中小企業のBCP
東北大震災を体験した中小企業が立ち直っていくビデオを見ました。
立ち直っていく過程で中小企業が経験したことや、その教訓を生かして災害に対してどのような準備をしていけばよいのかを考えさせられる内容となっていました。
今回はその話の後編です。
この記事を読むと、東北大震災で実際の中小企業が経験したことなどがわかり、中小企業がBCPを作成する際のヒントが何か得られると思います。
Contents
中小企業診断士の視点:東北大震災の経験で学ぶ中小企業のBCP後編
記事の内容
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この記事は中小企業診断士として中小企業のBCP作成の経験を持つKAZUTOYOが書いています。
1.最初は借入でスタート
- 再建は借入から
震災があって、国が動いて補助金がもらえるようなったとします。仮に中小企業が補助金の申請をして、受理されたとしても補助金を実際にもらえるのは再建が終わったあとです。
一般に補助金は実際に使った分を、あとから支払うという制度です。
では、その間はどうするかというと、それは金融機関からの借入や自己資金で資金繰りをなんとかしていかないといけないのです。
補助金をあとで受け取れるということになれば、金融機関は融資をしてくれるようなります。
再建はまず金融課機関からの借入でスタートというのが、東北大震災で多くの中小企業が直面したことです。
2.再建のための建設資材が高騰
- 震災後は建設資材が高騰します
これは、東北大震災時に実際にあったことです。家が流され、会社も壊滅状態であっても、しばらくすると再建の気運になっていきます。まわりが一斉にそのような動きになるのです。
すると建設資材の需要が一気に高まることになります。
モノがないので、価格が高騰することになります。
KAZUTOYOも当時、東北地方とは遠く離れた県の建設会社の社長に、「東北大震災の影響で建設資材が高騰しているので、原価が上がって利益が出ない」という話を聞きました。
当時は東北地域だけではなく、全国的に建設資材の価格が高騰していたのです。
ですので、被災した中小企業が補助金申請した再建の費用よりも実際の再建費用はかなり高くなってしまったということになってしまったのです。実際には当初の予算の3割~4割増しの費用がかかったと答えている中小企業の経営者もいます。
補助金というのは、申請金額を超える金額をもらうことはできません。
あらかじめ、建設資材の値上がりを想定しておくことも必要だということです。
3.建設業者に仕事が集中し、再建の着工が遅くなる
- 再建着工が遅くなる
いろいろな課題を解決し、中小企業の補助金の申請も受理され、金融機関から融資も受けられるようになったとしても、また新たな問題が発生します。
建設業者に仕事が集中し、再建の着工が遅くなるのです。
なかなか再建の工事が始まらないという事態になります。
この時期、中小企業の経営者はもんもんとした日々を過ごすことになります。工事は自分でできるわけではないので、待つしかないのです。
結局完成は、予定より相当遅れたという中小企業もありました。
早く事業が再開できなければ、お客様も離れてしまうという不安も重なり、精神的にきついものがあったようです。
早期の事業再開のために地元の建設業者ではなく、遠方の建設業者に再建の工事を依頼していた中小企業もありました。
いざとなったら、震災被害が及ばない他地域の建設業者の利用も視野に入れておくと良いでしょう。
4.同業他社との連携も考える
- 顧客離れを防止するため
事業が長期間再開できないと、それまで取引のあった会社も手を引くようになります。
そうならないためには、同じ地域ではない同業他社と提携しておき、お互いに何かあったら協力するという取り決めをしておくことが望まれます。
いざとなったら協力してもらい、自社でできない業務を行ってもらうようにします。少しずつでも事業が再開できるようにしていきます。
ただ、そのような連携は、時間をかけて行う必要があります。良好な関係を築いていくには時間がかかるのです。
日頃から、他社との連携を考えて動いておく必要があります。
5.原材料の入手先は他地域も考慮
- 近隣からのみの原材料調達だとリスク
原材料の調達に近場にある会社だけを利用していると、震災時それはリスクです。
震災にあった時、同じように被災している可能性が高いからです。ということは自社が早期に復旧できたとしても、原材料が調達できないという事態になる可能性も高いのです。
原材料が調達できなければ、事業は再開できません。
ですので、原材料の入手先は代替手段として遠方の地域も考えておく必要があります。
あらかじめ緊急事態になった時のことを考えて、備えておくことが必要です。
6.従来の借入金を一時棚上げする制度があったことを知らなくて苦しんだ中小企業があった
- 情報入手が重要
激甚災害時、企業のいままでの借入金を一時的に棚上げする制度がありました。東北大震災では多くの中小企業はその制度を活用しました。
ですが、その制度のことを知らずにいた中小企業がありました。
その中小企業は震災で会社の仕事がストップしてしまっていても、いままでの借入金の返済をやめてしまうわけにはいかず、資金繰りに苦しんだのです。
なぜそうなってしまったのかというと、経営者がそのような制度があることを知らなかったからです。
情報を得ることができないと、損失が拡大することがあります。情報入手がいかに大切かということです。
情報を入手するためには、インターネットの活用や地元企業の集まりに積極的に参加することなどが必要です。
まとめ
再建はまず借入でスタートというのが、東北大震災で多くの中小企業が直面したことです。
震災後は建設資材が高騰します
建設業者に仕事が集中し、再建の着工が遅くなります。他地域の建設業者の利用も考えるとよいでしょう。
同じ地域ではない同業他社と提携しておき、お互いに何かあったら協力するという取り決めをしておくことが望まれます。
原材料の調達に近場にある会社だけを利用していると、震災時それはリスクとなります。
情報入手がいかに重要かです。インターネットでの情報収集もポイントです。 |