中小企業のBCP
東北大震災を体験した中小企業が立ち直っていくビデオを見ました。
立ち直っていく過程で中小企業が経験したことや、その教訓を生かして災害に対してどのような準備をしていけばよいのかを考えさせられる内容となっていました。
今回はその話の前編です。
この記事を読むと、東北大震災で実際の中小企業が経験したことなどがわかり、中小企業がBCPを作成する際のヒントが何か得られると思います。
Contents
中小企業診断士の視点:東北大震災の経験で学ぶ中小企業のBCP前編
記事の内容
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この記事は中小企業のBCP作成支援の経験もある中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
1.中小企業は特に人材が大切
- 中小企業には代わりの人がいない
大企業では、経営者がいなくなっても代わりを務める人材がいるのが普通です。
ですが、中小企業は人材が少ないのです。
経営者の代わりを担う人材もいないことも多いのです。ですから、後継者の育成を進めていくことが必要なのです。
また、中小企業でも特殊な技能がないと対応できない仕事もあります。その技能を持つ人がいなくなってしまうと、仕事が進まないこともあります。
人材の育成も必要です。
その上で結局は、まず経営者や従業員の命を守ることを第一に考えることです。
避難の準備や避難訓練をしておくことが大切です。
2.従業員にはいったん退職してもらう
- 従業員には退職してもらって失業手当で生活してもらう
東北大震災では、会社そのものがなくなってしまった場合も多くありました。
再建できたとしても、時間はかかり、その間営業はできないのです。当然売上もなくなります。従業員への給料も払うことはできません。
苦渋の策で、従業員にはあとで再雇用するという約束で、いったん退職してもらって、失業保険で生活してもらうようにしていた中小企業もあります。
これからBCPを作る会社は、そのような方法も想定して計画に入れておく必要があるかもしれません。
3.データの消失が大問題
- データが消失してしまうとお手上げ
最近では、中小企業も様々な重要な情報はコンピューターに保存しています。
実際の業務を行うにも、データの処理にもコンピューターが使われます。
東北大震災では、業務で使っていたパソコンが全部消失してしまった事例がありました。
そうなると、業務そのものができず、支援機関もなかなか支援できないということになります。
情報やデータのバックアップも非常に大切ということです。
4.金融機関は補助金申請が受理されないと融資しない
- 金融機関はボランティアではない
大震災にあうと、すぐに問題になるが資金繰りです。金融機関からはすぐにでも融資をして欲しいと願っても、そうは行かないのが普通です。
金融機関は基本倒産するかもしれない会社に融資はしません。
補助金申請をして、それが受理されてはじめて金融機関は融資に応じてくれるようになります。
会社がなくなってしまって、何の担保もないところに金融機関は融資しないのです。
資金繰りのめどが立たずに再建をあきらめた中小企業も多かったはずです。
東北大震災では、最終的に国が全ての企業を助けるという判断をして補助金をだすようになったのですが、それは大震災から8ヶ月後のことだったのです。
中小企業はそんなに待てないのです。
5.組合を作ると補助金をもらいやすくなる
- 単独より複数社
中小企業が一社だけで、支援を訴えてもなかなか思うようにいかない場合が多いようです。
それでも、組合を作って組合として支援を受けることを考えるとうまくいくこともあります。
数は力ということです。
でも、何かあったら、そのとき組合を作ろうとなると時間がかかります。あらかじめ他の企業と協力して組合を作っておくことも考えると良いと思います。
6.全額補助ではない
- あくまで補助金です
大震災の時、国の制度で補助金がもらえることがあります。でも中小企業がもらえる補助金はあくまで補助金です。全額ではないのです。例えば再建に1億円必要でも、1億円もらえるわけではないのです。
東北大震災の場合は、補助額が3/4でした。
ですから、上の場合だと7500万です。
2500万円は自分で都合をつける必要があるのです。
やはり、それなりの蓄えはあらかじめ必要なのです。
中小企業診断士の視点:東北大震災の経験で学ぶ中小企業のBCP前編のまとめ
中小企業には代わりの人がいない
従業員には退職してもらって、当面失業手当で生活してもらう方法で乗り切った企業がある
中小企業でもデータが消失してしまうとお手上げ
金融機関はボランティア機関ではないのです
自社単独より複数社集まって協力すると力もでるのです。
あくまで補助金です |