中小企業診断士の視点:日本の商慣行

日本にあった商慣行とは何?

最近はあまり聞かれなくなくなりましが、日本には過去日本特有の商慣行がありました。

今回は、過去日本にあった商慣行について書いていきます。

 

日本にあった、と書いていますが、業界によってはまだ残っていることもあります。

 

この記事を読むと日本の商慣行についてわかるようなります。

 

中小企業診断士の視点:日本の商慣行

記事の内容

  • メーカーから流通業者への商慣行
  • 小売業者から納入業者への商慣行
  • 商慣行のメリット
  • 商慣行のデメリット

メーカーから流通業者への商慣行

―店―帳合制

小売店が同一メーカーの商品を1つの卸売業者からしか仕入れられないこと

 

委託販売制

生産者が所有権の移転をせずに商品を流通業者に出荷し、流通業者の販売終了時点で所有権の移転を行うこと。生産言は流通業者の販売行為に対し一定の手数料を支払います。

これは、消化仕入れとも言われ、今でも百貨店では行われているようです。

こうした制度は百貨店の自主的な品揃え能力を低下させ、結果的に現在の百貨店の販売力の減少につながっているとの考えかたもあります。

 

再販売価格維持行為

メーカーが流通業者に対し自社製品の販売価格を拘束すること。

ひと昔前までは書籍類や音楽レコード・CDなどはどこの店でも同じ価格でした。

 

専売店制

メーカーが自社商品だけを取り扱う流通業者を組織化すること。

 

建値制

メーカーが設定した希望小売価格に基づいて各流通段階の価格を体系化すること。

いわゆる定価販売やメーカー希望小売価格といったものです。この制度により、弱小店でも商売が成り立つといったこともあったのですが、古くはダイエーなどの大型スーパーが定価販売をせず、低価格販売を始めたことが原因で、弱小店の商売が成り立たなくなっていったのです。

 

テリトリー制

メーカーが流通業者に対し自社製品の販売地域を制限すること。

 

店会制

メーカーが自社商品を販売する流通業者を組織化し、販売援助等を行うこと。

これは、昔の家電店はそうなっていました。小規模なナショナルの店、日立の店、サンヨーの店、などが各町にありました。メーカーが組織化しチェーン組織としていました。これらの店は、基本的に他社のメーカーの商品は扱っていませんでした。

 

リベート制

売り手と買い手との商取引が成立した後に一定条件を満たした買い手に対して、売り手から支払われる割戻金のこと。これは現在でも行われている制度です。

 

小売業者から納入業者への商慣行

押しつけ販売

納入業者に対し取引関係を利用して商品・サービスの購入を要請すること。

 

協賛金

小売業者が催事などのため納入業者に金銭的負担を要請すること

これは、私が家電量販店にいたときはよく要請していました。

拡売・協賛伝票というものがあって、何かあるときは、セールス担当に金額を記入した伝票にサインしてもらっていました。

 

派遣店員制

納入業者が納品した商品の販売のために従業員を派遣すること。

家電量販でも、よくみられる光景でした。メーカーがお金をだして従業金を派遣していて派遣店員が自社の商品を売ることに力をいれていました。派遣店員同士が、お客を取り合ってもめることも昔はよくありました。

 

返品制

小売業者が購入した商品を返品すること

 

その他

輸入総代理店契約

海外事業者が、商品の国内全域の一手販売権をある事業者に与えること

 

商慣行のメリット

商慣行は継続的で安定的な関係を構築でき、様々なリスクを回避できる合理性を持つことができます。また事業者間での取引を円滑に進めることができます。

 

商慣行のデメリット

取引条件が複雑で不明確なことが挙げられます。

また、個人的な関係を重視した組織的取引や特殊な取引条件の存在も認められます。消費者利益や自由な競争を阻害する要因となっているとの指摘もあります。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。