終身雇用制、その他の日本的経営とは

日本的経営とは

2019年4月20日のヤフーニュースによると、経団連会長の中西氏は「終身雇用を続けていくのは難しい」と語ったそうです。

 

 

終身雇用制は、日本的経営の特徴の一つです。その一つが終焉を迎えようとしています。

そこで今回は、終身雇用制を含む以外の日本的経営の特徴について代表的なものについて書いていきます。


この記事を読むと、日本的経営の一部がわかります。

 

終身雇用制、その他の日本的経営とは

記事の内容

  • 労働関係の日本的経営の特徴(3つあります) 
  • 会社内の日本的経営の特徴(3つあります)

労働関係の日本的経営の特徴

①終身雇用制

②年功序列制

③企業別労働組合

①終身雇用制

従業員を定年年齢に達するまで、リストラすることなく雇用を続ける制度、というより慣行です。

このため、昔の従業員は安心して働くことができ、会社に対する忠誠心も生まれたのです。また、生活設計も立てやすくなります。終身雇用を信じていたので、35年ローンなどでもマイホームを購入できました。

 

終身雇用が崩れると多くの人がマイホーム購入に二の足を踏むようになります。その結果、建設業がジリ貧になるでしょう。

 

最近、富士通が45歳以上の従業員についてリストラを始めるという話題もありました。日本の多くの会社は今後、そのような方向に進んでいくのでしょう。もう戻れないと思います。

 

終身雇用を信じられるのは、公務員だけになります。今まで以上に、公務員を目指す人が増えることが予想されます。

 

②年功序列制

年功序列制は、年功をおもな基準として、職場の秩序を確立していこうとする制度です。年功序列制には、年功賃金制度と年功昇進制度があります。

 

年功賃金制度は、勤続年数などに応じて、だんだんと賃金が上がっていく制度です。能力が上がっていかなくてもそれなりに給料は上がっていくので、安心して仕事をすることができます。

 

また、会社を辞めない、辞められない理由にもなります。多少理不尽なことがあっても会社にしがみつくことになります。(会社を辞めて転職しても待遇が悪くなることは予想できるため)

 

年功昇進制度は、年齢や学歴、勤続年数などに応じて、昇進していく制度です。ある程度の年齢になると、なんとなく昇進していくので、本人のプライドが保てます。会社をおいそれとは辞められないということにもなります。

 

私も家電量販店に勤めていたときは、この制度のおかげでなんとなくフロアー長という立場になりました。

 

③企業別労働組合

企業別組合は企業ごとに組織された労働者の組合です。

欧米では、企業の壁を越えた産業別労働組合が有名ですが、日本の場合は企業ごとに労働組合があることが特徴です。

 

このため、労働組合といっても会社に対して敵愾心よりも帰属的な気持ちが強く、運命共同体として一緒に頑張っていこうという行動が見られます。

 

企業別労働組合はある程度大きな会社でないと、組合自体ない場合もあります。私の元いた家電量量販店には組合はありませんでした。

組合がなかった話

私の元いた家電量販店には組合はありませんでした。

ないというより、作らせなかったようです。

先輩社員で倉庫管理の人がいました。倉庫は地下にあり、一日中太陽の光に当たることはない職場でした。

後で聞いた話によると、その先輩は会社内に組合を作ろうと画策したことで、そのような職場に置かれることになったそうです。

昔は、そのようなことが平然と行われていたのですね。

その先輩は確か、私が辞めるまでずっと同じ職場で倉庫管理をしていた気がします。普通は2、3年ごとに異動があり、私も店舗間を異動していました。でも先輩は一度も異動はなかったのです。ずっと倉庫番でした。


なんで辞めないのだろう、と当時は思っていました。

 

会社内の日本的経営

①稟議制度

②福利厚生

③小集団活動

①稟議制度

稟議制度とは、経営上の案件について、下位の管理者が上位の管理者層に対して、文書を書いて決済を受ける制度をいいます。

 

決済には時間がかかるのが普通で、企業規模が大きくなればなるほど、多段階の意識決定過程を経なければならず、稟議書がたどる経路が長くなります。

 

このため、大企業では下位組織の者がなにかやろうと決めても、稟議書を回して決済を受けるまでにかなりの日数を要することになり、チャンスも逃すこともあります。

 

稟議制度はいったんことが決まれば、動きだすのは早いのですが、それまでが長いのです。

大企業病の温床ともなった制度ということもできると思います。

大企業病(だいきぎょうびょう)とは、主に大企業で見られる非効率的な企業体質のことである。

組織が大きくなることにより経営者と従業員の意思疎通が不十分となり、結果として、組織内部に官僚主義セクショナリズム事なかれ主義、縦割り主義などが蔓延し、組織の非活性をもたらす。社員は不要な仕事を作り出し、細分化された仕事をこなすようになる傾向がある。(ウィキペデアより 大企業病

 

②福利厚生

福利厚生は、賃金給与以外で従業員の就業条件や生活文化条件などを改善するため、企業が実施する施策のことを言います。

企業福祉ともいいます。

福利厚生は法律によって義務付けられている法定福利と法律に定められていない法定外福利があります。

法定福利には、健康保険や厚生年金などの社会保険、雇用保険や労災保険の労働保険があります。

法定外福利には、レクレーション施設の設置や保養施設の設置、財産形成の支援などがあります。

 

③小集団活動

小集団活動は製造業などで、職場に少人数のグループを作り、グループが自主的に業務に関する目標や計画をたてて実行していくことです。大企業の製造現場などではよく見られます。

 

製造物の品質の向上や仕事の改善などの効果が期待できます。小集団活動では、集団内のコミュニケーションの円滑化や自己啓発の向上、モチベーションの向上、職場内の雰囲気がよくなる、などの効果があるとされます。

 

まとめ

終身雇用、その他の日本的経営とは

  • 労働関係の日本的経営

終身雇用制、年功序列制、企業別労働組合 など

  • 会社内の日本的経営

稟議制度、福利厚生、小集団活動 など

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。