中小企業診断士の視点:マーケティングとマーチャンダイジングの違い

マーケティングとマーチャンダイジングの違いってなんだろう?

中小企業診断士の勉強をしているとマーケティングを勉強します。そして運営管理でマーチャンダイジングにつていて勉強します。

マーケティングとマーチャンダイジングについては異なる科目で勉強していきます。

それぞれについては、理解しても内容的には重複しているような部分もあります。

では科目横断的に見て、どこが違うのだろうと、ふと疑問に思います。ですがそれについて解説しているような本もほとんど見当たりません。

私も、当初マーケティングとマーチャンダイジングについは別個の科目として勉強していたので、両者の関係については、よく理解していませんでした。

そのような人も多いかと思います。

とういうことで、今回はマーケティングとマーチャンダイジングの違いについて書いていきたいと思います。

この記事を読むとマーケティングとマーチャンダイジングの違いがわかるようになります。

また、関わり合いについてもわかるようになります

中小企業診断士の視点:マーケティングとマーチャンダイジングの違い

記事の内容

  • マーケティングの考え方(2つあります)
  • マーチャンダイジングの考え方(2つあります)
  • マーケティングでよく使われる用語(2つあります)
  • マーチャンダイジングでよく使われる用語(2つあります)
  • マーケティングとマーチャンダイジングとの関わり

私は中小企業診断士でもありますが、1級販売士の資格も取得しています。また、販売士登録講師でもあります。販売士ではマーチャンダイジングについて特に勉強しています。

マーケティングの考え方

①マーケティングの主体 

②マーケティングの基本的コンセプトの特徴

①マーケティングの主体

  • メーカー(製造業者)側の視点で考えられてきたのがマーケティングです

もともとマーケティングを行う主体はメーカー(製造業者)でした。それが大きな特徴です。いまでは、メーカーでない組織でもマーケティングの考えを取り入れマーケティング的な活動を行っています。

メーカーは製品(商品)・サービスを作って世に出します。その際にどんな製品(商品)・サービスを作って、世の中にどんなやり方で出すのかを決めるのがマーケティングです。

いまでこそマーケティングはあらゆる組織活動で採用されていますが、もともとはメーカー(製造業者)側の視点で考えられてきたのがマーケティングというのが、大きな特徴ということを押さえておいてください。

②マーケティングの基本的コンセプトの特徴

  • マーケティングの基本コンセプトは製品(商品)・サービスの製造から販売、消費者に関わることすべてが領域となります。

マーケティングの基本コンセプトはかなり広くフワッとしてします。メーカーが製品(商品)・サービスを世に出すことに関連することと消費者に関わること、すべてがマーケティングと言えるからです。

私が昔読んだ本には、「マーケティングとは組織(企業等)と市場との関わり合いのことである。」というような言葉がありました。

無知の私は、「????」って感じでした。

まずメーカーは新しい製品(商品)・サービスを世に出すときにはリサーチをします。市場調査であり、マーケティング調査です。当然それはマーケティング領域です。またテスト販売をすることもあります。それもマーケティング領域です。

宣伝もマーケティング領域です。消費者にアンケートを取ることもありますが、それも当然マーケティング領域です。

まさに「マーケティングとはメーカーの市場との関わり合いのことである。」が全てマーケティングなのです。

マーチャンダイジングの考え方

①マーチャンダイジングの主体

②マーチャンダイジングの基本的コンセプトの特徴

①マーチャンダイジングの主体

マーチャンダイジングの主体は小売業者(リテーラー)で、小売業者(リテーラー)の視点で考えられてきた概念です。

マーチャンダイジングの主体は小売業者です。これがマーケティングとの大きな違いです。メーカーではなく小売業者なのです。マーチャンダイジングは日本語では商品化計画または商品政策と訳されます。

マーチャンダイジングは小売業者が行うことです。これを押さえておいてください。

マーケティングはもともとメーカーの視点で考えられた領域で、マーチャンダイジングは小売業者の視点で考えられた領域で、それぞれ別に発展してきたのです。

②マーチャンダイジングの基本的コンセプト

  • マーチャンダイジングには商品・サービスを製造する考え方はない

マーチャンダイジング(商品化計画・商品政策)の中には、商品を製造するという考え方は普通はありません。小売業は基本的に消費者ニーズに合う商品を作るのではなく、「仕入れる」からです。

基本は出来上がった商品(製品)の中かから、ターゲットと定めた消費者ニーズに合う商品を仕入れて、ターゲットに合った「品揃え」を行うことが、マーチャンダイジングです。

マーケティングでよく使われる用語

①マーケティング4P(マーケティング・ミックス4P)

②マーケティング戦略

①マーケティング4P(マーケティング・ミックス4P)

  • マーケティング4Pはマーケティングに関わる要素のこと

マーケティング4PはProduct(プロダクト:製品)戦略、Price(プライス:価格)、Place(プレイス:流通)、    Promotion(プロモーション:販売促進)のことです。

マーケティング要素を4つに分けて、その頭文字をとって4Pといっています。

つまり、この4つの要素に関連することは全てマーケティングと考えることができます。

②マーケティング戦略

  • マーケティング戦略もよく使われる言葉です

マーケティング戦略も、よく耳にします。私は簡単にマーケティング戦略を考える場合、次のような順番で考えていきます。これらのすべてがマーケティング戦略です。

  1. 売上高、利益などのマーケティング目標の設定
  2. SWOT分析などの環境分析:SWOT分析(スウォット分析)とは、「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されたフレームワークです。
  3. 誰のどんなニーズ・欲求に対して何をどのように売っていくかの検討
  4. マーケティング4Pの検討

マーチャンダイジングでよく使われる用語

①マーチャンダイジング

②マーチャンダイジングの5つ適正

①マーチャンダイジング

  • マーチャンダイジングは商品化計画または商品政策のこと

マーチャンダイジングは商品化計画または商品政策のことで、結果的に小売業の売り場では「品揃え」としてあらわれます。

ですから、人によって店の「品揃え」のことをマーチャンダイジングと言っている人もいます。

本当はもっと広い意味なので、正確には違いますが。

このマーチャンダイジングの「品揃え」でよく使われるのが、「品揃え」の展開方法です。

マーチャンダイジングを考える場合、商品の「品揃え」は、その「幅:Width」と「奥行き:Depth」で表現されます。

幅というのはどれだけ商品カテゴリーが広いかということです。例えばコンビニなどは食料品もあるし、電池、雑誌、文房具等も売っているので品揃えの「幅:Width」は広いと言えます。しかし、商品カテゴリーごとの種類は少ないので、品揃えの「奥行き:Depth」は浅いと言えます。

このように、マーチャンダイジングでは、「品揃え」を、その「幅:Width」と「奥行き:Depth」で表現するのが特徴です。

品揃えは大きくわけて次の4つに分類されます。

品揃えタイプ 幅:Width 奥行き:Depth 店舗例
N&S型 狭い:narrow 浅い:shallow コンビニ
N&D型 狭い:narrow 深い:deep 専門店
B&S型 広い:broad 浅い:shallow ディスカウントストア
B&D型 広い:broad 深い:deep 百貨店

②マーチャンダイジングの5つ適正

  • マーチャンダイジングの5つ適正もよく使われる用語です

マーチャンダイジング(商品化政策、店舗現場では「品揃え」で表現される)を消費者ニーズに適合させるために、5つの適正について検討するということです。

5つの適正とは

  1. 適正な価格
  2. 適正な場所
  3. 適正な時期
  4. 適正な数量
  5. 適正な価格

で、商品を顧客に提供することです。

マーケティングとマーチャンダイジングとの関わり

  • Product戦略+Price戦略≒マーチャンダイジング、マーチャンダイジングにはプロモーション戦略はない

メーカーのProduct戦略+Price戦略≒小売業ではマーチャンダイジング、で表現されます。

マーケティング4PのProduct(プロダクト:製品)戦略、Price(プライス:価格)戦略は、小売業のマーチャンダイジングとほぼかぶります。

大雑把にいって、メーカーのマーケティングのProduct(プロダクト:製品)戦略、Price(プライス:価格)戦略を合わせたものが、小売業ではマーチャンダイジング(商品化政策、店舗現場では「品揃え」で表現される)とほぼ同義ということが言えます。

もっとも、基本メーカーは商品を作りますが、小売業は仕入れる、という決定的な違いはあります。

次に特徴的なのはマーケティング4PのPromotion(プロモーション:販売促進)というのはマーチャンダイジングにはありません。Promotion(プロモーション:販売促進)は、広告、パブリシティ、人的販売、販売促進)等を考えますが、マーチャンダイジングにはプロモーションの検討は入っていないのです。

中小企業診断士の視点:マーケティングとマーチャンダイジングの違いのまとめ

マーケティングの考え方

  • マーケティングの主体

メーカー(製造業者)側の視点で考えられてきたのがマーケティングです。

いまでは、メーカーでない組織でもマーケティングを取り入れています。

  • マーケティングの基本的コンセプトの特徴

マーケティングの基本コンセプトは製品(商品)・サービスの製造から販売、消費者に関わることすべてが領域となります。

マーチャンダイジングの考え方

  • マーチャンダイジングの主体

マーチャンダイジングの主体は小売業者(リテーラー)で、小売業者(リテーラー)の視点で考えられてきた概念です。

  • マーチャンダイジングの基本的コンセプト

マーチャンダイジングには商品・サービスを製造する考え方はない

マーケティングでよく使われる用語

  • マーケティング4Pはマーケティングに関わる要素のこと

マーケティング4PはProduct(プロダクト:製品)戦略、Price(プライス:価格)、Place(プレイス:流通)、    Promotion(プロモーション:販売促進)のことです。

  • マーケティング戦略

マーケティング戦略もよく使われる言葉です。

マーチャンダイジングでよく使われる用語

  • マーチャンダイジング

マーチャンダイジングは商品化計画または商品政策のこと

  • マーチャンダイジングの5つ適正

マーチャンダイジングの5つ適正もよく使われる用語です。

適正な価格、適正な場所、適正な時期、適正な数量、適正な価格、で商品を顧客に提供することです。

マーケティングとマーチャンダイジングとの関わり

メーカーのProduct戦略+Price戦略≒小売業ではマーチャンダイジングで表現されます。また、マーチャンダイジングにはプロモーション戦略の概念は基本的にありません。

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。