債務超過ってどういうこと?
債務超過って時々耳にするけど、ニュアンスとしては会社が危ない状態ってことはわかるけど詳しいことはわからない、簡単に教えて欲しい。
そんな疑問にお答えします。
債務超過の意味がわかり、原因と改善の仕方がわかります。
Contents
ピンチ!企業や会社の債務超過ってなんなの?
記事の内容
- 債務超過を簡単にいうと(2つあります)
- 債務超過になるとどうなるのか(3つあります)
- 債務超過の原因(3つあります)
- 債務超過の解消方法(2つあります)
私は中小企業診断士で今までそのような会社をよく見てきていますので、簡単に説明します。
債務超過を簡単にいうと
①債務超過を言葉でいうと ②債務超過を資産負債の関係でいうと |
①債務超過を言葉でいうと
会社の資産をすべて帳簿価格で売却しても、負債額に達しないこと。借金が残ることです。
普通会社の資産を帳簿価格では売却できるわけはなく、かなりまずい状況に陥っている状態です。
②債務超過を資産、負債、資本の関係でいうと
- 債務超過は 流動資産+固定資産=負債+(-資本)になります。
ちょっと長くなります。
通常、会社を興すときには、元手が必要になります。元手のことを資本といいます。
手元に100万円あったとして、それを元手に会社を作るとします。それが資本ということです。
そして、金融機関から200万円融資をうけて会社を始めます。要するにお金は全部で300万円あるのです。
そのお金を元に、商品(100万円)を仕入れ、商売に必要な自動車(150万円)を購入します。
残りの金(50万円)と商品(100万円)が流動資産、自動車(150万円)が固定資産、ということになります。
負債は200万円、資本は100万円です。
式で書くと、
流動資産+固定資産=負債+資本 ということになります。
上の例でいくと 50万+100万円+150万円=200万円+100万円
となります。
負債と資本は流動資産と固定資産のお金の調達元を示しているのです。
逆にいうと、流動資産と固定資産は負債と資本の運用方法ということができます。
既にお金は使われてしまって、50万円しか残っていないのですが、簿記上ではなくなったお金も書き残しておくのです。
さて、債務超過を考えてみます。
1年間商売をやりましたが、ライバルの出現などで儲からなかったとします。原価割れで売るしかなかったとします。
結果的に1年後に帳簿はこうなったとします。
現金30万円、商品50万円、自動車150万円
借入金250万円 資本?円
となると、簿記上では貸借一致の原則というのがあり、
流動資産+固定資産=負債+資本になっている必要があります。
ということは、資本はマイナス20万円ということになります。借入金は金融機関からのもので、その合計金額がそのまま帳簿に現われ、これは動かすことができない事実です。
つまり
流動資産+固定資産=負債+(-資本)
これは、(流動資産+固定資産)<負債 ということです。
この状態が債務超過です。
債務超過は貸借対照表を見ればわかります。
債務超過になるとどうなるのか
①金融機関の対応が厳しくなる ②経営が厳しくなる ③資金繰りに苦しむ |
①金融機関の対応が厳しくなる
債務超過になると、金融機関からの対応が厳しくなります。取引をしている金融機関からは、経営改善計画を作りましょう、などと言われることもあります。
危なくなっているので、ちゃんと計画を作りましょう、ということです。
そのようにしてくださいと、金融庁から金融機関への指導もあるようです。
当然、金融機関にとってそのような会社には、融資をしたくないというのが普通で、融資は受けにくくなってきます。
また、仮に融資を受けることができたとしても、条件は厳しくなります。
利息が高くなったりします。
②経営が厳しくなる
債務超過になっているということは、借入金が多いということにもなります。
借入金が多額だと、支払利息も多くなります。支払利息は費用となり、それは会社の利益をさらに減じることにもなります。
そして、儲けがでないので、元金の返済も滞るし、支払利息にも困窮することになってしまいます。
ようするに、経営が厳しくなります。
③資金繰りに苦しむ
それほど売上がないのに、借入金の支払利息だけで、月に数百万円という会社も見かけます。
まあ、そのような会社だから、切羽詰まって相談にくるということもあるのですが。
今月の支払をどうしようか、という段階までお追い詰められています。
社長は商売のことではなく、資金繰りのことで頭がいっぱいになっています。
そのような心理状態では、商売はうまくいきません。
悪循環になってしまうのです。
債務超過の原因
①儲け(利益)は資本を多くする ②赤字は資本を少なくする ③債務超過の原因は累積赤字 |
①儲け(利益)は資本を多くする
まず、基本ですが、最終的に利益がでたら、それはどこに行くかというと、それは資本を増やすことになります。株式を上場している会社では、その一部が配当金という形で株主に支払われます。
中小企業の場合は、特に何もしなければ、最終利益は資本を増やすということになって、資本が増加していきます。
②赤字は資本を少なくする
赤字になるとどうなるのか、というと、赤字は資本を減らすことになります。
例えば、資本が500万円あったとして、毎年最終利益が-100万円だったとすると、5年で資本は0になります。
それ以降は債務超過ということになります。
つまり、借入金ですべてまかなっている会社ということです。それが債務超過状態です。
③債務超過の原因は累積赤字
債務超過の原因は赤字の累積です。
②の『赤字は資本を少なくする』、という状態が継続しているのが債務超過の大きな原因です。もしくはたまに黒字になっても、その年度だけの黒字では、資本の部分をプラスにもっていけなくなっている状態です。
債務超過額が大きくなると、その状態を解消するのは難しくなります。
例えば、債務超過額5,000万円の企業があったとします。その企業は債務超過状態を解消するのは、単年度黒字を仮に1,000万円達成しても、それを5年間継続する必要があるのです。
中小企業で単年度黒字を1,000万円以上継続的に達成している企業は優良企業といえます。
債務超過企業は、借入金に依存していることが多く、当然支払利息も大きく、もともと利益を出しにくい会社なのです。経営体質が良くないのです。そのような企業が急に優良企業のようになれるわけがないのです。
債務超過の解消方法
①黒字を継続する ②資産の売却 |
①黒字を継続する
債務超過を解消するのは、毎年の黒字を継続していのが普通の方法です。でも、いったん債務超過になってしまうとそれが難しくなってきます。
仕入先への支払だけでなく、金融機関への支払利息が利益を圧迫し、金融機関への借入金元本の返済でキャッシュがでていくからです。
②資産の売却
もし、資産で使わないものがあったら、売却します。
売却益が出るものがあれば、なお良いです。利益が多少増え、一時しのぎにはなります。
まとめ
会社の資産をすべて帳簿価格で売却しても、負債額に達しないこと。 借金が残ることです。 債務超過を資産負債の関係で表すと 債務超過は 流動資産+固定資産=負債+(-資本)になります。 (流動資産+固定資産)<負債 ということです。
金融機関の対応が厳しくなる 経営が厳しくなる 資金繰りに苦しむ
前提として儲けは資本を多くします 赤字は資本を少なくする 債務超過の原因は累積赤字
黒字を継続 資産の売却 |