商工会・商工会議所の役割と特徴
中小企業診断士になると、地元の商工会や商工会議所と関わりを持つようになります。
でも、実際に関わらないと、何をしているのかよくわからないことが多いと思います。
ということで、中小企業診断士とも関わり合いのある商工会・商工会議所について今回は書きたいと思います。
この記事を読むと、商工会・商工会議所についてその姿がなんとなくわかってもらえると思います。
Contents
商工会・商工会議所の役割と特徴
記事の内容
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この記事は、複数の商工会・商工会議所の会員になっている中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
商工会と商工会議所は何が違うの?
- 商工会は町村部にあり、商工会議所は市にあります。
商工会は原則として町村部に設立された組織で、商工会法に準拠しています。
商工会議所は原則市に設立された組織です。商工会議所法に準拠しています。
行っている活動内容自体に、それほど違いがあるとは感じません。
商工会は小規模な印象
例外もあるようですが、KAZUTOYOの今までの経験だと商工会は小規模な印象があります。職員が10人未満のところも結構あります。
建物自体も小規模となっています。
商工会連合会
各県には県の商工会を束ねる機関があります。〇〇県商工会連合会です。〇〇県商工会連合会は県庁所在地にあることが多く、そこには多くの職員がいます。
中小企業診断士になって商工会の専門家として活躍するには〇〇県商工会連合会での登録が必要になります。
また、商工会連合会の専門家として登録されれば、県内の商工会であればどこでも活躍できることになります。
中小企業診断士になったら、商工会連合会の専門家として登録するようにしましょう。
商工会議所は規模が大きい
商工会議所は、市にあって町村部にある商工会と比較すれば規模は大きい印象です。
職員数10名超がほとんどではないでしょうか。
特に、大都市の商工会議所の職員数はかなり多くなります。
商工会議所連合会
各県の県庁所在地には、商工会同様商工会議所連合会があります。
ただし、商工会議所自体は独立性が高いため、専門家への登録は各市の商工会議所で個別に行う必要があります。商工会のように県の商工会連合会で専門家になったら県内の商工会であれば、どこでも活躍できるというようなことはないのです。
商工会・商工会議所の役割
- 中小企業の支援と国や県の施策の実行
商工会・商工会議所の役割は、大きくわけると3つあると考えています。
まず、ひとつは地域の中小企業や小規模企業の支援です。もう一つは国や県の中小企業施策の実行を支援する役割です。あと一つは、商工会・商工会議所が行う検定試験の実行や運営、募集等です。
それぞれについて見ていきます。
地域の中小企業や小規模企業の支援
- 地域の中小企業や小規模企業の経営支援です。
そうした事業者の相談を受け、時には中小企業診断士などの専門家をまじえて、課題や問題を解決していくことです。
例えば最近では、新型コロナウィルスの感染拡大に対して、いっしょに対応していくことです。
経営支援には、金融相談などもあります。
商工会・商工会議所は日本政策金融公庫とも連携していて、融資の相談にも対応しています。
帳簿作りがうまくできない事業所には、記帳指導なども行っています。
国や県の中小企業施策の実行を支援
- 公的な施策を実行する前線組織です
商工会・商工会議所は国や県の施策を前線に立って進めていく実行部隊でもあります。
例えば、経営革新をすすめていきましょうと国や県が叫んでも、誰かが中小企業や小規模企業との間に立って実際に進めていく人がいないと施策は実行されません。
それを実際に推進していくのが商工会・商工会議所なのです。具体的には会員企業を回って、「経営革新計画を作りましょう。専門家といっしょにお手伝いをします。」というように活動していくのです。
日商簿記や販売士等の検定試験等、各種の検定試験の実施・運営をします。
- 日商簿記や販売士等の検定試験を実施
商工会や商工会議所では、日商簿記や販売士等の検定試験も実施しています。
試験受験者の募集などもおこなっています。
商工会・商工会議所の財源は?
- 国や県からも補助があります。
商工会の財源
商工会の財源は、商工会員の会費、記帳などの処理手数料、共済事業の手数料などが40%、国・県・町の補助金が60%というところですが、近年では国・県・町の財政事情により補助金比率は年々低下しているようです。
商工会議所の財源
商工会議所の財源も会員会費と検定試験・記帳指導などの事業による収入があります。さらに、国等からの補助収入もあります。補助金の対象となるのは、小規模事業者への指導や、経営安定のための相談、地域資源を活かした事業支援、最近では消費税軽減税率に関する相談などです。
商工会・商工会議所の職員について
- 定着率は良いほう
商工会議所の職員は各市の商工会議所の独自採用になり、商工会職員は県の商工会連合会での採用になります。
商工会等の募集については、経営支援員、情報経理相談員の職種に分けているようです。
KAZUTOYOが知っている商工会議所の内部でも、記帳指導員として入所した方と経営支援員として入所した方がいます。
商工会・商工会議所は信用できる組織であり、安定しているので人材の定着率も良いようです。
規模にもよりますが、毎年決まった人数の求人があるわけではなく、誰かが退職した時に補充要員などとして、ごく少数の求人があるだけです。
大都市の商工会議所などは、入所希望者が多く採用枠が少ないということで入所するのは大変のようです。競争倍率が相当高いようです。従って、入所している若手職員は優秀な人ばかりです。
異動はないが交流はある
- 人事交流という仕組みがある
商工会議所の場合は基本的に商工会議所単位の採用で、いったん入所したらその会議所にずっといることになります。
商工会では基本商工会連合会での募集になるため、県内の異なる商工会をいろいろ経験することもあるようです。他の地域の商工会のやり方も経験してみるということでしょう。一つのところにずっといることの弊害(マンネリ化)を防止する意味もあるかもしれません。
また、商工会と商工会議所は別組織ですが、人事交流もあるように聞いています。
まとめ
商工会・商工会議所の役割と特徴
商工会は原則として町村部に設立された組織で、商工会法に準拠し、商工会議所は原則市に設立され、商工会議所法に準拠しています。
会員会費と事業収入、国などからの補助金があります。
定着率は良いほうで、人事交流の仕組みがあります。 |