中小企業診断士の視点:中小企業の財務構造について

中小企業の財務構造ってどうなの?

中小企業診断士を目指して勉強中の方や、これから目指すことを考えている方は、中小企業の財務内容については、まだよく理解していないのではないでしょうか。

 

中小企業の財務構造について、知りたい方もいるかと思います。

そんな方の要望に応えたいと思います。

 

私は中小企業診断士として活動してきて、多くの中小企業の決算書を見てきました。

そんな経験から、今回は中小企業の財務構造の特徴について書いていきたいと思います。

この記事を読むと、中小企業の財務構造の特徴がわかるようになります。

あくまで、私の経験の中からの話なので、全ての中小企業にあてはまるわけではありません。

 

ご了承ください。

 

中小企業診断士の視点:中小企業の財務構造について

記事の内容

  • 資本構造(3つあります)
  • 収益構造(5つあります)

私は、中小企業診断士として数多くの中小企業の決算書を見てきました。その経験をもとにこの記事を書いています。

中小企業の資本構造

①資本が少ない 

②借入金が多い

③長期借入金は身内

①資本が少ない

  • 資本が少ない。自己資本比率も低い

中小企業は、資本金がまず多くありません。500万円とか1,000万円が多いです。それでは足りないので、借入金という他人資本でまかなっている会社が圧倒的に多いです。

自己資本比率も低く、大企業が100とすると中小企業はその半分の50程度とかなり格差があります。

ごくまれに、借入金がほとんどない会社がありますが、まれにしかないので思わず目を疑ってしまいます。

そのような会社は、「社長が銀行から金を借りるのが嫌いだから」、なんていう理由だからということもありました。

 

②借入金が多い

  • 短期借入金、長期借入金が多い

自己資本が少ないため、短期借入金、長期借入金という他人資本で不足分を補っている中小企業が多くあります。年の売上が数億円なのに、億を超える長期借入金を抱えている会社もあります。

そのような会社は毎月の元本返済と利子の支払いのため、かなり厳しい経営に陥っています。

 

③長期借入金は身内

  • 期借入金は身内から、というのをよく目にします。

たまに、長期借入金が多く、3ヵ年の決算書を見ても、まったく減っていない会社もあります。

理由は身内からお金を借入れて、長期借入金にしているからです。

そのような会社は多くあります。

身内からなので、返済圧力も弱いということで、返済せずに決算書にずっと記載されているのです。

 

中小企業の収益構造

①売上が過小

②売上総利益率は高い

③売上高対営業利益率は低い

④売上高対経常利益率も低い

⑤外注費が多く利益がでない会社もある

①売上が過小

  • 売上が大企業と比べて少ない

これは当然と言えば当然です。まず、利益の元となる売上が少ないのが中小企業の特徴です。

 

②売上高総利益率は高い

  • 売上高総利益率は比較的高い傾向にあります

売上そのものは少なくても、売上総利益率はそれほど低いわけではありません。

私は、小売業やサービス業等、建設業の決算書を見る機会が多いですが、そう感じます。

私が以前勤めていた家電量販店の売上高総利益率はおそらく20%から25%でした。それと比べれば低いとはいえません。

 

③売上高対営業利益率は低い

  • 経費が多く売上高対営業利益率は低い。特に人件費が多い。

中小企業はもともと売上自体が多くありません。売上総利益率がそれほど低くなくても売上総利益額の絶対額は多くないのです。

そのため、売上総利益額から営業経費を差し引くと、残りは多くありません。

売上高対営業利益率が低いのです。

また人件費の比率が高いのも特徴です。

 

決して多くはない売上をあげるのに、意外と多くの人を使っているが中小企業です。

要するに、大企業と比べると効率が悪い経営なのです。

 

④売上高対経常利益率も低い

  • 借入金の支払い利息が利益を圧迫しています

多額の長期借入金を抱えている中小企業が多く、そのような会社は毎月の支払利息も結構な金額となります。

経常利益は営業利益から営業外損益をプラスマイナスしたものです。営業外損益の損金は、中小企業の場合ほとんど支払利息となります。

 

多額の長期借入金を抱えている中小企業は、支払利息が多く経常利益が少なくなります。売上高対経常利益率も低くなります。

 

⑤外注費が多く利益がでない会社もある

  • 売上高が多くても外注費が多額で儲けがない会社もある

建設業などで、売上高が多くても儲かっていない会社もあります。そのような会社は外注費が多額であることが多いです。仕事を請け負っても自社だけでは対応できないと、外注を依頼するようになります。

 

建設業などでは、昔からの慣習があり、相場金額があります。こちらの都合を重視した価格では外注に出すことはできないのです。ですから、外注に出すと売上自体は上がりますが、あまり儲からないのです。

 

売上が結構あるのに、儲かっていない原因を探したら外注費が多額であった、ということもよく目にしました。

 

中小企業診断士の視点:中小企業の財務構造について、のまとめ

中小企業の資本構造

  • 資本が少ない

資本が少なく自己資本比率も低いのが中小企業の特徴の一つです

  • 借入金が多い

短期借入金、長期借入金が多いのも多く目にします。

  • 長期借入金は身内

長期借入金は身内から、というのをよく目にします。

 

中小企業の収益構造

  • 売上が過小

当然ながら売上が大企業と比べて少ないです

  • 売上高総利益率は高い

売上高総利益率は比較的高い傾向にあります

  • 売上高対営業利益率は低い

経費が多く売上高対営業利益率は低く、特に人件費が高い傾向にあります。

  • 売上高対経常利益率も低い

借入金の支払い利息が利益を圧迫しています。

  • 外注費が多く利益がでない会社もあります

売上高が多くても外注費が多額で儲けがない会社もあります

   

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。