中小企業診断士の視点:産廃診断をした企業の事例

産廃診断をした企業の事例

現在、一部の例外を除き業界を問わず、多くの企業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けています。

建設業もかなり影響を受けていることがわかりました。

産廃診断を通して、それが実感できました。

中小企業診断士には唯一の独占業務と言える仕事があります。

それが産廃診断です。

産廃診断は正確に言うと、「産業廃棄物収集運搬業の新規取得や更新に際して、診断書や経営改善計画書を作成」することです。

先日、ある建設業者の産廃診断を行ってきました。

そのときの話です。

この記事を読むと、新型コロナウイルス感染症の影響で建設業もかなり影響を受けていることがわかります。

 

産廃診断をした企業の事例

本記事の内容

  • 対象企業の概要
  • 産廃診断に至った理由
  • コロナの影響
  • 中小企業は蓄えが少ない
  • 望ましい国の対策
  • この記事は、中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
  • 中小企業診断士としての活動歴は10年以上です。

 

対象企業の概要

  • 小規模の建設土木の会社

今回診断した企業は、従業員数が10名未満の小規模な企業です。

建設土木業が主な仕事となっていて、下請の仕事が7割~8割程度となっています。

建設土木業なのに、なぜ産廃が関係あるのか疑問に思う方もいると思います。

建設土木業は、どうしても産廃ゴミがでます。ですから、建設土木業はビジネス上産業廃棄物の収集運搬業務も付随業務として行うことになるのです。

その産廃ゴミの収集運搬には市や県の許可が必要なのです。その時、経営的に問題がある企業は中小企業診断士の経営診断が必要になるのです。

 

産廃診断に至った理由

  • 債務超過だから

直近の3ヵ年は黒字続きで経営的には悪くはないのですが、過去に負の遺産があり債務超過となっているのです。

債務超過とは負債の総額が資産の総額を超える状態のことです。資産をすべて帳簿価額で売却しても、負債を返済しきれない状態のことです。

債務超過だと、「産業廃棄物収集運搬業の新規取得や更新に際して、診断書や経営改善計画書を作成」しないと、県や市の許可を受けることができません。

そこで中小企業診断士の診断書が必要になったというわけです。

 

コロナの影響

  • コロナの影響で今期は赤字予想

当企業は直近の3ヵ年は黒字続きで経営的に悪くなく、債務超過額も減少していたのですが、今期はコロナの影響で仕事がなく赤字になることが見込まれています。

持続化給付金も申請し、200万円はすでにもらったと言います。

また、資金繰りのために、コロナで影響を受けている企業向けの低利融資も受けたとのことです。

せっかく経営が上向いてきていたのに、経営者としてはやるせない気持ちだと思います。

でも、コロナによる影響は業種業界を問わず、多くの企業が共通して直面している問題です。

世界的な流行で社会問題なのです。中小企業が単独で頑張ってなんとかできるものではないのです。

 

平常時なら脱下請けで直で仕事をとっていくなどのことも考えられますが、今は直の仕事もほとんどとれない状況です。仕事そのものが全体的に減少しているからです。

 

中小企業は蓄えが少ない

  • 中小企業は収入がないと数か月しかもたない

コロナによる影響は天災みたいなものです。

いや天災より始末が悪いと思います。

仕事がないので、お金が入ってこず、このままだと多くの中小企業は体力がもちません。

中小企業の場合、一般に資金に多くの蓄えがあるわけではないので収入が何もないと数か月~半年程度しかもたないでしょう。

固定費は仕事がなくても毎月かかるからです。

今後コロナの影響で、倒産する中小企業が増加してくるものと考えられます。

コロナの収束を信じて今まで頑張ってきた中小企業も、感染者が最近また増加してきたことで頑張る気力が失われていくような気もします。

 

望ましい国の対策

  • 粗利補償が望ましい

中小企業を存続させていくには、更なる国の支援が必要と考えられます。

できれば、三橋貴明氏が言うような「粗利補償」が理想です。

粗利とは小売業・卸売業などでは売上から売上原価(仕入原価)を引いた金額のことで、製造業では売上から製造原価を引いた金額のことです。売上総利益ともいいます。

売上総利益を補償するのが企業にとっては理想です。

固定費などの経費類もそこから普通に払うことができます。製造業の場合は製造原価に工員の人件費が含まれるので、そこは別の対策が必要だと思いますが。

基本は粗利補償が理想です。企業も安心して休業できることになります。

なんとか実現して欲しいと思います。

 

中小企業を守ることは日本を守ること

日本の企業は中小企業が99%以上を占めています。

中小企業を守ることは、日本を守ることにもなります。

今、中小企業を守らないと日本の需要を満たす供給者を失うことにつながり、それは将来的に日本の経済破綻へとつながる道となります。

レバノンが良い例です。レバノンが経済破綻した理由は国内に供給能力がなかったからです。国内需要の多くを輸入に依存していたからです。

詳細は当ブログ「国の財政破綻とは何? 財政破綻するとどうなる?」のページをご覧ください。

日本の中小企業を守ることは日本のマクロ経済にとっても重要なことだと考えます。

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まとめ

産廃診断をした企業の事例

  • 対象企業の概要

小規模の建設土木の会社

  • 産廃診断に至った理由

債務超過だから

  • コロナの影響

コロナの影響で今期は赤字予想

  • 中小企業は蓄えが少ない

中小企業は収入がないと数か月しかもたない

  • 望ましい国の対策

粗利補償が望ましい

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。