中小企業診断士の視点:オンキョーが債務超過でピンチ

オンキョーが債務超過でピンチ

経営再建中のオーディオメーカーオンキョーが債務超過でピンチに陥っています。

2020年の3月決算で、債務超過になったのです。

 

オンキョーは、昔から人気のあったオーディオメーカーですが、これも時代の流れでしょうか。

考えてみれば昔から続いているオーディオ専業メーカーで景気の良い会社はほとんどないと思います。

オーディオ業界で唯一頑張っているのは、昔からスピーカーに特化しているフォステクスぐらいでしょうか。

あとはヤマハも楽器なども作っている総合メーカーですが、頑張ってくれているようです。

ということで、今回はオーディオメーカーオンキョーが債務超過でピンチになっているという話です。

この記事を読むと、日本のオーディオメーカーが置かれている立場が身に染みてわかるようになります。

 

オンキョーが債務超過でピンチ

本記事の内容

  • オンキョーが債務超過
  • オンキョーの簡易損益計算書
  • 事業売却がとん挫
  • この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
  1. KAZUTOYOは家電量販店店員(サラリーマン)として10年以上の経験があります。
  2. 中小企業診断士としての活動歴は10年以上です。

 

オンキョーが債務超過

  • 33億円の債務超過

債務超過は、資産の総額よりも負債が多くなっている状態のことです。資産をすべて帳簿価格で売却できたとしても、負債全部を返済しきれないということです。

オンキョーは3月末の決算で33億5千5百万円の債務超過に陥りました。

債務超過を解消するには、

  1. 黒字を毎年続けていく方法と
  2. 増資による資本増強が考えられます。

毎年黒字を積み重ねる方法だと、33億円の債務超過解消にはかなり時間がかかると考えられます。

手っ取り早いのは誰かにお金を出してもらって資本を増やす方法ですが、なかなか厳しいと思います。

ただオンキョーというブランドはそこそこ知られているので、家電のシャープが台湾企業の傘下になって生き延びているように、国内でどこの企業からも支援が受けられなければ将来的には中華系の会社に身売りすることも考えられます。

ただ、今すぐということではありません。今は新型コロナウイルス感染症の影響でどの国の企業も余裕がないからです。

KAZUTOYO自身は昔、オンキョーのアンプを使っていましたし、現在もオンキョーの小型スピーカーを使っています。

愛着のあるメーカーなのです。

出来ればつぶれて欲しくはないメーカーです。日本のメーカーとして生き残って欲しいと思っています。

 

オンキョーの簡易損益計算書

  • 売上が急減、売上総利益率も低い

オンキョーのホームページに投資家のためのページがあります。そこで決算書を入手できるので取り出し、それをもとに簡易な損益計算書を作ってみました。

オンキョーの簡易損益計算書(単位:百万円)

  2018年度 対売上比率 2019年度 対売上比率
売上高 43,836 100.0% 21,808 100.0%
売上原価 32,555 74.3% 18,998 87.1%
売上総利益 11,280 25.7% 2,809 12.9%
販管費 12,332 28.1% 8,155 37.4%
営業利益 ▲ 1,052 -2.4% ▲ 5,346 -24.5%
営業外収益 ▲ 625 -1.4% ▲ 401 -1.8%
経常利益 ▲ 1,676 -3.8% ▲ 5,688 -26.1%
特別損益 756 1.7% ▲ 4,213 -19.3%
税引前当期損益 ▲ 921 -2.1% ▲ 9,881 -45.3%
法人税等(調整含む) ▲ 782 -1.8% 129 0.6%
当期純損益 ▲ 138 -0.3% ▲ 10,011 -45.9%

オンキョーホームページ内:https://onkyo.com/ir/ir_news/date/2020/20200731_20_tanshin.pdfの決算書を元に作成

1年で売上が前年の半分に急減していることがわかります。厳しい経営環境がうかがえます。

また売上総利益率が、かなりひどいです。

売上総利益率が12.9%と言う数字は、零細で経営不振になっている小売業より低い数値です。

大手メーカーの数値とは思えません。

想像以上に厳しいと感じました。

 

事業売却がとん挫

  • 音響・映像事業譲渡計画がとん挫

オンキョーは2019年3月には国内子会社2社の譲渡を行い、構造改革による経営の効率化を進めてきました。

そして、成長分野と考えられるOEM事業・デジタルライフ事業に特化することで再起を図るため、音響・映像事業の譲渡を試みました。ですがその試みはとん挫しています。

そこに今回の新型コロナウイルス感染症の影響が加わり、生産活動や販売活動がさらに低迷することになりました。

今後も厳しい経営状態は続きそうです。

いずれにしても、オンキョーの経営再建の考え方でいくと音響・映像事業の譲渡はそのうち実行されるでしょう。

となると、オンキョーのオーディオはなくなるのでしょうか。

どこかの企業の傘下になって生き延びて欲しいと思います。KAZUTOYO個人としては、できれば国内メーカーが良いのですが。

オンキョーさんには頑張って欲しいと思います。

 

まとめ

オンキョーが債務超過でピンチ

  • オンキョーが債務超過

2020年3月決算で33億円の債務超過になっています。

  • オンキョーの簡易損益計算書

売上が急減、売上総利益率も低い

  • 事業売却がとん挫

音響・映像事業譲渡の計画がとん挫しています。

  

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。