かんばん方式とは
何日か前、テレビニュースを見ていたら、ある製造業の工場内が映し出されていました。
新型コロナウィルスの影響で、部品が入荷せず製造ラインが止まっている様子を伝えていたのです。
見ていると、製造ラインが始まる部分に「かんばん」と書かれたボードが掲げられているのが目に入りました。
製造業の方なら、常識になっているのと思うのですが、ここの工場では「かんばん方式」を取り入れた仕組みで生産活動を行っているのです。
ということで、今回は製造業では常識になっている「かんばん方式」についての話です。
この記事を読むと、「かんばん方式」について理解できるようになります。
Contents
かんばん方式とは
記事の内容
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この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
かんばん方式とは何?
- 在庫を最小限に抑える生産方式
かんばん方式は、部品や材料を最小限に抑えて生産を行う方式のことです。トヨタ自動車が開発して、自社や協力会社の生産活動に導入しています。
製造ラインの後工程が使用した部品を前工程に知らせるための部品請求票を「かんばん」と呼んだことからこの名称が生まれました。
かんばん方式は、第二次世界大戦中アメリカの航空メーカーで考案されたJIT(ジャストインタイム)方式がもとになって作られたものです。JIT(ジャストインタイム)は必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産するという方式です。
かんばん方式は効率な生産方法
- 生産の効率を考えた方式です
できるだけ少ない投資、少ない費用で生産を行うことが効率的な生産活動のためには必要です。
かんばん方式を採用した生産活動では、部品や材料の在庫を少なくして、しかも安定的な供給を行うことが可能になります。経営者の視点でも優れた方式なのです。
かんばん方式のメリット
- 品質向上と収益性の向上
かんばん方式のメリットとしては、最終製品の品質向上と企業の収益性の向上が挙げられます。
品質面
品質面では、部品の在庫が少ないため、コストダウンや品質向上のために設計変更した部品を早期に使うことができ、無駄を極力少なく抑えることができます。
収益性
収益性の面では、部品の在庫を削減させるメリットがあります。在庫スペースも小さくできます。また、在庫が多いことによる損失(減耗)なども少なく抑えることができます。また、企業の収益性向上にも貢献します。少ない在庫での生産のため、その分だけ総資本が圧縮されることになります。
すると、総資本対利益率(利益÷総資本)×100%を増大させることになるからです。
かんばん方式のデメリット
- 下請けにしわ寄せがくる。BCP的にはリスクが高い
下請けにしわ寄せ
かんばん方式のデメリットとしてよく聞くのは、親会社がかんばん方式をとっているため、そのしわ寄せが下請け企業にくるというものです。
かんばん方式を採用している会社は、部品や材料の供給を小ロット、多頻度で下請け企業に依頼します。それがかんばん方式のやり方だからです。
下請け企業は、ある程度数がまとまった時点で親会社に納品したいのですが、親会社は自社の都合でそれを許してくれません。
毎日ちょっとずつ納品するということになり、下請け企業にとっては非効率なやり方になってしまいます。
BCP面ではマイナス
また、BCP的に見ると在庫を多く持たないのはリスクが高い方式です。
何かあって、部品や材料が入ってこなくなると、即生産できなくなるからです。
BCP的には、ある程度在庫があって、部品や材料の供給がストップしても、しばらくはしのげる状態にしておいた方が良いのです。これは家庭での備蓄品などと同じ考えかたです。
でも経営的には、それは効率的とは言えないということです。
かんばん方式は画期的方法
- 日本だけでなく世界にも影響を与えた方式
かんばん方式は、テイラーの科学的管理法やフォードシステム(大量組み立てライン方式)に次いで生まれた画期的な生産方式といえます。
アメリカの自動車メーカーでもかんばん方式はリーン生産方式という名称で採用されています。
流通業でも考え方を採用
- コンビニなどが採用
かんばん方式は、日本の流通業ではジャストインタイム方式として活用されています。
特に物流の分野で、POS(販売時点情報管理)システムをEOS(電子発注システム)と連動させて、効率的な商品供給システムとして導入しています。コンビニが良い例で、従来小売業には倉庫があり、在庫を置いていましたが、コンビニでは在庫を極力もたない商売をしています。したがって倉庫はありません。
それを可能にしているのが、ジャストインタイム方式なのです。必然的に物流面は多頻度小口配送になっています。
まとめ
部品や材料を最小限に抑えて生産を行う方式のことです。
できるだけ少ない投資、少ない費用で生産を行うことが効率的な生産活動と言えます。
品質向上と収益性の向上が可能になります。
下請けにしわ寄せがくることと、BCP的にはリスクが高いことが挙げられます。
日本だけでなく世界にも影響を与えた方式です
コンビニなどがジャストインタイム方式として採用しています。 |