中小企業診断士試験の特徴を知ることが合格への道?

中小企業診断士の試験には特徴がある?

中小企業診断士を目指して勉強しているあなたなら既に知っている常識かもしれませんが、中小企業診断士の試験には特徴があります。

 

ただ、まだなんとなく中小企業診断士になりたいと思っているだけの人は、中小企業診断士の試験の特徴をわかっていないこともあると思うので、お伝えします。

 

既に中小企業診断士の試験について詳しい方は読む必要はありません。

 

中小企業診断士試験の特徴を知って、特徴を踏まえた上で勉強していくことが合格の鍵となると私は考えています。

少しでも参考になれば幸いです。

 

中小企業診断士試験の特徴を知ることが合格への道?

記事の内容

  • データから見る中小企業診断士試験の特徴
  • 中小企業診断士勉強上でのポイント

この記事は私の体験と見聞きしたことに基づいています。

 

データから見る中小企業診断士試験の特徴

①中小企業診断士合格率・合格者数の推移

②表・グラフを見て言えること

③今後の見通し

 

①中小企業診断士合格率・合格者数の推移

  • 平成13年度から平成30年度までの一次試験合格率、二次試験合格率、二次試験合格者数を表とグラフで表しました。以下のようになります。

 

中小企業診断士一次試験合格率・二次試験合格率・二次合格者数の推移
年度 一次試験合格率 二次試験合格率 一次合格率×二次合格率 二次試験合格者数
平成13年度 51.3% 10.7% 5.5% 627
平成14年度 31.7% 10.0% 3.2% 638
平成15年度 16.2% 16.9% 2.7% 707
平成16年度 15.7% 20.3% 3.2% 646
平成17年度 22.2% 19.6% 4.4% 702
平成18年度 22.3% 20.1% 4.5% 805
平成19年度 18.9% 20.2% 3.8% 799
平成20年度 23.4% 19.8% 4.6% 875
平成21年度 24.1% 17.8% 4.3% 951
平成22年度 15.9% 19.5% 3.1% 925
平成23年度 16.4% 19.7% 3.2% 790
平成24年度 23.5% 25.0% 5.9% 1220
平成25年度 21.7% 18.5% 4.0% 910
平成26年度 23.2% 24.3% 5.6% 1185
平成27年度 26.0% 19.1% 5.0% 944
平成28年度 17.7% 19.2% 3.4% 842
平成29年度 21.7% 19.4% 4.2% 828
平成30年度 23.5% 18.8% 4.4% 905

 

②表・グラフを見て言えること

  • 一次二次の合格率を乗じた合格率は最低2.7%、最高で5.9% 

一次二次の合格率を乗じた合格率は最低2.7%、最高で5.9%となっていて、多少ばらつきがみられます。

 

一次二次合わせた合格率は5%前後と思っていましたが、意外とそうではなかったので少し驚きました。直近3ヵ年では平成28年度:3.4%、平成29年度:4.2%、平成30年度:4.4%と厳しい試験だったようです。

 

二次合格者は全体を通してみると、平成13年度は627名であったのが、平成30年度には905名となっていて増加しているのがわかります。

平成24年度の1220名、平成26年度の1185名はどのような思惑があったかわかりませんが、その後は800人から900人台となっています。

 

私は二次合格者の推移から合格枠を以下のように考えました。

  • 平成13年度から平成17年度までは700人前後の枠を想定
  • 平成18年度から平成20年度までは800人前後の枠を想定
  • 平成21年度から平成30年度までは900人前後の枠を想定(平成24年度と平成26年度は例外。なんらかの思惑があったのかもしれないが不明)

 

この枠は従来から3次実務補習受講者の人数を考慮したものと言われていました。

私もそう思います。

昔は、現在のように5日間の実務補習は制度化されていませんでした。

そのため2次試験の合格者を多くしてしまうと、実務補習に受講希望者が殺到することになります。それでは無理が生じるということで昔は700人前後の合格者としていたのだと思います。

 

その後、実務補習受講者人数のキャパを拡大するため、実務補習の時期の分散化などで現在のように900人前後の合格者でも対応できるようになったと推察されます。

 

診断士でも勉強するサービスの時期的集中制の解決策の一つです。

 

③今後の見通し

  • 一次二次を通しての合格率は4%~5%程度。二次合格者数は850名~950名程度

私は、一次二次を通しての合格率は4%~5%程度。二次合格者数は850名~950名程度ではないかと想定しています。

 

合格率と二次合格者数については、2面から考える必要があります。

 

合格率に関しては、資格のブランドもあると思っています。

あまり簡単に取得できるようにしたくないというのがあると思います。一次二次を通しての合格率は4%~5%にして、中小企業診断士はそれなりの難易度の資格と位置付けたい、という考えがあるはずです。

 

二次試験合格者数は、実務補習の面から900名~1000名程度に抑えたいという思惑があると考えています。

養成課程実施機関・登録養成課程実施機関

登録養成課程実施機関で中小企業診断士を増やす

二次試験の合格者は、実務補習を受講する必要がありますが、養成課程を利用して中小企業診断士になる方は実務補習を受ける必要はありません2005年8月から養成課程を実施できる登録養成課程実施機関が大都市圏で立ち上がっています。

 

現在、その数は受講者募集中止を決めた1機関を含め15機関あります。

詳細は当ブログ「中小企業診断士養成課程実施機関・登録養成課程実施機関について」をご覧ください。

 

養成課程実施機関、登録養成実施機関の定員は合計で300名~350名程度と考えられます。

定員がすべて埋まると仮定すると、試験組と合計すると年間で最大で約1300名前後の中小企業診断士が今後生まれる可能性もあります。

 

中小企業診断士勉強上でのポイント

①中小企業診断士試験は二次合格者数に一定の枠がある試験

②一次でも二次でも上位2割に入るのが最低目標の競争試験

③勉強する上での考え方・2次試験解答の考え方

①中小企業診断士試験は二次合格者数に一定の枠がある試験

  • 中小企業診断士の二次試験合格者は一定の枠内に収めるにしています

二次試験を突破して、中小企業診断士になる人数には一定の枠があるのです。実務補習があるため物理的にそうしなければならないのです。

 

近年では、その数はおおよそ900人前後だと推定されます。

 

年度によって人数に差があるのは、当落線上に多くの受験者がひしめき合っているからだと考えられます。最近は、大まかにですが成績を開示する必要があるので、そのへんの操作は難しくなっていると考えられます。

 

昔は、受かった人から「出来はよくなかったのに合格していた」、ということもよく聞きました。

 

②一次でも二次でも上位2割に入るのが最低目標の競争試験

  • 中小企業診断士試験は上位2割に入るのが必要な競争試験です

中小企業診断士の試験は、一次でも二次でも最低上位2割に入らないと合格できない競争試験です。他の検定試験のように〇〇点以上はみんな合格という単純な試験ではありません。

 

例えば簿記などは、受験する回によって難易度が異なります。優しい問題の時には多くの人が合格点を突破し、合格率は上昇します。反対に難しい問題が多い回の時には多くの人が合格点を突破できず、合格率は下がります。

 

でもあくまで合格基準の点数を突破していれば合格、下回っていれば不合格と、考え方は明朗です。

 

ですが、中小企業診断士は違います。

 

一次二次を通して、4%から5%前後の合格率になるよう調整し、二次合格者が900人前後に収まるようにも調整していると考えられます。

 

決め手はあなたの得点が、全体の中のどの位置にあるかということです。相対試験なのです

一次二次試験とも最低でも上位2割以内にはいっていることが合格できる条件となります。

 

③勉強する上での考え方・2次試験解答の考え方

満点はいらない、各教科8割前後を目指しましょう

中小企業診断士の試験では以下のように考えることがポイントだと考えます。

  • 皆ができる問題は自分も正答できること
  • ケアレスミスをしないこと(試験時間ギリギリまで粘って見直すこと)
  • 100人中2,3人しか解けないよう難解な問題は解けなくても良い。
  • そのような難解な問題を解けるようになるまで勉強するよりも、基本的な問題は絶対落とさないという勉強方法がベターと考えます

以上を考えると、満点ではなく各科目80点程度をまんべんなく得点できるような勉強方法が良いということになります。

ごく少数の人しか正答できないような、深い知識が問われるような問題は、よほど余裕のある人は除き、そこまで勉強しなくても良いと考えられます。

 

二次試験に関して

2次試験は捉えどころがないような問題もありますが、解答する上で言えることは、丁寧な字で論理的に考えを述べることです。論理的に述べると回答に説得力が生まれます。

 

また、うまい字でなくても良いので、丁寧に解答を書くと、それだけで印象は違います。

 

採点者は多くの答案を採点します。あなたの解答を採点するときには、疲れていることもあるでしょう。採点者の気持ちになってください。書きなぐったような解読できないような字はマイナス印象です。

 

採点者は感情を持った人間であることを忘れないようにしてください。

 

まとめ

データから見る中小企業診断士試験の特徴

  • 中小企業診断士合格率・合格者数の推移

一次二次の合格率を乗じた合格率は最低2.7%、最高で5.9%となっていて、多少ばらつきがみられます。

二次合格者は全体を通してみると、平成13年度は627名であったのが、平成30年度には905名となっていて増加しているのがわかります。

  • 今後の見通し

私は、一次二次を通しての合格率は従来から言われていた4%~5%程度。二次合格者数は850名~950名程度ではないかと想定しています。

 

中小企業診断士勉強上でのポイント

  • 中小企業診断士試験は一定の枠がある試験

中小企業診断士の二次試験合格者は一定の枠内に収めるにしています

  • 一次でも二次でも上位2割に入るのが最低目標の競争試験

中小企業診断士の試験は、一次でも二次でも最低上位2割に入らないと合格できない競争試験です。

  • 勉強する上での考え方・二次試験の考え方

満点はいらない、各教科8割前後を目指しましょう

二次試験はうまい字でなくても良いので、丁寧に解答を書くとそれだけで印象は違います。また解答は論理的に書くようにしてください。説得力が違います。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。