中小企業診断士の視点:大塚家具がヤマダ電機の子会社に

大塚家具がヤマダ電機の子会社に

昨年の12月、大塚家具がヤマダ電機の子会社になりました。

大塚家具とヤマダ電機とでは、よくいわれるように顧客層が異なるなど、課題も多いと考えられます。

今回は、この件を大塚家具とヤマダ電機をストアコンセプトの面から考えていきたいと思います。

この記事を読むと、ストアコンセプトの意味がわかります。

また、第三者から見た大塚家具とヤマダ電機のストアコンセプトについても違いがわかるようになります。

中小企業診断士の視点:大塚家具がヤマダ電機の子会社に

記事の内容

  • ストアコンセプトとは
  • 大塚家具とコジマ電機のストアコンセプトを考えます
  • ストアコンセプトの違い

この記事は中小企業診断士で一級販売士、家電量販店勤務経験のあるKAZUTOYOが書いています。

ストアコンセプトとは

  • 店がお客に提供する便益(≒メリット)のことです

ストアコンセプトというのは、小売店がお客に提供する便益(≒メリット)のことです。

顧客の視点で考えた便益(≒メリット)です

わかりやすい例として、コンビニを考えます。コンビニのストアコンセプトは、その名の通りお客にとっての「便利さ」の提供となります。

ストアコンセプトを明確しておくことは、小売店では非常に大切になります。

このストアコンセプトを基に、店の戦略を考えていくからです。

例えば、コンビニは明確なストアコンセプトを持ってそのコンセプトに対応した経営を行っています。わかりやすく一貫性のある経営と言えます。

ストアコンセプトの定め方

ストアコンセプトは店がお客に提供する便益(≒メリット)を表現したものですが、ストアコンセプトを定める時には、以下のように考えるのが一般的です。

「誰に、何を、どのように」です。これを決めていくとストアコンセプトはほぼ定まります。

KAZUTOYOはこれにニーズ、ウォンツ(欲求)を加え

「誰の、どんなニーズ・ウォンツに対して、どんな品揃えで、どのように売っていくか」というようにストアコンセプトを考えています。

ニーズ、ウォンツというのは外せないと思っているからです。

大塚家具とコジマ電機のストアコンセプトを考えます。

大塚家具とコジマ電機のストアコンセプトを「①お客、②ニーズ・ウォンツ、③何を売るのか、④どのように売るのか」、の順番で考えていきます。

①お客と考える人は誰か?

それではまず大塚家具とヤマダ電機の従来のお客について考えていきます。

大塚家具

従来は富裕層がメインでした。安く家具を販売する店とは競合しないように顧客層を絞っていたと考えられます。

ただし、久美子社長になってからかなりぶれているようです。

ヤマダ電機

一般消費者が全てが対象です。こちらは顧客層を絞ることはしていません。

②お客のニーズやウォンツは何?

次にそれぞれの顧客層のニーズやウォンツを考えていきます。

大塚家具

大塚家具のお客は、いわゆる高級志向でブランドイメージも大切に考えています。価格は高くても良いので、商品の仕上がりや品質を重視していて、細かいところまで目が行き届いている商品を買いたいと考えています。

ヤマダ電機

ヤマダ電機に来店するお客は商品を低価格で購入したいと考えています。もともと安売りで成功してきた会社ですから、当然お客も「低価格」を重視しています。

しかし、最近は「低価格」を売りにしたネット通販業者などを中心にした業者が参入しているため、価格競争も厳しくなっています

従来のお客もネット通販業者に流れていると思われます。(KAZUTOYOも流れた一人です)

③何を売るのか?

大塚家具

大塚家具では高級家具を販売しています。基本安物は販売しません。

高級家具を仕入れてもしくは製造して、販売しています。

品揃えも高級家具で揃えているのが特徴です。ですが、ここも久美子社長になってからぶれてきています。

ヤマダ電機

家電製品を販売します。家電は、独自なものではなくメーカー商品なので、基本はどこの店でも扱っていることになります。最近では家電だけでなく、家の販売も始めています。

④どのように売るのか

大塚家具

専門知識を持つ店員が丁寧な接客します。

大塚家具では専門知識を持つ販売員が丁寧な説明と接客で対応するのが特徴です。

長期的にお客と良好な関係を維持していくことにも注力しています。接客時間も長くなります。

ヤマダ電機

数をこなす商売でセルフ販売も多い

基本は安売りの量販店ですから、粗利益率は良くないため、量をこなす商売になります。

その結果、一人あたりの接客時間は少なくなるのを目指しているはずです。理想は「これください」というお客さんが多く来店することです。金額が低い商品については基本セルフでの販売です。

ストアコンセプトの違い

  • 大塚家具とヤマダ電機とではかなり異なる

大塚家具とヤマダ電機のストアコンセプトを表にまとめると以下のようになります。

お客は誰か お客のニーズ
ウオンツ
何を売るのか どのように売るのか
大塚家具 富裕層 高級志向
ブランドイメージ
高級家具 専門知識を持つ店員が丁寧な接客
ヤマダ電機 一般消費者 低価格志向 メーカーの家電製品 数をこなす商売でセルフ販売も多い

大塚家具とヤマダ電機とではかなり異なることがわかります。

顧客ターゲットやニーズなど全て異なります。

これだけ異なっていると、いっしょにやっていくのはかなり難しいという印象です。

ヤマダ電機の社長もわかっていたかと思いますが、それを承知で大塚家具の面倒をみることにしたのだと思います。

ある意味、今後の展開が楽しみです。

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。