終身雇用制はなくなるの?
経団連会長に引き続きトヨタ自動車社長も、終身雇用制が守れなくなる、という趣旨の話をしています。
この話を受けて、今後どうなるのか、そして一人一人どうしていけば良いのかについて書いていきます。
少しでも、お役に立つことを願っています。
終身雇用制の崩壊・スキル・資格
記事の内容
- 3大日本的経営慣行とは?
- 終身雇用制の現在はどうなった
- 終身雇用制の崩壊に備えて
3大日本的経営慣行とは?
- 終身雇用制は日本の高度成長期を支えたシステムのひとつです。
日本には3大日本的経営慣行と言われていた経営慣行があります。終身雇用、年功序列、企業別組合の3つです。
そして、これらの慣行が日本の高度成長期を支えてきたと言われています。
昔の人は学校を卒業して、会社に入社するとき、その会社に一生勤めるという気持ちで、会社を選び入社しました。そして、年功序列で給料も上がり、年功序列で昇進していくというシステムがあったので、安心して仕事ができました。
安心して住宅ローンを組んで、家を買うこともできました。子供にお金がかかる頃には、それなりに給料も年功序列で自然と上がっているので、生活面での不安も少なかったのです。
このような背景があったたため、おいそれと会社を辞められない、会社に対する忠誠心が生まれることになったと考えます。
終身雇用制の現在はどうなった
- 市場環境がグローバル化し、日本のやり方が通用しなくなっている
労働コストが高い日本
現在、日本の大企業は世界の市場で戦っています。そこで重要となるのが価格です。価格の中には原価が含まれます。原価が高いと製品価格を安くできません。その原価で多くを占める労働コストが日本国内生産だと高かったので、海外生産に徐々に移行していったのです。
高付加価値の製品作りも行き詰り
国内では、高い労働コストでも見合う高付加価値の製品を作って(例えば、、単体で50万円以上するようなニコンの高級一眼レフカメラなど)で、凌ぐしかなかったのですが、それもだんだんと難しくなってきたのだと考えます。
トヨタの車はロールスロイスやフェラーリと異なります。もともと台数を売らないと採算がとれないのです。
製品価格は、販売台数を多く確保するには重要な要素となります。
シャープは「亀山モデル」で、高付加価値のテレビを発売し、一時期成功を納めましたが、結局はうまくいかず、2018年に国内でのテレビ生産から撤退しています。戴社長は「国内では無理。海外生産しないと、シャープの液晶テレビが売れなくなってしまう」と言っています。
定年まで高給で雇用するのは無理
世界市場で戦うには、日本人の高い労働コストでは成り立たなくなってきたということです。ちょっと前に富士通が45歳でリストラを始めるというニュースがありましたが、あれも同じです。
特別な能力がある場合を除き、定年までずっと高い給料を払い続けることはもうできません、ということです。
45歳あたりが給料の上限で、それ以降、毎年下げるということだったら話は変わってくると思いますが、そんなことはたぶんできないでしょう。これは年功序列の給与体系も崩壊することを意味します。
もはや、一流企業でも一生涯社員を守ることはできなくなったのです。
それが今の日本の現実です。現実は受け止めることが必要です。
一口メモ:組織スラックの考えかた
組織スラックとは組織内にある資源の余裕のことで、具体的には、会社が抱える余剰人員や余剰資金、余分な棚卸資産などを指します。従来は企業にはある程度の資源の余裕が必要だと考えられてきました。組織には柔軟性・ゆとりがあったほうが、いざというときに対応しやすいという考え方からです。 しかし今後もますます経営環境が厳しくなっていくと考えられ、このようなスラックは排除されていくでしょう。 |
終身雇用制の崩壊に備えて
- 自分に商品価値をもたせること
課長ができます、ではダメ
よく言われているのが、その会社でしか通用しないスキルでは意味がないということです。
笑い話にありますが、ある企業に勤めていた人が、都合により転職することになりました。転職希望先の企業の面接で、「あなたは何ができますか?」という問いに対して「私は、課長ができます。」と答えたというものです。
長年の勤務経験で得たスキルや実績などについて聞きたかったのに、役職を答えたのです。
このような返答だと採用されるのは難しいでしょう。
どこでも通用するスキルを身に着け、自分に商品価値をつける
今後のビジネスパーソンは、どこに行っても通用するスキルを身に着けることが必要です。そのようなスキルがあるのだったらぜひ採用したい、と思ってくれるうなスキルです。
プロ野球選手と同じように、自分を商品と考えることです。商品価値がなければ、価値があるようにしないといけないでしょう。
客観的にわかるスキルが大切
例えば、「私は〇〇の会社で経理をやっていました。経理の知識はあります」では弱いのです。ずっとその人を見ていたわけではないので、わからないのです。
ですが、「私は〇〇会社で経理をやっていました。日商簿記の1級も取得し、財務分析も行って、会社の意思決定にも役立つ提案を行ってきました」ということなら、日商簿記1級という客観的な指標もあるし、言っていることにも説得力がでるのです。
日商簿記の1級はどこにいっても一定の評価はされるはずです。
というように、どこに行っても通用するスキルを身に着け、自分に市場価値をつけることが必要と考えます。
元居た会社内でしか通用しないものではダメです。
まとめ
終身雇用制の崩壊・スキル・資格
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