日本政府の貸借対照表
中小企業診断士のKAZUTOYOは、仕事がら多くの企業の決算書を見ています。
決算書には貸借対照表が含まれます。
そういえば、日本の国の貸借対照表ってないのかな、と思って調べるとありました。
財務省が日本政府の貸借対照表(バランスシート)を作っていたのです。
ということで、今回は財務省が作った貸借対照表を見ていくことにします。
この記事を読むと、日本政府の財政状態がわかるようになります。
Contents
財務省は日本政府の貸借対照表を作っていた
本記事の内容
|
- この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
- KAZUTOYOは家電量販店店員(サラリーマン)として10年以上の経験があります。
- 中小企業診断士としての活動歴は10年以上です。
財務省が作った日本政府の貸借対照表
- 「国の財務書類」と「連結財務書類」の2種類
政府は自国の貸借対照表を平成15年度決算分より作成・公表しています。あとででてきますが、最初に政府の貸借対照表を作った人は、当時財務官僚であった高橋洋一氏です。高橋氏が作るまで、政府にそのような書類はなかったのです。
国の財務書類の種類には、一般会計及び特別会計を合算した「国の財務書類」(一般会計・特別会計)と国の業務と関連する事務・事業を行っている独立行政法人などを連結した「連結財務書類」があります。
民間の決算書と同じように考えて差し支えないと思います。
平成30年度の「国の財務書類」と「連結財務書類」は以下のようになります。
平成30年度の「国の財務書類」
平成30年度の国の「連結財務書類」
※https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2018/point.pdfより切り抜き
連結決算に日銀が含まれていない?
- なぜか日銀が含まれていない
「連結決算財務書類」を眺めていて、公債(国債)の額は違うのではないかと思いました。
政府短期証券と公債はいわゆる日本政府が発行する国債です。
確か、現在日銀がかなり多くの国債を保有していると知っていたからです。
政府にとって国債発行は負債ですが、日銀が保有する国債は資産です。
日銀は政府の子会社です。両者は一体的なものです。(日銀は資本金1億円で、政府が5500万円出資している認可法人です)
連結決算になっていれば、政府短期証券と公債は相殺されもっと少なく表示されているはずなのですが、どう見ても、相殺はされていません。
なぜだろうと感じました。
でも理由がちゃんと書いてありました。
※https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2018/point.pdfより切り抜き
ということなのです。
しかし、多分政府の要請により多額の国債を引き受け、100兆円以上の資産を抱えている子会社の日銀を連結決算に含めないのはちょっと無理があるのではないでしょうか。
最初に政府の貸借対照表を作った高橋洋一氏も、講談社のブログで以下のように言っています。
高橋氏がそう言っているぐらいですから、連結決算に日銀を含めないのは財務省に何か意図があると取られても仕方がないような気がします。
日銀が保有する国債の額
- 日銀は約500兆円の国債を保有
平成29年末と平成30年末の国債の保有者内訳は次のようになります。
平成29年末国債の保有者別内訳
平成30年末国債の保有者別内訳
※https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2018/saimu2018-1-3.pdf
※https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2019/saimu2019-1-3.pdf
より切り抜き
日銀がかなり多くの国債を保有していることがわかります。
日銀は政府の子会社で、日銀が保有する国債は資産です。何百兆円もの資産を抱える子会社を連結決算の中に含めないのは上記の理由-「 日本銀行については、国の監督権限が限定されていること、政府出資額は僅少であり、補助金等も一切支出していないことから、連結対象ではありません。」だけでは説得力がありません。
連結決算に日銀保有の国債を含めると
- 借金は500兆円以下になりました
上の政府の「連結決算財務書類」に日銀が保有する政府短期証券と公債を含めてみました。
(連結決算だと政府の負債である国債発行と日銀が保有する資産の国債は相殺されます)
すると以下のようになります。
政府の借金は500兆円未満となりました。
マスコミでは令和2年3月時点で国の借金過去最大1114兆円、1人当たり901万円と大騒ぎしていましたが、連結決算すると政府の借金は500兆円未満となります。
いつのまにか、政府の借金は実質半分以下になっています。
ただし、平成30年の資産・負債差額を見ると、マイナス27.2兆円となっています。
企業でいうと、これは債務超過ということです。
政府の徴税権評価額を含めると
- 徴税権は750兆円の価値がある
政府の貸借対照表を最初に作った高橋洋一氏によると、政府には徴税権がありそれも政府の貸借対照表に含めて考える必要があると言っています。
高橋氏によると、徴税権の価値は年50兆円×15年=750兆円程度で考えることができるそうです。
次の動画を見るとわかります。(音声注意)
この動画がアップされたのは2016年10月となっていますが、公式のものではないようなので実際いつこの会話がされたのかはわかりません。
でも、話を聞くと日本の貸借対照表(バランスシート)から見ても日本の財政には何の問題もないことがわかります。また、資産・負債差額もプラスとなり、債務超過ではなくなっています。
政府の徴税権評価額を含めた「連結決算財務書類」
- 国家財政には何の問題はない
更にKAZUTOYOが作成した上の「連結決算財務書類」に高橋氏の言う徴税権評価額を加えてみました。
日本政府の財政は健全なもので、なんの問題もないことがわかります。
プライマリーバランス黒字化の考え方が癌
マスコミや政府は借金大国日本から抜け出すめに、コロナの今はしようがないですが、プライマリーバランスを黒字にすることが絶対必要だと言っています。
つまり、国債を発行せずすべてを税収等でまかなうということです。
そんなことをしていたら、日本はどんどん貧乏な国になります。
考え方ひとつ変えるだけで状況は変化します。
政府は今後もじゃんじゃん国債を発行すべきです。そして国債で得たお金を民間にどんどん供給していくのです。そして経済を回していくのです。
ただ政府はインフレ目標を決めて、それを見ながら国債発行を調整していきます。そうすれば、まだまだ日本経済は成長するとKAZUTOYOは考えています。
もともと政府に財政問題はないのです。
まとめ
財務省は日本政府の貸借対照表を作っていた
「国の財務書類」と「連結財務書類」に2種類あります
国の「連結財務書類」には政府の子会社である日銀は含まれていません。
日銀は約500兆円の国債を保有しています。(日銀にとっては資産で政府にとっては負債です)
政府の借金は500兆円程度となります。政府の徴税権評価額を含めると政府の財政状態は更に健全といえます。 |