中小企業診断士と販売士

中小企業診断士受験する際に販売士も勉強するのはどうかな?

中小企業診断士の受験を考えている方で、前哨戦として販売士の試験に挑戦しようと思っている方もいるでしょう。

ただ、目的はあくまで中小企業診断士なので、時間をかけるだけ無駄かなという迷いもあるかと思います。

そんな方の悩みにお答えします。

 

この記事を読むことで、その迷いも軽減するかと思います。

 

中小企業診断士と販売士

記事内容

  • 中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するメリット(3つあります)
  • 中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するデメリット(3つあります)

 

中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するメリット

①勝ち癖をつけて自信をつける

②中小企業診断士の勉強による頭の飽和を防止できる。

③中小企業診断士の勉強がはかどる

①勝ち癖をつけて自信をつける

  • 販売士に合格し自信をつける

販売士試験には1級、2級、3級があります。1級の合格率は20%前後ですが、2級は50%前後、3級は55%~60%程度となっています。2級と3級は比較的合格しやすい資格と言えます。

まずは、販売士に受かって勝ち癖をつけ、次に進んでいきたいところです。
販売士1級の対象は店の経営者や店長、2級はフロアー責任者、3級は店頭の販売員となっています。

中小企業診断士になるのを目的とする方には、2級以上の勉強がお勧めです。ただし、1級は難しくなるので、2級で良いと思います。中小企業診断士合格が目的なので、販売士に全精力を注ぎ込むのは避けたいからです。

販売士2級でしたら、難易度はそれほど高くはないので、勉強すれば合格できるはずです。

今まで資格試験の勉強をしたことがなかった方だと、販売士2級といえども、合格すると嬉しいと思います。自信もつきます。

よし、次中小企業診断士!、とモチベーションも高まります。

 

②中小企業診断士の勉強による頭の飽和を防止できる

  • あらかじめ、販売士の知識を頭に入れておくと、頭が飽和状態になるのを防止できます

中小企業診断士1次試験の科目で販売士が関係するのは、「運営管理」の店舗・販売管理の項目です。店舗・販売管理の項目は、ほぼ販売士の試験と内容がかぶります。

ですから、販売士を勉強しておくと、店舗・販売管理の項目はすんなり頭に入ってきます。中小企業診断士の試験は広く浅くといいますが、深く理解していないと解けない科目もあります。財務・会計などはそうだと思います。

一方「運営管理」の店舗・販売管理は、どちらかと言えば、広く浅い知識を頭に詰め込む分野です。

 

中小企業診断士の勉強期間は大体一年間というのが一般的です。例えば資格予備校は9月~10月に始まり、翌年8月にある1次試験突破をまずは目指すというのが多いですが、7科目を1年程度の勉強で合格するのは結構大変です。

一回勉強した科目も何回も繰り返して勉強しないと忘れてしまいます。2回から3回繰り返すことを考えると、1科目あたりの1回の勉強期間は2週間程度となります。

そのような短期間で、覚えることが多い「運営管理」科目を頭に詰め込むのはかなり大変です。普通にやっていたら頭がパンクします。ですが、あらかじめ販売士の勉強で店舗・販売管理の知識が頭に入っていれば、やったことがある分野ですから、頭がパンクすることはありません。

むしろ復習になるので、より頭に定着していきます。

③中小企業診断士の勉強がはかどる

  • 販売士を勉強しておくと「運営管理」の勉強がはかどります

中小企業診断士1次試験の「運営管理」は覚えることが非常に多い科目です。そのうち店舗・販売管理やPOSなどについては販売士であらかじめ勉強して、知識があるためはやく進めていくことができます中業企業診断士の勉強がはかどるのです。

私は、中小企業診断士の勉強は「急がば回れ」の方法が良いと考えています。「急がば回れ」の勉強方法は中中小企業診断士に関連する資格の勉強をしてから、本格的に中小企業診断士の勉強を始めるというものです。

 

その良さを実感したのは、財務です。私はあらかじめ日商簿記の2級と3級を取得してから診断士の勉強を始めましたが、財務の初歩でつまずくことなく勉強を進めていくことができました。

簿記の借方、貸方などについて、疑問に思うことなく、すんなり入っていけたのです。理解できないところがあると、そこで止まってしまい、なかなか次の段階に行けない人がいますが、私もそのようなタイプでした。

財務がわからないと中小企業診断士の試験はかなり厳しいものとなります。私は簿記を勉強していて、財務諸表の見方なども既に理解していたため財務を苦手科目にせず勉強を進めていくことができました。

「急がば回れ」の勉強方法は私には合っていたと考えています。

 

中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するデメリット

①中小企業診断士になるまでの道のりが遠くなる

②自分の時間と家族の時間を長期にわたって犠牲にする

③販売士の試験も意外と分量があり、簡単ではない。

①中小企業診断士になるまでの道のりが遠くなる

  • 短期間で中小企業診断士にはなれない

中小企業診断士には直接関係のない試験の勉強をするので、中小企業診断士になるまでの道のりは長く遠くなります。本人はともかく家族のある方はそれが問題となります。

勉強する期間が長期に及ぶと、最初は中小企業診断士になるためだと家族の賛同が得られていても、時間の経過とともに変わってくることも多いからです。

 

いつまで続くのだろうと内心では思うようになります。針のムシロに座っているようになっていきます。家族みんなが反対の中で勉強を続けていくというのはしんどいものです。

 

できれば、短期間で終わらせたいところです。

 

②自分の時間と家族の時間を長期にわたり犠牲にする

  • 勉強に時間を費やし、自分と家族にかける時間がなくなります

①の『中小企業診断士になるまでの道のりが遠くなる』にも共通しますが、勉強をしている期間は、自分の自由にできる時間を犠牲にする必要があります。遊びに行ったり、旅行にいったり、趣味などに費やす時間を犠牲して勉強しないといけません。

 

自分だけではなく、家族サービスの時間も犠牲にすることになります。

 

それが年単位の長期にわたるのです。それで受かる保証があれば良いのですが、養成課程でもなければ、試験で中小企業診断士になれる保証はどこにもありません。

 

固い決意、覚悟と本気度が問われます。長期にわたるため意思の強さと家族の理解・協力が必要です。

 

③販売士の試験も意外と分量があり、簡単ではない

  • 実は販売士の試験も分量があり、思ったほど簡単ではありません

ここまで読んでいた方は、販売士試験は、その合格率からも結構イージーな試験だと思われたかもしれません。でも、意外とそうではありません。

販売士試験には公式テキストがありますが、販売士2級だと1.小売業の類型、2.マーチャンダイジング、3.ストアオペレーション、4.マーケティング、5.販売・経営管理の5冊のセットになっています。

価格も7,020円です。かなりのボリュームになります。

販売士受験の際には、必ずしもこの公式テキストで勉強しないと受からないというわけではなく、市販の受験参考書でも合格はできます。ですが、勉強するボリュームはかなりあるのです。

なめてかかると不合格の可能性もあります。

 

まとめ

中小企業診断士と販売士

  • 中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するメリット

①勝ち癖をつけて自信をつける

②中小企業診断士の勉強による頭の飽和を防止できる

③中小企業診断士の勉強がはかどる

  • 中小企業診断士を目指す上で販売士を受験するデメリット

①中小企業診断士になるまでの道のりが遠くなる

②自分の時間と家族の時間を長期にわたり犠牲にする

③販売士の試験も意外と分量があり、簡単ではない。

次の記事も関連があります。よろしかったらお読みください。

中小企業診断士に合格する勉強方法

おまけ

販売士1級に一度落ちた話

私は中小企業診断士一次試験の受験の際、前哨戦として一級販売士を受験して見事不合格だったことがあります。

ちょっと販売士をなめていました


その前に日商簿記2級と3級を同日に受けていて、両方受かったこともあって、ちょっと慢心していました。

販売士を受験したときは、中小企業診断士の勉強もしていて、中小企業診断士を目指している私だったら販売士の試験には合格するだろうと、販売士の勉強などほとんど勉強しないで臨んだからです。馬鹿ですね。

当然ですが、販売士に受かるには、ちゃんと販売士用の勉強をしないといけないのです。

その年の中小企業診断士1次試験には合格したので、まあよかったのですが。ただ2次試験はダメだったので、モチベーションの維持のためにも、再度販売士一級にチャレンジし、2回目はちゃんと販売士用の勉強もして臨んだので合格できました。

という思い出話でした。

いまでは、日本販売士協会の登録講師として、販売士の講師をすることもあります。

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。