事業継続力強化計画とは
先日、BCP(事業継続計画)関連の策定の件である企業に訪問してきました。
とはいっても、BCPではなく、中小企業庁が今年始めた、「事業継続力強化計画」の策定についてです。
事業継続力強化計画については、まだ制度が始めったばかりなのでほとんどの方は知らないと思います。
そこで今回は、中小企業庁(経済産業省)が始めた、「事業継続力強化計画」について書きたいと思います。
この記事を読むと、中小企業庁(経済産業省)が始めた、「事業継続力強化計画」についてわかります。
Contents
中小企業診断士の視点:事業継続力強化計画とは
記事の内容
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この記事はBCP策定の経験を多数持つ、中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
簡易版のBCPといえます
- 「事業継続力強化計画」は簡易なBCPといえます
BCPの目的
- BCPは「Business Continuity Plan」の略で、事業継続計画です。
BCPは企業が災害などにあっても、できるだけ早く事業を復旧できるようにするために作る計画です。災害等があってもBCPを策定し、運営実行することによって、会社をつぶさないで生き残るようにします。
それは、企業のためだけでなく従業員のためでもあります。雇用が守られるからです。それが広い意味では地域のためにもなるのです。
大企業などでは、多くの企業は既にBCPを作っています。
しかし、中小企業では現状、まだまだBCPが作られていることが少ないのです。
理由としては、「どうやって作っていいのかわからない」や「人材不足」が挙げられているようです。
本格的なBCPはかなりの分量になる
- 大企業が作る本格的なBCPは、分量的にもかなりのものになります。
中小企業庁が推奨している中小企業用のBCPでさえも記入シートは約40ページになり、これを記入するのはかなり大変です。時間も相当かかると思います。
よほど暇な中小企業でない限り、やってみようということにはなかなかならないでしょう。
簡易なBCPが事業継続力強化計画
- 記入する基本の書式はたった5ページ
そこで、中小企業庁では中小企業がBCP取組の入り口として、もっと簡単なものから始めようということになったのです。
それが事業継続力強化計画です。本格的なBCPとは呼べないので、中小企業庁ではBCPとは言っていません。
事業継続力強化計画は様式が決まっていて、中小企業庁の該当のページからダウンロードできます。ページ数は5ページとなっています。
様式はMicrosoftのWordでできていますから、スペースが足りない時は、書き込み欄を自由に拡張して記入することができます。(その場合はページ数が増えます。普通に記入すると、だいたい8ページから10ページぐらいのページ数になります。)
事業継続力強化計画の記入書式
出典:中小企業庁ホームページ https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/2019/190905keizokuryoku2.docx より
事業継続力強化計画はBCPと何が違うのか
- 一番大きな違いは、「重要業務」に関することが省かれていることです。
災害時、企業では「人・もの・金・情報」に関する経営資源が不足することになります。(例えば、地震で道路が寸断されて、従業員が出社できなくなったなど。つまり人が不足します。)
経営資源が不十分な状態だと、通常業務の全てを行うことはできません。そこであらかじめ自社の重要業務を選んでおいて、少ない経営資源でも重要業務は優先して行うように考えていくのです。それはBCPの基本です。
その「重要業務」に関することが「業継続力強化計画」では触れられていないことがBCPと違う一番大きな点ではないかと考えられます。
ただし、正確にいうと、書式の記入方法などの説明が書いてある「事業継続力強化計画策定の手引き」では、重要業務について触れています。でも記入する書式そのものには重要業務や中核業務を記入する欄がないということです。
対象は中小企業・小規模企業
- 「業継続力強化計画」は中小企業用の計画です。
中小企業庁が中小企業用にはじめた取り組みですから、対象は中小企業となります。
防災・減災に取り組む中小企業・小規模事業者が対象となります。
事業継続力強化計画のメリット
- ものづくり補助金の優先採択が受けられます
事業継続力強化計画は様式があって、それに記入して作成していきます。
作成できたら、管轄の経済産業省に送付します。
計画が認定されると、次のようなメリットがあります。
- 認定企業は「認定ロゴマーク」が使用できます。
- 防災・減災設備の税制優遇措置が受けられます。
- ものづくり補助金の優先採択が受けられます
- 信用保証枠の限度額が拡大されます。
- 日本政策金融公庫の低利融資制度を利用できます。
まとめ
大きな違いは、「重要業務」に関することが省かれていることです。
防災・減災に取り組む中小企業・小規模事業者が対象です。
計画が認定されると、専用のロゴマークが利用できます。また金融面での優遇措置があります。 詳細は中小企業庁の該当のページをご覧ください。以下のアドレスです。 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.htm |