電波の共同利用で5Gを推進
たまった新聞を眺めていたら、「電波の共同利用で5G推進」という見出しが目に入りました。
総務省の有識者会議で、複数の事業者が、同じ周波数の電波を共同利用できる仕組みづくり求める提言をまとめたとのことです。
年内にも正式決定される見込みとのことです。
これにより、場所や時間帯によって使用されてない電波の周波数を、今後普及すると考えられる「5G」に利用できるようになるようです。
今回は、「電波の共同利用で5Gを推進」についての話です。
この記事を読むと、5Gのことや電波の基礎的なことが理解できるようになります。
Contents
中小企業診断士の視点:電波の共同利用で5Gを推進
記事の内容
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この記事は、家電量販店勤務経験があり、アマチュア無線2級の資格をもつ中小企業診断士KAZUTOYOが書いています。
1.電波は貴重な資源
- 電波は有限で貴重な資源
利用できる電波は貴重な有限な資源です。電波は有限であることを理解しておく必要があります。
テレビのデジタル化は従来のアナログテレビよりも鮮明な画像を実現できるというメリットもあったのですが、有限な電波を効率的に利用できるというメリットもありました。
アナログ方式だと、同じ情報を送信する場合、デジタルと比べて広い周波数帯域が必要になってきます。デジタル化にすることで、電波を節約できるようになったのです。
今後、時代が進むにつれて電波はますます貴重になっていきます。電波は貴重な有限な資源で、その電波を節約して使うのにデジタル化は有効な方法であったと言えます。
2.人気のある周波数帯域
- 携帯などで利用しやすい周波数帯域があります
電波は周波数によって特性が異なります。
電波は周波数によって特性が異なります。例えばラジオのAM放送は500~1000Khz帯域で、AMラジオは本体にアンテナが内蔵されていて、それで聞こえます。FM放送は80Mhz前後の周波数帯域で、しっかりしたアンテナを立てないと良く聞こえません。FM放送が聞けるラジオには伸縮式のロッドアンテナがついていることは、ご存知かと思います。
電波の中でも携帯端末等で使いやすい周波数帯域があって、その電波の周波数帯域を「プラチナバンド」と呼んでいます。プラチナのように貴重ということです。スマホ等はそれらの帯域の周波数帯域の電波を使っていることが多いです。
プラチナバンドは電波の周波数帯域 (700MHz-900MHz帯)のことで、電波が遠くまで届きやすく、大きな建物があってもまわりこむので、都心のビル街や室内でもつながりやすいという特性があります。スマホなどの端末に最適なのです。
これらの周波数帯域は人気があって、通信事業者間で取り合いになっているのが現状です。
3.有効利用する方法
- 電波を共同で使う
電波は事業者ごとに個別の周波数を割り当てて使うのが原則です。これはテレビやラジオの放送局を想像してもらえば、理解してもらえると思います。NHKはNHKの周波数があり、TBSはTBSに割り当てられた周波数で放送をしています。
ですが、今回の案では複数の事業者が共同で電波を使えるようにしています。
複数の事業者の電波運用計画を調整するシステムを導入し、5Gの電波を扱う携帯電話会社が別の事業者の周波数を使えるようにするというものです。
場所や時間帯によって使用されてない電波の周波数の「空き」を、5G向けに有効利用できるようにするという取組の提案です。
4.5Gの特徴
- 高速・大容量、低遅延、多接続
まず4Gや5GのGですが、これはGeneration(世代)の頭文字のGです。
5Gは5世代ということです。
LTEというのもよく聞きますが、LTEは4Gから5Gへの橋渡し的な規格でLong Term Evolution」(長期的進化)の頭文字を取った略称です。実質4GとLTEは同じものとして考えても良いようです。
そして、今よく使われている4Gは、50Mbps~1Gbpsの通信速度です。
5Gは4Gに比べて通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍となっています。
5Gの特徴は高速・大容量、低遅延、多接続ですが、もう少しわかりやすくいうと以下のようになります。
- 通信速度が今の20倍~100倍になる
- 多くの機器との同時接続が可能となる
- ギガが使い放題になるかもしれない
- 通信速度が速くなることでバッテリーも長持ちする
- 長い映画も数秒でダウンロードできる
- タイムラグも10分の1になる
車の自動運転なども、5Gにならないと難しいとされています。僅かなタイムラグ許されないからです。5Gになると実証実験も進展するはずです。
5.どう変わるのか
- 個人生活だけでなく、産業分野も進化する
5Gが普及すると、それは個人利用だけでなく、先ほども書いたように車の自動運転や建設機械の遠隔操作など産業分野の通信にも利用されることが考えられます。
最近「IoT(Internet of Things)」という言葉が使われるようになってきています。インターネット経由でセンサーと通信機能を持った機器をつなげて遠隔操作をしたり、遠方の情報を集めてコンロールしたり、情報を生かすようなことを意味しています。
今でも様々な分野で利用されていますが、このような技術を使った機器や装置がさらに使いやすくなると考えられます。
(例えば、自宅にネットワークカメラを設置し、ペットや赤ちゃん・高齢者の様子を見守る「見守りカメラ」などは既に使われています。価格もそれほど高くありません。このようなものがもっと高度なものに進化することが考えられます。)
ネットワークカメラ
6.違法機器の排除
- 現状は違法の機器が販売されています
これは、5Gとは関係がないですが、この提言の中には、日本の認証を受けていない海外製品の排除も盛り込まれているようです。
電波を発射する無線機器を日本国内で使う場合、「技適マーク」がついているものでないと電波法違反になる可能性が高いのですが、違法製品が普通に販売されているのが現状です。
技適マーク
無線機器はスマホやトランシーバーやアマチュア無線だけでなく、通信端末も該当します。
最近は、「技適マーク」がない海外製品をアマゾンや楽天といったネット通販で販売しているのをよく見ます。
「技適マーク」がないのは、日本国内で使うと電波法違反となります。したがってこれらの「技適マーク」がない商品が流通しないように、通販サイト事業者に対して対応を呼びかることとしています。
まとめ
利用できる電波は貴重な有限な資源です。電波は有限であることを理解しておく必要があります。
携帯などで利用しやすい周波数帯域があります。プラチナバンドと言われています。
今回の案では複数の事業者が共同で電波を使えるようにしています。
高速・大容量、低遅延、多接続が特徴です。
5Gが普及すると、それは個人利用だけでなく、車の自動運転や建設機械の遠隔操作など産業分野の通信にも利用されることが考えられます。
「技適マーク」がないのは、日本国内で使うのは電波法違反となります。したがってこれらの「技適マーク」がない商品が流通しないように、通販サイト事業者に対して対応を呼びかることとしています。 |