レナウンの再生計画延期
レナウンは5月15日に支払期日とする手形の決済が困難となり、民事再生法適用での倒産となりました。
レナウンはもともと日本企業ですが、すでに53%が中国資本で資本面では中国の企業といえます。
倒産時異例だったのは、民事再生法を申し立てたのはレナウン本社ではなく連結子会社だったことです。レナウン本社が親会社の中国企業山東如意と民事再生法の合意形成が困難であったため、子会社が申請したと推察されています。
でも、そんなことは前代未聞です。
いろいろごたごたしていることがわかります。
そんなレナウンですが、再生計画を延期したというのです。
今回はその話です。
今後どうなるのか予測はつきませんが、レナウンのことはこのブログの何度か書いているので、今回も動きがあったで採りあげました。
Contents
レナウンの再生計画延期
本記事の内容
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- この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
- KAZUTOYOは家電量販店店員(サラリーマン)として10年以上の経験があります。
- 中小企業診断士としての活動歴は10年以上です。
レナウン再生計画延期の表向きの理由
- スポンサー探しで時間がかかっている
今年5月に経営破綻したアパレル大手のレナウンは、再生計画案を8月17日までに東京地裁に提出することになっていました。
しかし、期限に間に合わず、来年の2月17日に延期されることになりました。
現在レナウンは、再生にあたりスポンサー企業を選定し、支援条件などをめぐり協議を続けているようです。
ただ、具体的な支援の実現までには時間がかかるため期限を延長したのです。
レナウンでは「できる限り早期にスポンサーを選定し、実効性のある再生計画案を策定するため、管財人及び役職員一丸となって業務にまい進する」としています。
レナウンの業績面
- 収益性と成長性に問題がある。
以前、当ブログ記事「中小企業診断士の視点:大手アパレルレナウンが経営破綻【簡易経営分析しました】」のなかで、レナウンは収益性と成長性について問題があると分析しています。
レナウンはブランド力のある魅力のある会社ですが、中身を見ると大して優れていないのです。
収益性と成長性で問題がある会社のスポンサーになりたいと手を挙げる人なんているのでしょうか。
かつて、日産にカルロス・ゴーンが来て思い切ったコストカットをやってなんとか会社を立て直しましたが、そのようなことをしない限り、企業再生は難しいと考えられます。
レナウンの経営面
- 民事再生法では経営陣は居座る
民事再生法では、現経営陣はそのまま残ります。
もともと民事再生法は中小企業のための法律だったのでそうなっているのですが、経営陣がそのまま残ることができるため使い勝手がよく大会社でも使われるようになったのです。
企業が倒産してしまうのは、一言でいって環境に対応できなくなったからと言えますが、経営陣のかじ取りがうまくいかなかったことも理由としてあります。
その経営をしていた経営陣がそのまま残るのですから、中小企業のようにあとあと面倒を見る人材がいないならしようがないのですが、大会社ではどうなんだろうと思います。
いままでのしがらみがあり、思い切ったこともできにくいはずです。
日産を立て直したゴーンは日産に長くいたわけではないため、変なしがらみがなく思い切ったことを実行できたのです。
レナウンの支配構造
- 親会社は中国企業です。
レナウンは既に日本の会社ではありません。
レナウンは中国の山東如意科技集団有限公司、北京如意時尚投資控股有限公司という2社の会社で全株式の50%超を確保していて、既にレナウンは日本資本ではなく中国資本の会社なのです。
この点が、スポンサー確保で苦労している理由かもしれません。
実際、レナウンは親会社につながる中国関連企業への売掛金53億円が回収できないなどの問題が既に発生しています。
また、今年の株主総会で続投予定だった前社長がいきなり解任され、他の人にとって代わられるなどゴタゴタもありました。
こうした現実を見ていると、中国企業を素直に信用することはできないと感じます。
スポンサーを依頼されても、二の足を踏む企業もあるのではないでしょうか。
また、中国に進出した日本企業は儲けをそのまま日本に持ち帰るのはできないようです。
日本に進出した中国企業は儲けを中国に何の問題もなく持ち帰れるのですが、逆はすんなりとはいかないのです。
そのようなことも考えると、今後中国企業とつきあうのは慎重にならざるを得ないでしょう。
このことについては、当ブログ記事「中小企業診断士の視点:日本の失われた30年の本当の理由」の記事も関連します。興味がある方はお読みください。
レナウンは再生ならず、清算の見通し(令和2年8月30日追記)
- レナウン再生できず、清算で終了
レナウンは紳士服の「ダーバン」など主要5ブランドを大阪市のアパレル企業「小泉」のグループ会社に売却すると発表しました。
8月20日には子会社レナウンウインクス(東京:肌着・靴下を扱う会社)の全株式をストッキング大手の「アツギ」に売却すると発表済みです。
レナウンは結局、会社全体を引き受けてくれるスがポンサー企業が見つからず、事業ごとに切り売りすることになりました。
こうしてレナウンは清算され業界から消えることになります。
「アーノルドパーマータイムレス」や「インターメッツォ」など大半のブランドは売却先が見つからないまま、終了となります。
関係する従業員は解雇される可能性が高いとのことです。
レナウン子会社は破産(9月5日追記)
- ブランド「ダーバン」スーツを製造してきた子会社は破綻
レナウン子会社ダーバン宮崎ソーイング(宮崎県日南市)は、9月4日に破産手続きに入ることがわかりました。
ダーバン宮崎ソーイングはレナウンの子会社として1974年に設立され、高級紳士服ブランド「ダーバン」などの日本製高級スーツを製造してきた会社です。
ダーバン宮崎ソーイングは6月5日に東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破綻していました。
しかし、結局支援企業が現われず再生計画案の作成が不可能になり、8月31日に東京地裁から民事再生手続き廃止決定を受けることになったのです。
再生ではなく破産ということになります。
ダーバン宮崎ソーイングの負債・従業員動向
東京商工リサーチによると、5月時点でのダーバン宮崎ソーイングの負債総額は約3億9千万円で、工場設備は日南市内の下請け3社に引き継ぐことになっているようです。
解雇された従業員も下請け会社で再雇用するということで、雇用は守られるようです。
今後の動向
工場は下請け会社が引き継ぐので生産設備は残ることになり、そのまま製造活動を続けることが可能となりました。
スーツ製造は10月から再開する計画だそうです。
まとめ
レナウンの再生計画延期
スポンサー探しで時間がかかっている
収益性と成長性に問題がある。
民事再生法では経営陣はそのまま居座ることになります。
資本的にはレナウンは既に日本の会社ではなく、中国の会社です。 |