職場環境を良くしてモチベーションが高まるわけではない
中小企業診断士の勉強をしていると、なるほどと感じることがあります。KAZUTOYOにとって「動機づけ・衛生理論」はそのうちの一つです。
一つ賢くなった、と自分ながら思いました。
今日はその、「動機づけ・衛生理論」の話です。
この記事を読むと、「動機づけ・衛生理論」について理解できるようなります。
Contents
中小企業診断士の視点:動機づけ・衛生理論
記事の内容
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この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
動機づけ・衛生理論とは
①動機づけ・衛生理論とは何? ②動機づけ要因(満足要因)とは具体的に何? ③衛生要因(不満足要因)とは具体的に何? |
動機づけ・衛生理論とは何?
- 動機づけ・衛生理論はモチベーション理論の一つ
動機づけ・衛生理論はハーズバーグが考えた理論です。
仕事をやる気にさせる動機づけ要因は満足要因ともいいます。そして仕事をする上で不満に感じていることを不満足要因と言います。
不満足要因と、動機づけ要因である満足要因とは異なり、不満足要因を解決できても、それでやる気が起きるかというと、それはそうでもないという考え方です。
不満足要因は、健康を促進するよりも、病気を予防する役割をもつ衛生に似ていることから衛生要因と名付けられました。
簡単にいうと、職場環境で従業員が不満になっていることを改善しても、それで従業員のやる気ががぜん高まるかというと、そういうわけではないということです。
不満の解消=動機づけ(やる気がでる)、ということではないのです。やる気を出させるためには、やる気が高まるような別の方策が必要という考え方です。
例えば、職場にエアコンが入ってなくて夏は暑く、冬は寒い職場だったとします。当然従業員はそのことについて非常に不満に思っていたとします。
それを見た社長が、職場にエアコンをつければ従業員の不満は解消され、バリバリ仕事をしてくれるはずだと信じて、エアコンをつけます。
従業員は喜ぶかもしれませんが、かといって仕事のやる気がものすごく高まるかというと別にそういうわけではない、ということです。不満足要因の解消と満足要因(動機づけ要因)とはそれほど関係がないといことです。
動機づけ要因(満足要因)とは具体的に何?
- 達成や承認等が満足要因です
ハーズバーグは、人間には動物としての痛みを回避したいという欲求と、人間として成長したいという2つの基本的な欲求があるとしています。
痛みを回避したいという欲求と人間として成長したい欲求は、それぞれ別個のもので別個の要素によって充足されるとしています。
不満足要因は痛みを回避したいという欲求に関連し、満足要因(動機づけ要因)は人間として成長したいという欲求に関連します。
どちらか片方の欲求を満たしても、もう片方の欲求が満たされることはありません。
そして、動機づけ要因(満足要因)とは具体的にどんなものがあるかというと、
- 達成:仕事に達成感がある
- 承認:職場で認められている
- 仕事そのもの:おもしろくやりがいのある仕事をしている
- 責任:責任ある立場で仕事ができている
- 昇進:仕事の出来が良ければ昇進のチャンスがある職場にいる
などです。
このような職場であると、それはやる気が出るということです。
衛生要因(不満足要因)とは具体的に何?
- 会社の政策や給与などです
これらの欲求を満たすことができれば、不満はなくなります。ですが、それでやる気がでるかというとそういうわけではありません。
衛生要因(不満足要因)は
- 会社の政策:(例)社長が金儲けのことしか考えていない。従業員など代わりはいくらでも良いと思っている。
- 監督技術:(例)上司がアホ、頼りにならない
- 給与:給与が低い
- 対人関係:(例)職場にそりの合わない人が多い、コミュニケーションがない
- 作業条件:(例)職場が暑い、寒い、臭い
このような職場であると、職場に対して不満をいつも抱えたまま仕事をすることになってしまいます。
動機づけ・衛生理論を職場に応用する方法
①動機づけ要因(満足要因)と衛生要因(不満足要因)を区別する ②動機づけ要因(満足要因)を満足させる施策を実施する ③衛生要因(不満足要因)を満足させる施策を実施する |
動機づけ要因(満足要因)と衛生要因(不満足要因)を区別する
動機づけ要因(満足要因)と衛生要因(不満足要因)の違いを理解することが必要です。
動機づけ要因(満足要因)と衛生要因(不満足要因)の違いを理解し、それぞれの要因の改善につながる施策を別に考えていくようにします。
エアコンの例をさきほど書きましたが、両者の違いを区別して実施している企業はそう多くはないと感じます。
中小企業等は特にそう感じます。
職場環境が良くなっても、それだけでやる気がでるわけではないということを理解しておくことが必要です。
社員食堂の食事がまずいという不満があることに社長が気がついて、おいしい食事をつくる業者に交代しても、それで従業員の仕事に対するモチベーションが高まるかというと、そんなことはないのです。それは誰しもわかることだと思います。
動機づけ要因(満足要因)を満足させる施策を実施する
- 例えば、適正な人事考課や適性な組織活性化施策
適正な人事考課
従業員のやる気を削ぐ事例として、適正な評価が実施されていないことが挙げられます。
仕事はできないが、上司にこびへつらい調子の良いだけが取り柄の人が出世していくのを見るとやる気がなくなります。
そのような問題を解決する手段として適正な人事考課の実施が挙げられます。
人事考課は上司が部下の食遂行能力や勤務態度、業績を評価することです。この人事考課が適正に行われていないとやる気を削がれます。この会社でいくら頑張ってもしようがない、と思ってしまうからです。
人事考課の目的は、適正な昇給・賞与の査定、適正な昇進・昇格の仕組みなどが挙げられます。
頑張る人は適正に評価され、昇給・賞与・昇進・昇格に反映されるとなれば、やる気になります。
組織活性化
組織活性化は従業員の意欲を引き出すことによって、組織に活力を与え、組織活動を活発にすることです。
目標管理制度や小集団活動なの手法がよく知られています。
皆で、企業の目的に向かって積極的に協力していく状態にしていくのが目的です。
衛生要因(不満足要因)を満足させる施策を実施する
- 不満足要因を満足させることも重要です
不満足要因を満足させることは、直接従業員のモチベーションを高めることにはつながらないかもしれません。
ですが、重要なことです。
職場環境が良いと、気分良く仕事ができるからです。
社員食堂の食事まずい。職場が暑い、寒い、臭い、汚い、などの改善は衛生要因(不満足要因)を満足させる施策になります。
企業には従業員の動機づけ要因(満足要因)を満足させる施策、従業員の衛生要因(不満足要因)を満足させる施策の両方が必要ということです。
まとめ
動機づけ・衛生理論はハーズバーグが考えたモチベーション理論の一つです。
達成や承認等が満足要因です。
会社の政策や給与などです。
動機付け要因(満足要因)と衛生要因(不満足要因)は異なることを理解することが必要です。
例えば、適正な人事考課や組織活性化が該当します。
不満足要因を満足させることも重要です。 |