中小企業診断士の視点:MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者、ステファニー・ケルトン教授来日その3

MMTの提唱者ステファニー・ケルトン教授が来日

政治・経済界を賑わしている、MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が来日していました。

 

 

 

中小企業診断士三橋貴明氏とも対談し、動画になっています。

 

今回はその第3弾対談動画のポイントを説明します。

 

第1弾は「中小企業診断士の視点:MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者、ステファニー・ケルトン教授来日その1

第2弾は「中小企業診断士の視点:MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者、ステファニー・ケルトン教授来日その2

になります。興味があればご覧ください。

 

中小企業診断士の視点:MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者、ステファニー・ケルトン教授来日その3

記事の内容

  • 政府の役割

政府の役割は予算均衡のために経済を調整するのではなく、予算を調整して経済を均衡させること

  • 経済成長をけん引する方法は2つある

公的債務を増加させること(民間が黒字になる)

民間が赤字になる(政府は黒字になる)

  • MMTはハイパーインフレを招かない
  • MMTはお金を印刷せよという理論ではない。

    (よく知らない方はそう思っているので、すぐインフレの話になる)

  • JGP ジョブ・ギャランティ・プログラムについて
  • MMTは天動説から地動説に変わったほどのパラダイムの転換

MMT対談(三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授)第3弾

    • 三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授の第3弾対談動画です。

 

  • MMTに政治的な色はない。右左は関係ない
  • MMTはお金のオペレーションについての理論である

 

  • 政府の役割

政府は予算均衡のために経済を調整するのではなく、予算を調整して経済を均衡させることが重要。

現在の日本は予算の均衡(プライマリーバランスを取ること)を重視していて、経済の均衡に力を入れていない。

日本のすることは、まずは既存の生産能力を活用すること、そして時間経過とともに投資し生産能力を向上させることです。(そうすれば経済成長することになる。)

中小企業診断士の意見

政府は経済の成長(つまり国民が豊かになること)より、政府の予算の均衡(プライマリーバランスを取ること)政策をとっている。

政府の黒字は民間の赤字になるから、この路線を継続していくと、日本の国民はどんどん貧しくなっていく。

 

政府はお金を支出し、仕事を作っていって既存の生産能力を高めていくことが重要ではないか、と思います。

 

そうすれば、それをきっかけにお金が回って豊かになると考えます。

 

  • 政治とMMTの関わりの話

「共和党の政治家は一部の裕福な人々を助けるような政策をしていて、多くの人々が助かるようなMMTのような考えた方が知れ渡ることを危険視している。アメリカの上院議員がMMTを危険視する理由は、自分たちの既得権益が危険になるから。

 

しかし、共和党が何十年も主張していることは以下のようなものです。

  1. 国が破綻するかもしれない
  2. 赤字は危険
  3. 債務は持続不可能だ
  4. 財政危機だ

 

でも共和党が政権をとっていたときは、赤字を膨らませて債務を膨らませていました。つまり政府が赤字で、民間(富裕者層)にお金が回り、黒字になっていたのです。

 

というこことは、つまり共和党は誰かの赤字は誰かの黒字になることは、わかっているのです。

 

先進国の政府支出(自国通貨建て)の推移(2001年=1)のグラフ

日本は政府支出がほとんど伸びていないことがわかります。

  • 経済成長をけん引する方法は2つある
  1. 公的債務を増加させること(民間が黒字になる)
  2. 民間が赤字になる(政府は黒字になる)

 

日本は経済成長の重荷を全部民間に追わせている、ことを表しています。

日本の政府は本来ならできたことをやっていないということです。

 

MMTはハイパーインフレを招くのか?

三橋氏の「MMTはインフレをコントールできなくなる、つまりハイパーインフレになるという批判があるが」という問いに対して

 

ケルトン教授「その確率は0です。」と言っています。

 

ケルトン教授の話

MMTは物価を制御する方法ではない。財政政策を規制することによって完全雇用を極大化してインフレを避けるという考え方です。

 

物価についてはエコノミストもちゃんと理解していない、インフレについても理解していない。

エコノミストが認めるインフレのモデルは壊れている。だからアメリカでも何十年もインフレ目標2%を達成できずにいる。日本もそう。

インフレとか物価について、我々はその仕組みはあんまり理解できていない。

 

理解しているのは、経済には限界があること、インフレが起きるときには、我々の生産能力を超えて何かやろうとすることではなくて、供給サイドでコストが上がるから物価が上がるのです。

 

MMTはお金を印刷せよという理論ではない。(よく知らない方はそう思っているので、すぐインフレの話になる)

 

著名な経済学者がMMTを脅威に感じている理由

  • 大きなテーマに関してMMTは正しいから

以前の経済学の理論よりも経済政策に関して、MMTのほうが良い実績を持っているから。

それが気に食わないから。

 

JGP ジョブ・ギャランティ・プログラム

JGP ジョブ・ギャランティ・プログラム(job guarantee program)は

MMTのインフレ関連で一番重要な特徴

 

ケルトン教授のJGPについての話

JGP(job guarantee program)はMMTのインフレ関連で一番重要な特徴です。

雇用保証は政策としてインフレを管理することに寄与するからです。

失業の状態でインフレと戦おうとする中央銀行は、適正水準の失業率でつまり失業者のバッファでもってインフレを管理しようとしています。

そうではなく、雇用されている人のバッファを使いましょうと言っているのです。

 

連邦政府は資金の提供をして、働きたいのに民間で職を見つけられないのであれば、官において公的部門で、給料を払う職を提供しますよ、ということです。

 

ですから、景気後退期で弱体化局面においてJGPを拡大する。そして(政府の)赤字が増える。それによって(民間の)所得と消費が下支えされる、そして景気後退が短期化される、そのあと景気が良くなれば、その人たちは民間に戻る、よって政府の職員の数が減る、政府の赤字も減ることになります。

つまり、非常にパワフルな新しい自動安定化装置にJGPはなるのです。

 

経済が弱い時には(政府の)赤字が膨らむ、逆だと(政府の)赤字が縮む、経済の安定化になるし、またその過程を通して物価も安定化するわけです。

 

MMTは経済のパラダイムの転換

MMTは天動説から地動説に変わったほどのパラダイムの転換

我々はどうしたらよいのか。

国民に情報を提供していく

変化はトップダウンではなく、変化はボトムアップで起こります。

 

最後に三橋氏

「日本が財政拡大、国民を救うために政府が適切なお金を使う政策へのピボット(方向転換)できるきっかけになれば良いと思っています。」

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。