台風19号被害による融資相談件数
日本政策金融公庫が、10月の台風19号で被害を受けた企業や個人事業主から寄せられた相談件数を発表しました。結論は去年の西日本豪雨の時とほぼ同等だとのことです。
今回は、その話です。
この記事を読むと、10月の台風19号で被害を受けた方が日本政策金融公庫に金融相談を行った件数がわかります。
Contents
中小企業診断士の視点:台風19号被害による融資相談件数は?
記事の内容
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この記事は企業のBCP策定支援経験もある中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
去年の西日本豪雨の時との比較
- 相談件数689件 西日本豪雨の時とほぼ同レベル
日本政策金融公庫(日本公庫)への相談の大半は、通常より金利を優遇する災害復旧貸付関連となっています。
相談件数は10月末で689件となっていて、これは昨年の西日本豪雨の時とをほぼ同じで推移しているとのことです。
被害がいかに大きかったかがわかります。
ちなみに、10月末までの相談件数を同じ営業日数で比較すると、去年西日本豪雨で受けた相談件数は703件となります。相談件数は確かに同等となっています。
日本政策金融公庫の担当者は台風19号の被害について「今回は影響が広範囲で、特別窓口を設置した支店の数が多い」と言っています。
被害地域が一地域ではなく広範囲であったことが、今回の台風被害の特徴だったと言えます。
復旧するにはお金が必要です。マスコミは被害の場面は報道しますが、あとのことはあまり報道しません。現実は被害にあってからそれを立て直すのが大変なのです。
日本政策金融公庫とは
- 日本政策金融公庫は国の金融機関です
日本政策金融公庫は国策金融機関です。主な融資先は中小企業や農林漁業者となっています。
従来の国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が解体・統合し、2008年に株式会社日本政策金融公庫設立が設立されました。
日本政策金融公庫の店舗は沖縄県を除く46都道府県にあります。店舗数は152となっています。
沖縄県は、沖縄振興開発金融公庫が同様の機能を果たしています。
(写真出所:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%94%BF%E7%AD%96%E9%87%91%E8%9E%8D%E5%85%AC%E5%BA%AB より)
日本政策金融公庫の略称は「日本公庫」(にっぽんこうこ)です。
普通のサラリーマンはほとんどお世話になることはないと思います。KAZUTOYOも中小企業診断士でなければ知ることはなかったかもしれません。
直接貸付と代理貸付
貸付には「直接貸付」と「代理貸付」があります。
これも一般のサラリーマンだと意味がわからないと思います。KAZUTOYOも当初わかりませんでした。
直接貸付は日本公庫各支店の中小企業事業の窓口に行って貸付をしてもらうこと。
代理貸付は日本公庫中小企業事業の代理店の窓口に行って貸付をしてもらうことです。代理店は地銀や信用金庫が窓口になっています。金融機関の貸付に関するパンフレットをみると大体書いてあるはずです。
なぜ代理貸付があるかというと、日本公庫の店舗はちょっと大きな市にしかないからです。利用したくても地方の方だと利用しにくいのです。信用金庫はどこにもあるので、利用がしやすく信金の窓口で日本公庫の貸付をしてくれると便利だからです。
日本政策金融公庫の災害復旧貸付とは
- 災害復旧貸付は災害で被害に遭われた方の為の貸付です。
今回の台風19号による相談は通常の貸付相談ではなく、通常より金利を優遇する災害復旧貸付関連の相談です。
災害復旧貸付は地震、台風、豪雪や大規模な火災などの災害を受けた中小企業者の事業の復旧を促進するための貸付です。復旧のための貸付ですから金利は低く設定されているのです。
具体的な金利について知りたくて、日本政策金融公庫のホームページを調べましたが、「詳しくは、支店の窓口までお問い合わせください。」となっています。ですが、基準金利は1.1%というのが一般的ですから、それより低いと考えられます。
参考:「日本政策金融公庫 災害復旧貸付のページ」、「日本政策金融公庫 基準金利掲載のページ」
なお、10月29日に日本政策金融公庫から「台風第19号に伴う災害により被害を受けた中小企業者等の皆さまに対する特別措置について」という件名でニュースリリースがありました。
https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_191029a.pdfより切り抜き
これによると、台風第19号に伴う災害により被害を受けた岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県の区域に事業所を有する中小企業・小規模事業者等を対象として、特別措置を設けるというものです。
融資後3年間、「災害復旧貸付」の利率を0.9%引下げるということです。
ということなので、基準金利1.1%-0.9%=0.2%以下にはなるはずです。
0.2%ということは、100万円借りても2000円以下の金利ということです。
被害を被った方は、お近くの日本公庫に一度相談してみるとよいと思います。
まとめ
台風19号被害による融資相談件数は?
相談件数689件 西日本豪雨の時とほぼ同レベル
日本政策金融公庫は国策金融機関です。主な融資先は中小企業や農林漁業者となっています。
災害復旧貸付は地震、台風、豪雪や大規模な火災などの災害を受けた中小企業者の事業の復旧を促進するための特別な貸付です。 |