台風19号は産業界にも大きな影響えました
台風19号は、大きな被害を与えて去っていきました。多くの尊い人命が犠牲になり、人々の生活の基盤となる家屋を失った方も多くいました。
被害の様子はテレビや新聞でも報道されたので、まだまだ記憶に新しいところです。
ですが、被害はそれだけではありません。
産業界にも大きな被害を与えました。地元新聞にも掲載されていました。
そこで、今回はBCP(事業継続計画)の視点から、産業界の被害について書いていきます。
中小企業診断士にはBCP策定の仕事もあります。今後はこの分野のニーズも高まると思います。
中小企業診断士を目指す方は、この分野にも興味を持っておくと良いと思います。
Contents
中小企業診断士の視点:台風19号は産業界にも大きな影響
記事の内容
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この記事は、BCP策定の経験を持つ中小企業診断士KAZUTOYOが書いています。
台風19号が産業界に与えた影響
- サプライチェーンが寸断される
大企業といえども、1社で全て製造できるわけではありません。いろいろな下請け企業がいて、下請け企業に部品やパーツを作ってもらって、それらを集めて初めて一つの商品なり製品ができるのです。
下請け企業から部品やパーツの供給が途絶えてしまうと、本社の工場も製品を製造できずストップするしかありません。
大企業の工場も一次下請け、二次下請け、三次下請けなどの存在があって成り立っているのです。
サプライチェーンによってつながれている共同体なのです。下請けが被害を受けると、彼らが納品する部品やパーツがないために製品は作れなくなります。サプライチェーンが切れることになります。
今回の台風19号は、そのサプライチェーンを寸断させ、工場の操業停止が続き、交通インフラの復旧も遅れるなど、産業界には大きな爪痕を残すことになりました。
BCPの視点で見た、大手メーカーの被害状況
- 大手企業の今回の被害事例をあげます。
SUBARU(スバル)
部品調達先が浸水被害を受け、群馬製作所の創業を16日に停止しています。
約1万台の4輪車生産に遅れが出るとしています。
豊田自動織機
部品確保の問題で高浜工場を16日から停止しています。
工場団地
福島県郡山市の工場団地では、日立製作所のグループ会社やパナソニックの工場が浸水で稼働を停止しています。
パナソニックは生産再開まで最長2ヵ月程度かかるとしています。
IHI
工業用水の断水で、相馬市の工場の稼働を停止しています。
大手メーカーは東日本の大震災などの教訓からBCPの強化に力をいれてきたはずでした。にもかかわらず、今回の台風19号は、災害対応に万全を期すことが難しいことを改めて教えられることになりました。
多くの製造業はサプライチェーンによって連結されていて、自社だけのBCPというのはもはや考えられなくなっています。サプライチェーンでつながれている共同体全体で対応していく必要があるのです。
中小企業のBCPの策定状況
- まだまだ低いのが現状
大手企業の製品であっても、細かい部品を作っているのは小規模な企業も多いのです。日本の製造業の強さは、中小企業の優秀さの上に成り立っているのです。
ですが、中小企業は防災対策が遅れているのが現状です。
日本商工会議所が今年の9月に公表した調査結果によると、BCPを策定済み、もしくは策定中、と答えた中小企業はわずか28%でした。
BCP策定ノウハウや人員の不足が理由のようです。
日本商工会議所の三村明夫会頭は「今回を契機にBCP策定を考えるべき」と発言しています。
中小企業診断士も中小企業支援の一環として、積極的に関わっていきたいところです。
まとめ
サプライチェーンが寸断され工場の稼働が停止しました。
大手企業もサプライチューン寸断で大きな影響を受けました。
7割は策定していません。 |