MMTの提唱者ステファニー・ケルトン教授が来日
現在、政治・経済界を賑わしている、MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が来日しました。
中小企業診断士三橋貴明氏とも対談し、動画になっています。
今回は、その対談内容についてポイントをお伝えしてきます。
Contents
中小企業診断士の視点:MMT(モダン・マネタリー・セオリー:現代貨幣理論)の提唱者、ステファニー・ケルトン教授来日 その1
記事の内容
MMT対談(三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授)今回の話のポイント
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MMT対談(三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授)
三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授の対談動画です。
MMT対談今回の話のポイント
1.MMTのポイント
- 政府と民間、家計は異なる
日本政府が貨幣を発行していること、この点で民間や家計とは異なる。つまり貨幣の発行者と利用者とは異なる。
だから発行者がお金がなくなることはない。ありえない。
円を経済に循環させて、お金を使わせてから、初めて税金をとることができる。
- MMTは順序替えをする
まず、政府が支出する。それから徴税する(徴税が先ではない)
2.銀行の役割
銀行はお金を誰かから借りてから、お金を貸すのではない。
銀行は融資する時、何もないところからお金を作っている。
3.日本はデフォルトしない
- 自国通貨建ての国債を発行する政府はデフォルトすることはない。本質的に可能性は0である。
国債を発行しすぎるとデフォルトになるかも、と心配する人もいますが、そんな心配は無用ということです。
日銀も前から、そのことは公にしている、とのことです。
ユーロ圏のギリシアはユーロを発行できないので、破綻する可能性があるが、日本は円を発行できるので、破綻リスクはない。
4.インフレ制約
政府は無限に貨幣を発行できるが、現実的な制約はある。インフレ制約である。
需要と供給によって制約される。
5.経済の均衡が大切
政策決定者が予算の結果を目標とするのは、間違い。適正な国家政策の立案は経済全体の均衡を図ること。予算均衡ではない。マクロ経済の均衡。日本のプライマリーバランス(予算の均衡)政策は間違い。
インフレ制約はあるが、潜在能力(生産能力、生産性)の極大化を目標とすること。
- 均衡予算の定義をやり直したい
予算は均衡していないかもしれないが、経済は均衡しているかもしれない。そして目標は経済の均衡である。
経済均衡を達成をするために、予算不均衡が必要だったら、それは予算不均衡を均衡と呼ぶべきである。
6.税金の役割
課税の意味は引き算。支出する一部をマイナスしインフレにならないようにする。課税は総需要の調整役、富と所得の再分配の役割等がある。
7.MMTのOMF (overt monetary financing、「税」にも「国債」にもよらない政府支出
三橋氏が動画の7:40あたりで言っているOMFについては、当ブログの
「中小企業診断士の視点:国は金を集めてから使うのか、使ってから集めるのか?」の国の資金調達の仕組みのところで説明しています。ご覧ください。
このままだと日本は貧困化
MMT対談(三橋貴明氏とステファニー・ケルトン教授)を視聴していると、今の日本の経済政策は全く間違っていると言えます。
今の経済政策は日本の貧困化を招く政策といえます。
ちょっと自分でも調べてみましたが、日本は戦後一貫して国債が積みあがっていますが、金利はどんどん下がっています。それは誰もが知っていることです。破綻どころではありません。
国債は民間貯蓄が担保となっていて、国債残高がその貯蓄額を越えたら国債の返済が不能となり、デフォルトするという話を聞いたことがありますが、それはなんの根拠もないことのようです。
MMTの考え方は、いままでの経済学の常識を超えたものです。
私は、全く抵抗はありませんが、多くの関係者、経済学者にとっては、今までの考え方を否定されたようなもので、受け入れがたいものかもしれません。
でも、従来の考え方に固執するのではなく、経済の本来の目的を思い出し、日本の国民が豊かになる方法を考えて、政策を実行していって欲しいと思っています。