中小企業診断士の視点:国は金を集めてから使うのか、使ってから集めるのか?

国(政府)の支出はどこから捻出しているのか?

普通は、国は税金を集めてそれを予算に沿って支出しているように皆、思っています。

足りない分、足りなくなりそうな分について国債を発行してまかなっているように思っています。

 

今では、その国債が積み上がって、借金大国とマスコミが報じる状態になっているのです。

 

でも、よく考えると今年税金で徴収されるのは、去年の儲けをもとに算出された金額です。ようするに税金は去年の分なのです。

 

また税金額が確定し、多くの国民が税金を振り込む前でも国は多くのお金を支出しています。

(会社員は所得税が給料天引きされているので、毎月税金を払っているように感じていますが、実は会社が預かっていて、あとでまとめて払っています。)

 

その間の国(政府)の支出はどうしているのでしょうか。

 

国債を発行しているのでしょうか。でも税金が振り込まれるまで、つなぎ資金のため国債を発行するという話も聞きません。

 

じゃあ、いったい国はどのようにして、資金を調達しているのでしょうか。

 

実際には、次のような手続きで資金を調達していることがわかりました。

 

今回は国の資金の調達方法について書いていきます。

 

なお、この記事は

中小企業診断士でもある三橋貴明氏の三橋TV第93回【財政破綻論者は_人殺し_という残酷な真実】を参考にしています。

興味のある方は視聴してみてください。

 

中小企業診断士の視点:国は金を集めてから使うのか、使ってから集めるのか?

記事の内容

  • 国の資金調達の仕組み
  • spending first

国の資金調達の仕組み

図にすると以下のようになります。

実際には次のような方法で資金を市中に供給しているとのことです。

 

MMT(現代貨幣理論)による国の資金調達の仕組み 「明示的な財政ファイナンス」

説明していきます。

  1. 政府は財務省証券という借用証書を日銀に提示し、日銀はその額を日銀当座預金に記帳します。
  2. 政府は例えば、民間会社に公共工事などを依頼し、代金は日銀当座預金を担保にした政府小切手を民間会社に渡します。
  3. 民間会社は、政府小切手のままだと利用できないので銀行にいって小切手を渡します。銀行は政府小切手の金額を銀行預金口座に預金として記帳します。
    この結果、民間会社は自社の預金口座から、従業員の給料や関連会社の支払いという形でお金を分配することになります。
  4. 政府小切手を受けとった銀行は、その小切手を日銀に持ち込みます。すると日銀は日銀当座預金にその額を記帳します。

という流れになります。

 

銀行から政府小切手を受けった日銀は、財務省証券(財務省の借用書)と相殺することになる、ということですね。

借りて使うとお金が生まれる

実務的には、国債等を発行することなく案外簡単に資金を調達していることがわかります。

また、実際には、税金という原資がなくても政府主導で市中にお金を供給できることがわかります。

 

spending first

  • 政府の資金調達方法は、借りるて使うのが最初。税金と国債で集めてから使うのではない。

ここまで言ってきたのは、政府はお金を税金や国債で集めてから、初めてそれを支出に回すのではないとうことです。政府の支出するお金は集めるのが最初でなく、借りて使うのが最初で、それを元にお金が循環していくということなのです。

 

上の図からわからるように、政府が振り出した小切手は最終的に日銀に戻ってきて、財務証券という借用書と相殺されるという形になるのです。

 

政府がお金を調達するには、こんなやり方もあるのですね。税金と国債でお金を調達して、それを使っていると考えてきましたが、おもしろいですね。

 

現実ではこのような方法がとられているとのことです。

MMT理論では、このような資金調達の仕方をspending first(使うのが先)と呼ぶそうです。

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。