中小企業診断士の視点:財政破綻の条件

財政破綻の条件

日本政府は国債の発行で多くの借金を抱えています。

このため、日本はいずれ財政破綻すると主張している人もいます。

では、国の財政破綻とは何でしょう。

また、財政破綻する国はいったいなぜ財政破綻したのでしょう。

今回は、そんなことを考えてこの記事を書いています。

この記事を読むと、財政破綻する一つの条件についてわかるようになります。

 

財政破綻の条件

本記事の内容

  • 財政破綻とは
  • 財政破綻の過程
  • 財政破綻しないある一つの条件
  • この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
  1. KAZUTOYOは家電量販店店員(パソコン売り場も担当)として10年以上の経験があります。
  2. パソコン売り場にいたこともあり、IT関連の知識も多少あります。
  3. 中小企業診断士としての活動歴も10年以上です。

 

国の財政破綻とは

  • デフォルト(債務不履行)になること

一般に国の財政破綻は、国の資金収支計画(資金繰り)が行き詰ることをいいます。

これは、国の行政活動や公共政策などの遂行のために行う、資金の調達や管理、支出などの経済活動が正常にできなくなる状態のことです。

近年は外国から借りたお金を返せない、または外貨建て国債が償還できないとデフォルト(債務不履行)となり、デフォルト状態になることを財政破綻と言うことが多くなっています。

最近では、レバノンが財政破綻しました。

そのことは当ブログ記事「ゴーン氏逃亡先のレバノンが財政破綻(デフォルト)」でも書いています。

 

財政破綻の過程

  • レバノンの例

中小企業診断士でもある三橋貴明氏の動画を視聴していて、なるほどなと思いました。

以下、レバノンの財政破綻の過程を三橋氏の動画を参考に書いていきます。

①レバノンはもともと内戦が長く継続していて、あらゆる物資が不足し、外国からの輸入に依存していました。

 

②国内には生産能力がなく、輸出するものもなく外貨を得る手段もありませんでした。ずっと貿易赤字だったのです。

 

③外国から物資を輸入し、それを国民は消費して生活をしていますが、輸入代金の支払は外貨に両替して行わないといけません。

 

④レバノンではレバノンポンドが通貨として流通していますが、輸入代金の支払いのため、レバノンポンドがどんどんドルに両替されていくことになります。(相対的にドルの価値が上がってくことになります)

 

⑤反対にレバノンポンドの価値が低くなり、レバノンポンドの為替レートはどんどん下落していきます。

 

⑥この結果、レバノン国内では外国からの輸入品の市場価格が上昇することになります。(レバノンポンドの為替レートが下落していくから)

 

⑦レバノン政府は輸入品価格の上昇するのを抑えるため、為替レートを固定化します。でも為替レートの固定化はレバノン政府が宣言すればできるわけではありません。

 

⑧為替レートを維持するために、レバノンは手持ちのドルでレバノンポンドを買い戻すことをやり続けることになります。でないと為替相場を維持できないからです。

 

⑨レバノン政府は手持ちのドルがなくなると、ドル建て国債を発行してドルを調達します。ドル建て国債でドルを調達してレバノンポンドを買い戻すことをまたやり続けることになります。

 

⑩でもドル建て国債の償還日にはドルで返済する必要があります。

 

⑪レバノンはドルを刷れるわけではないので、ドルを調達できないと終わりです。

 

⑫そしてついに今年の3月にレバノンは12億ドル(1260億円)の調達ができなくなり、財政破綻したのです。

 

参考とした三橋貴明氏の動画

 

財政破綻しないある一つの条件

  • 生産能力があること

レバノンでは内戦が長く続き、国内で必要な食料品や工業製品なども輸入に頼ることが多かったようです。

自国にはたいした生産能力がなく、商品・サービスを外国に輸出して外貨を稼ぐということもできませんでした。

この結果、貿易赤字が継続することになりました。

外国からの輸入代金は外貨で支払う必要があるのですが、外貨の調達方法の選択肢が少なく、結局は外貨建て国債を発行してドルを調達することになったのです。

 

今年の3月には外貨建て国債の償還期日になったのですが、ドル調達ができない事態となり、経済破綻したのです。

 

レバノンの財政破綻の過程を知ると、国内の生産能力がいかに重要かがわかります。

生産能力というのは、工業品や農業品などを国内で作ることができる能力のことです。多くの工場があったり、広大な農地があることです。

 

レバノンの国内に十分な生産能力が備わっていれば、財政破綻することはなかったかもしれません。

 

つまり、国内に十分な生産能力がないと、輸入に頼るとことなり、その支払のために外貨を調達しないといけません。レバノンの場合、毎年貿易赤字で、外貨を蓄えておくことはできませんでした。

手持ちの外貨がないと外貨を借りてくることになりますが、借りたものは返す日が来ます。

返せないと財政破綻というわけです。

国内に十分な生産能力を持つことがいかに大切かということがわかります。

ゴーン氏逃亡先のレバノンが財政破綻(デフォルト)

2020年3月9日

まとめ

財政破綻の条件

  • 財政破綻とは

デフォルト(債務不履行)になること

  • 財政破綻しないある一つの条件

十分な生産能力があること

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。