中小企業診断士の視点:DCF法と正味現在価値

DCF法と正味現在価値

先日、ホリエモンのユーチューブ動画を見ていたら、会話の中にDCF法がでてきました。

勉強したことがある人なら、聞いていて意味はなんとなくわかると思いますが、勉強していないとなんのことかわからなかったはずです。

ということで、今回はDCF法と正味現在価値の話です。中小企業診断士の試験でも必ず勉強する内容です。

この記事を読むと、DCF法の考え方と正味現在価値についてわかるようになります。

中小企業診断士の視点:DCF法と正味現在価値

記事の内容

  • DCF法とは
  • なぜDCF法が必要なのか
  • 正味現在価値とは
  • DCF法を使った経済性計算の例

この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。

DCF法とは

  • DCF法はキャッシュフロー割引投資利益率法のこと

DCF法のDCFはdiscounted cash flow methodの略です。日本語ではキャッシュフロー割引投資利益率法と言います。

設備投資や資産投資の経済性計算の一つとしてよく利用される計算方法です。

設備投資や資産投資を行う際、得られる総キャッシュフローと残存価額と総投資額をもとに、投資に見合うかを検討する計算方法です。

計算は複雑になりますが、適正な経済計算ができるのでよく利用されるのです。

なぜDCF法が必要なのか

  • 現在得られる利益と将来得られる利益は同じ額であっても価値は異なるから

投資などの可否を判断する計算にDCF法が用いられるのは、現在得られる利益と将来得られる利益は仮に同じ額であっても価値が異なるからです。

例えば、今100万円手元にあったとします。銀行預金も投資として考えることもできますが、仮にその100万円を銀行に預金すると10年後に利息を含めると101万円になったとします。それは投資して10年後に1万円利益が得られたと考えることもできます。

この投資の場合、10年後の101万円は現在の100万円と同じ価値になるということです。

ようするに、将来得られるお金(利益)は割り引いて計算しないと現在の価値と同一にはならないのです。

バブルの頃は利子が高かった

バブルの頃は、銀行預金の利子も高く定期にしておくと、かなり得なこともありました。1年間寝かせておくだけで100万円が105万円になったほどです。

ということは、この場合1年後の将来の105万円は当時の現在の価値にすると100万円ということになります。

将来得られる価値は割り引いて考える必要があるのです。

その計算方法がDCF法なのです。

正味現在価値とは

  • 投資などによって将来獲得するお金の現時点における価値

正味現在価値は英語でNPV(Net Present Value)と言います。

投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標です。

先ほど、バブルの頃の銀行定期預金では、100万円が1年後に105万円になったという話をしました。

その場合、1年後の105万円は現在価値に換算すると100万円ということになります。その100万円が正味現在価値ということです。

計算式は、105万円÷1.05です。

DCF法を使った経済性計算の例

例題:今後15年間にわたって、年150万円のキャッシュを生み出す事業の譲渡話がある会社から持ち込まれました。

譲渡額は1800万円、割引率は5%と仮定します。

譲渡に応じるべきか否かをDCF法で判断します。

(単位:万円)

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目
CF 150 150 150 150 150 150 150 150
ディスカウントファクター 0.95 0.91 0.86 0.82 0.78 0.75 0.71 0.68
現在価値 142.86 136.05 129.58 123.41 117.53 111.93 106.60 101.53
9年目 10年目 11年目 12年目 13年目 14年目 15年目 合計
CF 150 150 150 150 150 150 150 2250
ディスカウントファクター 0.64 0.61 0.58 0.56 0.53 0.51 0.48
現在価値 96.69 92.09 87.70 83.53 79.55 75.76 72.15 1556.95

毎年150万ずつ15年間で得られる利益は、トータル2250万円になります。

得になるような気がしますが、現在価値にするとそれは約1557万円です。

譲渡額は1800万円なので、243万円損することになります。

となると、今回の譲渡は経済性的には見送るというのが良いことになります。

まとめ

  • DCF法とは

日本語ではキャッシュフロー割引投資利益率法と言います。

  • なぜDCF法が必要なのか

現在得られる利益と将来得られる利益は同じ額でも価値が異なるからです。

  • 正味現在価値とは

投資などによって将来獲得するお金の現時点における価値のことです。

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。