今後日本の景気はどうなるのか?
「製造業の設備投資、2年ぶり前年割れ」との記事が日経新聞のWEB版に掲載されていました。
財務省が2日発表した4~6月期の法人企業統計によると、製造業の設備投資は前年同期比で6.9%減の3兆6156億円と、2017年4~6月期以来、2年ぶりに前年を下回った、との内容です。
また、KAZUTOYOの地元紙には米中摩擦の影響で、スマートフォン向け部品などの需要が減少し、企業が生産能力増強に向けた投資を手控えたとあります。
さらに経常利益も非製造業を含む全産業(金融・保険業を除く)で12.0%減と大幅に落ち込んだとあります。
ということで、今回は今後日本の景気がどうなるのかについて政府データと新聞記事を元に書いていきたいと思います。
外れることもあります。ご了承ください。
Contents
中小企業診断士の視点:経済予測・日本の景気はどうなる?
記事の内容
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この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが政府の資料と新聞記事(WEB版を含む)を元にまとめたものです。
1.景気が良い、景気が悪いとはどういうことか
- カギはGDP(国内総生産)
景気を表す指標の代表はGDP(国内総生産)です。
GDP(国内総生産)の増え方が早い場合、景気が良い状態となります。GDPの増え方が遅かったり、前年と比較してマイナスになっている場合は景気が悪化している状態と言えます。
GDPの推移をみれば、景気が良くなっているのか悪くなっているのかがわかるのです。
名目GDPと実質GDP
名目GDPはその時の金額でそのまま表したものです。実質GDPは物価の変動による影響を取り除いたGDPのことです。
農産物のように価格が大きく変動する商品などは、価格が2倍になった時、名目GDPも2倍になりますが、2倍消費したわけではありません。そのような物価の変動を取り除いたのが実質GDPです。
2.GDPの構成要素
- GDPの構成要素は大きく分けて7つです
GDPの構成要素は次の7つに分けられます。
- 民間最終消費支出
- 政府最終消費支出
- 民間住宅
- 民間企業設備
- 公的固定資本形成
- 在庫変動
- 財貨・サービスの純輸出
2の政府最終支出は公務員の給料や公共教育支出、医療保険や介護保険の政府負担分です。
5の公的固定資本形成は、公共投資です。公共事業等に支出されたものです。
7の純輸出は輸出総額から輸入総額を差し引いたものです。
2017年のGDP構成要素
2017年のGDPの構成要素の金額は以下のようになります。
表は内閣府のホームページのデータを参考にKAZUTOYOが作成しています。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h29/h29_kaku_top.html のデータを参考に独自に作成しています。
2017年のGDPの総額は約547兆円であることがわかります。
日本のGDPの特徴
民間最終消費支出の額が一番大きい
円グラフを見てください。民間最終消費支出の額が一番大きくなっています。
日本は外需の国ではなく内需の国ということです。次に、政府最終消費支出です。3番目に民間企業設備です。
よく悪者扱いされる公共事業など公的固定資本形成は4番目で意外に少ないことがわかります。
円グラフは内閣府のホームページのデータを参考にKAZUTOYOが独自に作成しています。
また、日本は昔から貿易立国と言われますが、意外なことに貿易ではそれほど儲かっていないこともわかります。(財貨・サービスの純輸出が貿易の収支ということです。)
また、上でも書きましたが、もはや日本は外需の国ではなく内需の国ということがわかります。
貿易に関して
本当に貿易では大して儲かっていません。
日本は昔から貿易立国と言われています。
しかし、内閣府のデータでは上の円グラフのように大して儲かっていません。
疑うわけではありませんが、念のため今度は財務省のホームページから輸入と輸出の数値を引っ張りだしてみました。
以下のようになっています。
直近では、輸出額、輸入額とも80兆円近くありますが、差し引いた差額(純輸出)はほんのちょっとです。直近ではマイナスとなっています。
GDPの構成要素である純輸出の金額が小さいことが納得できました。
財務省http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/time_latest.htmのデータより
4.消費増税の影響
- 消費増税の影響は大きい
円グラフのように、GDPの構成要素の中で、一番大きなものは民間最終消費支出です。消費増税はこの一番大きな要素に直接影響します。
軽減税率などプラスに働く要素もありますが、増税は民間最終消費支出を減少させると予想できます。過去の事例では増税後は景気は悪化しています。今回の増税後も景気が悪くなる可能性があります。
政府は景気対策も増税と平行して行うようですが、効果は未知数です。
5.新聞やWEB情報から見た今後の予想
- 設備投資の減少はGDPに影響
民間企業設備はGDPの中で3番目に大きい構成要素です。
日経の「製造業の設備投資、2年ぶり前年割れ」の記事は、この要素も減少することを表すものです。
また、KAZUTOYOの地元紙の「米中摩擦の影響で、スマートフォン向け部品などの需要が減少し、企業が生産能力増強に向けた投資を手控えた、」というのも民間企業設備の減少の話です。
これらの記事は、今後更にGDPの減少があることを予測させるものです。
6.東京オリンピックの影響
東京オリンピックがGDPを増加させる
公的固定資本形成は増加
現在、東京五輪開催に向けて、関連する施設の建築・整備を行っています。それは公的固定資本形成の数値を増大させることになっています。公的固定資本形成はGDPの構成要素の中で、4番目に大きな要素です。
従って東京五輪の開催の準備はGDPを大きくする作用もあるのです。
民間最終消費支出も増加
東京五輪が開催されれば訪日外国人が増加することは確実です。日本人も東京にいってオリンピック見る人も多くいると考えられます。
これらの人々は国内でお金を消費することになり、GDPの民間最終消費支出を増やすことになります。
7.東京五輪までは景気が悪くならないか?
- 東京オリンピック後が課題
現在消費増税による民間最終消費支出の減少、民間企業設備投資の減少によるGDP減少が懸念されています。一方、東京オリンピックは公的固定資本形成増になります。
したがって、トータルでは東京オリンピックまでは、大きく景気が落ち込むことはないと予想されます。
でも、東京オリンピック後が課題です。それから先何か手を打たないと、民間最終消費支出の減少、民間企業設備投資の減少、公的固定資本形成の減少が全てそろってしまい、GDPの伸びは期待できないことになります。
GDPの伸びが期待できないということは、景気が悪くなるということです。
まとめ
経済予測・日本の景気はどうなる?
GDP(国内総生産)の増え方が早い場合、景気が良い状態となります。GDPの増え方が遅かったり、前年と比較してマイナスになっている場合は景気が悪化している状態です。
GDPの構成要素は次の7つに分けられます。
GDPの構成要素の中で、一番大きなものは民間最終消費支出です。消費増税はこの一番大きな要素に直接影響します。民間最終消費支出の減少になることが予想されます。
設備投資の減少はGDPの中で3番目に大きい構成要素である民間企業設備を減少させます。
東京オリンピック開催は公的固定資本形成、民間最終消費支出を増やしGDPを増加させることになります。 ですが東京オリンピック後はプラスの要因がなくなり景気が悪くなる可能性が高まります。 |