーインフレになってしまう政策の例

この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。

 

ハイパーインフレの定義

  • インフレ率が毎月50%を超えること

「ハイパーインフレになってしまう」、という人を時々みかけます。でもそのような意味や定義をわかって言っている人は少ないような気がします。

ウィキペディアのハイパーインフレレーションのページによれば、米経済学者フィリップ・ケーガン氏により、ハイパーインフレは「インフレ率が毎月50%を超えること」と定義されています。そして「毎月のインフレ率50%が継続すると、一年後には物価が130倍に上昇することになる。すなわち、インフレ率13000%である。」ということだそうです。

 

毎月のインフレ率が50%ということは、1.5倍ということです。

1年後に物価が130倍になるというのも凄い話です。今日、100円で買えたものが、1年後には13000円ださないと買えないということだからです。

ハイパーインフレになると言っている人は、このことをちゃんと知って話しているのでしょうか。疑問に思ってしまいます。

 

戦後の日本のインフレはどの程度

  • 戦後の日本のインフレは年率59%です。ハイパーインフレではありません。

第二次世界大戦直後の日本はかなりのインフレだったと聞いています。ではハイパーインフレだったのか調べてみました。

これもウィキペディアの「日本のインフレーション」のページにでています。

それによると「敗戦後のインフレは年率59%であった。1947年のインフレ率は125%となった」ということです。インフレ率 年13000%がハイパーインフレですから、全然及びません。

 

ハイパーインフレーションの定義は「インフレ率が毎月50%を超えること」ということでした。

ですが、戦後の日本では年率59%です。月ではなく年に約1.6倍になったということです。これは戦後のモノがない時代でも、その程度だったのです。

戦後の厳しい経済状態のときは確かにインフレでしたが、とてもハイパーインフレと言える状態ではなかったいうことです。

 

日本でハイパーインフレになってしまう政策の例

  • 国民一人一人に一億円配れば、ハイパーインフレになります

では、日本がハイパーインフレになるには、どんな政策をすればよいのでしょう。

変な言い方かもしれませんが、戦後でも日本はハイパーインフレには程遠い状態だったのです。

日本がハイパーインフレになるには、例えばどんな失政をすればよいのでしょうか。

これもちょっと調べてみるとわかりました。

古い記事ですが、2011年にテレビでも時々みかける高橋洋一氏が書いていました。

高橋洋一氏の話

日本でも日銀券を乱発すればハイパーインフレは起こりえるが、その場合重要なのはどのくらい日銀券を発行するかだ。

 

 日銀券残高は80兆円程度であるが、これを130倍の約1京円まで増刷すれば、ハイパーインフレになる。その手法としては国民一人あたり1億円の定額給付金がある。これだけもらえれば、100円ショップが1万円ショップになっても購入者はいるだろう。2万円や20万円の給付金ではハイパーインフレにならない。

 

 ハイパーインフレ論が信用されやすいのは、あまりに金額のケタが大きく人々の想像を超え得体の知れない恐怖心があるからだ。

 

 私は財務省にいたので大きな桁数の計算になれているが、一般の人は億円以上のカネになると想像できない。ありもしない話を心配するよりも、10年以上も続く足下のデフレを心配したほうがいい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

zakzakの記事「多くの市場関係者が信じる「ハイパーインフレ」はケタ外れに非現実的な話」より

(古い記事のせいか読み込むのに時間がかかります。)

 

国民一人一人に一億円配ると、ハイパーインフレになるのです。

まあ、政府が正気である限り、現実に起こるとは言えないですが。

 

ということで、日本ではハイパーインフレはほぼ起こらないということだと思います。

 

よく「ハイパーインフレになる」と言う人は、どう考えても高橋洋一氏より経済について詳しいとは思えません。なんとなく危機感をあおるために意味もよくわからず言っているような気がします。

 

まとめ

  • ハイパーインフレの定義

インフレ率が毎月50%を超えること。これは一年後には物価が130倍に上昇することです。インフレ年率13000%になるということです。

 

  • 戦後の日本のインフレはどの程度

戦後の日本のインフレは年率59%です。ハイパーインフレではありません。

 

  • 日本でハイパーインフレになってしまう政策の例

国民一人一人に一億円配れば、ハイパーインフレになります。でもこれは現実的ではないですね。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。