人工衛星と通信するアンテナをシェアするビジネス
地元新聞を見ていたら、人工衛星と通信するアンテナを国境を超えてシェアするビジネスを行っているベンチャー企業の記事を目にしました。
今回は、その話です。
この記事を読むと、宇宙産業はなにもロケットを作ることや打ち上げることだけではないことがわかります。
アイデアと頭脳、実行力があれば、宇宙産業に関わるビジネスを展開することができるのです。
Contents
中小企業診断士の視点:人工衛星と通信するアンテナをシェアするビジネス
記事の内容
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この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
人工衛星と通信するアンテナをシェアするビジネス
- 東京のベンチャー企業が始めました
人工衛星と通信するアンテナをシェアするビジネス始めたのは、東京のベンチャー企業「インフォステラ」です。自前の通信設備を持つ国内、国外の企業と契約して、アンテナを使っていない時間帯に、利用させてもらうアイデアを実現したビジネスです。
ビジネスの背景といままでの問題点
- 今後の成長産業
小型衛星を使った宇宙ビジネスは現在活況を呈しているらしく、今後の発展が見込める成長産業です。
超小型人口衛星の画像
※画像出所:https://www.infostellar.net/ja/news/kyutech-partnership
でも、問題がありました。
その一つがアンテナ設置です。新規企業が参入する上で問題となるのが、衛星と通信するためのアンテナをどうやって設置するのかということです。
多くの小型衛星は約90分で地球を一周するということですが、一か所にアンテナを設置しただけだと衛星と通信できるのは1日にたったの4回なのだそうです。
時間にして40分程度ということです。
世界各地に多くのアンテナがあればもっと長時間衛星と通信できることになりますが、それには多額の資金が必要になります。
しかし、一つの基地局の設置には約1億円かかるとのことです。これに加え、基地用地の確保の問題や運用費などもあるため、ハードルが高いのです。
よほどの資金力がある企業でないと、参入できない市場です。
問題を解決するための方法がアンテナのシェアだった
- アンテナシェアで問題解決
人口衛星との通信アンテナの問題を解決するアイデアがアンテナシェアです。
東京のベンチャー企業「インフォステラ」の創業者で代表の倉原さんのアイデアです。
通常の基地局のアンテナは1日のうちのほとんどが「遊んでいる状態」であることに目をつけました。
そのような基地局は世界中にあります。
その世界中に点在するアンテナを組み合わせれば、常に衛星と通信できるネットワークが構築できるのではないかと思いついたのです。
このアイデアをもとに、今の事業を展開しているのです。
現在は沖縄、オーストラリア、英国、南アフリカなど国内、国外十数か所のアンテナを使う契約を結び、シェアリングサービスのビジネスを行っているとのことです。
すでに利用を始めている会社もあるとのことです。
もう一つの事業は衛星の初期運用サービス
- アマチュア無線のアンテナを活用
「インフォステラ」が行うもう一つの関連事業として、衛星の初期運用支援サービスがあります。
人口衛星はロケットで打ち上げてもすぐに利用できるようにはなりません。
数か月にわたる初期運用が重要なのです。
この初期に、いろいろなトラブルが発生することが多いということです。うまく対応しないといけません。ということは、初期運用期間は地上と衛生との間で緊密なやりとりが必要になるということです。
その初期運用を支援するのが、同社が行うもう一つの支援サービスです。
その通信設備には、アマチュア無線のアンテナを活用しています。専用のアンテナを1から開発しなくてもすむので開発費も抑えられているはずです。
人口衛星と通信するアンテナ
※画像出所:https://www.infostellar.net/ja/news/announcing-stellarstation-amateur
まとめ
小型衛星を使った宇宙ビジネスは現在活況を呈していますが、活用するには各地にアンテナ設置が必要で費用が膨大になることが問題でした。その問題を解決するための方法が世界に点在するアンテナのシェアということです。
アマチュア無線のアンテナを利用することでコストを削減しています。 |