経験のない業種の会社から相談が来た時
苦難の末、なんとか中小企業診断士に合格し、中小企業診断士の活動をしているとまったく経験のない業種関連の相談依頼がくる場合があります。
自分の経験した業種や関連のある業種のことだったら、なんとなくこんな仕事をやっているとわかり、仕事のイメージは想像できます。
でも今までの人生で、全く経験のない業種だと仕事のイメージがわかないこともあります。
そんな時、中小企業診断士はどのように対応しているのか。
やはり、事前準備が必要となります。
今回は、中小企業診断士が未知の業種から相談依頼あったときどんな事前準備をしているのかについて書いていきます。
中小企業診断士の視点:未知の業種の会社から相談が来た時どうする?
記事の内容
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この記事は、私の経験を踏まえて書いています。
未知の業種の開業・創業の相談の場合
- J-net21を見て下調べをする
未知の業種の開業・創業関連の相談依頼があった場合、J-net21のサイトを見て調べると大まかな知識が得られます。
J-net21は独立行政法人中小企業基盤整備機構(略して中小機構)が運営しているサイトです。中小機構は国の中小企業支援機関です。
J-net21には業種別の開業・創業の情報以外にも中小企業診断士にとっても様々な役に立つ情報が多く掲載されています。
まずは、こちらのサイトを見て、下調べをしてから相談にあたると良いでしょう。
わたしも、よく利用させてもらっています。
該当する業種のページを印刷していって、相談依頼者にも渡していっしょに読んで確認していくのも良い方法です。
未知の業種の経営相談の場合
- TKCの経営指標要約版、中小企業の財務指標、業種別審査事典で事前調査
TKCの経営指標要約版
未知の業種の経営相談の場合は、TKCの経営指標要約版、中小企業の財務指標、業種別審査事典で事前調査をすると良いです。
TKCの経営指標要約版は「TKCの経営指標」でネット検索すると表示されます。資料はダウンロードできます。
黒字企業の売上高や限界利益率、労働分配率などがわかるため、ベンチマーク指標となります。
限界利益率は売上高から変動費をマイナスした比率で、損益計算書でいえば売上総利益率とほぼ同じ意味になります。相談企業の売上総利益率とTKC経営指標の限界利益率を比べて、どの程度差があるのか確認します。
中小企業の財務指標
中小企業の財務指標は中小企業診断協会が編集しています。定価は4,000円+税です。中小企業の財務指標は中小企業庁が実施している「中小企業実態基本調査」の結果を加工分析したもので、中小企業の経営活動を示す財務データ資料です。
中小企業診断士や経営コンサルタントが中小企業を診断するときに役に立つ資料です。
TKCの経営指標は黒字企業の数値なので、赤字企業の割合が多い中小企業全般には当てはまりません。
「中小企業の財務指標」の経営指標の数値も参考にすると、バランスがとれます。
業種別審査事典
業種別審査辞典は金融財政事情研究会が発行しています。全部で10巻あり、各巻は約1,500頁とかなり分厚い事典となっています。各巻の定価は(本体20,000円+税)です。ですので全10巻セット定価は(本体200,000円+税)ということになります。
もともとは業種別貸出審査事典という名称で、金融機関が企業に融資をする際に利用することを目的として作られたものです。
現在では「貸出」の文字がなくなっています。
詳しいことは「株式会社きんざい」サイトの該当ページを参照してください。
内容はかなり細かい分類で分けた業種ごとに、複数ページに亘って以下のような内容が記載されています。
- 業種の理解
- 業界の動向
- 業務内容・特性
- 業種分析のポイント
- 財務諸表の見方
- 事業性評価および取引推進上のポイント
- 関連法規制・制度融資等
- 業界団体
この事典を使って下調べをしていくのがベストです。
ただし、価格は高いので入手するには抵抗があるかもしれません。
政令指定都市など、大きな都市の公共の図書館に行くと置いてある場合も多いです。
最近は、図書館の蔵書をネットで調べることもできます。
近くの図書館に置いてあるのを確認しておくとよいでしょう。
まとめ
未知の業種の会社から相談が来た時
J-net21を見て下調べをする
TKCの経営指標要約版、中小企業の財務指標、業種別審査事典で事前調査する |