中小企業診断士の視点:教える勉強より資格に合格する勉強のほうが楽だとわかった話

人に教える勉強は大変

現在、中小企業診断士の資格取得を目指して勉強している方もいると思います。

また、すでに中小企業診断士の資格を取得した方もいるでしょう。

 

中小企業診断士になると、セミナーや研修、または資格系の科目で教える役割になることも多いものです。

私もいろいろな講師をやらせてもらいましたが、講師の仕事は結構大変です。

事前に勉強していかないといけません。また、その勉強の仕方も自分のための勉強の仕方とは異なってきます。

 

今回はそのことについて、書いていきたと思います。

 

この記事を読むと、人に教えるための勉強は、自分が資格に合格する勉強よりも大変であることがわかります。

 

教える勉強より自分が資格に合格する勉強のほうが楽だとわかった話

記事の内容

  • 自分の資格(検定)合格のための勉強の特徴
  • 人に教えるための勉強の特徴

この記事は中小企業診断士としての体験を元に書いています。

 

自分の資格(検定)合格のための勉強の特徴

①完璧でなくて良い 

②苦手なところは避けてもOK

③必ずしも理解しなくてもOK

 

①完璧でなくて良い

  • 70%から80%の完成度でよい

資格(検定)合格を目指すのであれば、特にその資格(検定)について完璧にマスターしていなくても良いのです。

100点を取る必要はありません。80点取れればほぼ合格というのが試験の相場です。ですから100点満点の試験だとしたら80点を目指せばよいのです。

100点を目指す必要はないでのですから、どこがでても全部答えられるというように完璧を期す必要はありません。

 

そしてここで重要なのは80点目標と100点目標とでは、その努力はまったく変わってくることです。100点を目標とする時は80点を目指すときの2倍ぐらいの時間と努力が必要と考えます。100点を取るようになるには、どこが出題されても正解がわかる、というように完璧を期す必要があるからです。

残りの20点を取るのがいかに難しいかということです。

100点を取るのが目的ではく、自分の資格(検定)合格が目的なら、8割正答できれば良いのですから完璧を期す必要はありません。その分、勉強は楽になります。

 

②苦手なところは避けてもOK

  • 苦手なところはあきらめても大丈夫

目的が資格(検定)合格なら、どうしてもわからない、もしくは苦手は部分、またはやりたくない部分は合理的に考えてあえて捨てるという考え方もできます。80点が目標なので、そのような判断もできます。

私の例です。

私は、アマチュア無線2級を取得していますが、アマチュア無線2級には試験範囲にモールス信号があります。昔は実技があったのですが最近は実技がないので受けたのですが、モールス信号の問題を解くには、モールス信号を覚えないといけません。でも私は面倒くさいので覚えたくありませんでした。覚えるには時間が必要ですし。

で、合理的に考えました。

モールス信号の問題の配点を考えて、そこが0でも他でカバーできると判断し、捨てる判断をしました。

実際の試験は選択なので、1問程度は勘で得点できたようですが、一応モールスのところで0点でもなんとかなるという計算はしていました。

それで、合格しました。

ようするに、資格(検定)合格が目的なら、苦手なところは避けてもよいということです。

(アマチュア無線2級なのにモールスができないなんて、というお叱りはあるかもしれせんが)

 

③必ずしも理解しなくてもOK

  • 理解していなくても問題が解ければOK

目的が資格(検定)合格なら、問題が解ければ良いのです。理解が伴っていれば良いのですが、理解していなくても問題がとければ、良いのです

例えば、簿記の減価償却です。

ある程度大人になってから、簿記の勉強をしている人ならその考え方は理解できると思いますが、簿記は商業高校でも勉強し、日商簿記の2級に合格している高校生もいます。

 

当然、簿記検定の試験には減価償却の設問もあるでしょう。

ですが、高校生が全員減価償却の意味をちゃんと理解して問題を解いているでしょうか。

わたしは、そんなに多くはない思います。

減価償却の問題はこのように解くというように、解き方を教えてもらっていて、おそらく機械的に解いているだけの人が多いと思います。

これは、数学の公式と同じです。公式の意味がわかっていなくても、この問題はこの公式を使って解くというように教えられているので、その通りに解いているということではないでしょうか。

目的が資格(検定)合格なら、問題が解ければ良いので別に理解している必要はないのです。

 

人に教えるための勉強の特徴

①完璧を目指すことが必要

②苦手なところも避けては通れない

③理解しないといけない

 

①完璧を目指すことが必要

  • 教えるには7割、8割程度の勉強ではダメ

目的が資格(検定)合格なら、100点でなくても良いので7割、8割程度の問題が正答できれば良いのですが、人に教えるとなると話は変わってきます。

完璧に勉強していくことが必要となります。

どんな質問がきても良いように、ちゃんと準備して臨むことが要求されます。

目的が自分の資格(検定)合格なら、例えばテキストなどで読めない漢字などが出てきても読み進めていってかまいませんが、教える立場になるとそうはいきません。

当たり前ですが、読めるように調べていくことが必要になります。

単純なことですが、教えるという立場にたつとことはそれだけ責任が重くなるのです。

 

②苦手なところも避けては通れない

  • 苦手なところも勉強しないといけません。

人に教える立場に立つと、苦手なところも避けては通れません。自分が苦手だと感じるところは他の人も分かりづらかったりする部分だからです。

「この部分は私もわかりませんから、説明できません。次に進みます。」では済みません。

わかるようになるまで勉強して臨む必要があります。

例えば、公式などがあったら苦手でもその公式を理解しておく必要があるのです。目的が自分の資格(検定)合格なら、理解していなくても公式丸暗記で対応すれば良いのですが、教える側になるとそうはいきません。

あいまいにしていては済まないのです。

 

③理解しないといけない

  • 教えるには理解することが必須です。

目的が自分の資格(検定)合格なら、極端に言えば理解していなくても解き方さえ知っていれば対応できます。

ですが、教える立場になると、そうはいきません。

理解していないと、教えることはできませんし、説明もできないのです。

私の例です。

私は、日商簿記の2級と3級を同日に受験し、両方とも幸いなことに合格していました。

でも、合格したといっても、その時は簿記を理解していたとはいえませんでした。

簿記の模擬問題を多くこなして、問題の解き方を覚えてそれで対応していたにすぎませんでした。

問題を見たら、この問題はあのパターンの類似問題だな、ということでいくつかの問題のパターンごとに解き方を覚えていって、解き方のパターンに当てはめていって答えていったというやり方です。

 

簿記の基礎や基本を完璧に理解して解いて合格したのではありません。

ですが、それでも合格してしまうのが試験です。

 

でも教える側に立つとそうはいかないのです。

例えば、自分が試験を受けたとき、減価償却や繰延資産について、ちゃんと理解していたのか、といわれたら、自信を持って「理解していた」とは言えません。

 

ですが教える立場にたつと、しっかり再度勉強して理解して説明ができるようになることが必要です。

目的が単に自分の資格(検定)合格の時と、教える側に立つ場合とではいかに違うか、それは経験してみないとわからないかもしれません。

人に教えるための勉強は、自分が資格に合格する勉強よりも大変であることがわかりました。

 

まとめ

自分の資格(検定)合格のための勉強の特徴

  • 完璧でなくて良い

70%から80%の完成度でよい

  • 苦手なところは避けてもOK

苦手なところはあえて勉強しなくても良いと、あきらめる選択もある

  • 必ずしも理解しなくてもOK

理解していなくても問題が解ければOK

 

人に教えるための勉強の特徴

  • 完璧を目指すことが必要

教えるには7割、8割程度の勉強ではダメ

  • 苦手なところも避けては通れない

苦手なところも勉強しないといけません。

  • 理解しないといけない

教えるには理解することが必須です。でないと説明できません。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。