中小企業診断士の視点:日本の小売商業構造

日本の小売商業構造について

商店街のシャッター通りのように、零細・小規模な小売店はどんどん少なくなっています。

昔と比較して、どうなっているのか知りたいと思いませんか?

 

中小企業診断士になると、なんとなくの印象ではなく、データで客観的に示す必要があります。

今回は、日本の小売商業の構造や特徴について書いていきます。

この記事を読むと、日本の小売商業構造がわかります。

 

少しでも参考になれば、幸いです。

 

中小企業診断士の視点:日本の小売商業構造

記事の内容

  • 小売商業の特徴(4つあります)
  • 零細小売事業所が存続できた理由
  • 小売業商業の変化とその理由

小売商業の特徴

我が国の小売商業には次の特徴があります。

①規模の零細性

②店舗の過多性

③経営の生業性

④低生産性

小売業の事業所数の推移の表とグラフ 

小売業の事業所数の推移 単位(千店)
従業者数 1994年 1997年 1999年 2002年 2004年 2007年 2014年
4人以下 1,135.7 1,059.3 1,002.2 887.0 852.9 756.5 485.3
5~19人 312.2 305.9 338.7 344.6 320.1 316.2 234.0
20~49人 42.0 43.3 51.9 52.9 50.2 49.6 42.3
50人以上 10.0 11.2 14.1 15.5 14.9 15.5 13.6
合計 1,449.9 1,419.7 1,406.9 1,300.1 1,238.0 1,137.8 775.2

 (経済産業省:商業統計調査より 「フリーランスのおじさんブログ」加工編集)

①規模の零細性

  • 4人以下の事業所が62%

商業統計調査による2014年での調査です。

4人以下の事業所数が全体の62%を占めています。4人から19人までの事業所数も加えると、全体の93%は19人以下の事業所になります。

つまり、日本の小売業は小規模事業所が多いということです。

しかも、4人以下のいわゆるパパママストアが、減少傾向であるももの、依然として全体の62%を占めています。

 

②店舗の過多性

  • 店舗が過多なのも特徴です

我が国は人口に対する店舗密度も他の先進諸国と比較して高く、過多性というのも特徴になっています。

 

③経営の生業性

  • 家族労働に依存し、生業性が高い

62%の小売業は、4人以下の従業者数でパパママストアと言えます。このような事業所は主に家族労働に依存する極めて生業性が高い事業所といえます。

 

④低生産性

  • 低生産性も特徴です

③の経営の生業性にも関連しますが、零細な事業所が多く、そのような事業所は大規模小売業と異なり分業化されていません。また経営的にも高度化されていなません。そのため、多くの割合を占める零細な事業所の影響を受け、全体的には生産性が低くなります。

 

零細小売事業所が存続できた理由

  • 保護政策があったから

従来、国は中小企業を弱者と位置づけ保護政策をとってきました。大店法による大型店の出店規制、また薬事法、食糧管理法、酒税法などにより小規模零細な企業を保護してきました。例えば、酒は酒屋でしか売ることができなった時代を覚えている人もいるでしょう。

こうして、中小零細企業は守られてきたのです。

しかし、1989年から1990年までの日米構造協議以降、こうした保護政策は外資系企業の進出にあたり、非関税障壁となると圧力があり、徐々に規制を緩和していったのです。

 

小売業商業の変化とその理由

  • 零細・小規模小売業の減少

時系列でみると、零細・小規模小売業は一貫して減少していることがわかります。

 

  • 零細・小規模小売業の減少の理由

減少の理由は

  1. 後継者がいない
  2. 競合店の進出による経営難:大規模小売店、コンビニエンスストアが増加し、零細・小規模小売業の存在意義が少なくなってきたことがあります。
  3. 経営者の高齢化

などが挙げられます。

 

まとめ

小売商業の特徴

  1. 規模の零細性:4人以下の事業所が62%
  2. 店舗の過多性
  3. 経営の生業性:家族労働に依存し、生業性が高い
  4. 低生産性

零細小売事業所が存続できた理由

国の保護政策があったから

小売業商業の変化

零細・小規模小売業の減少は一貫して減少しています

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。