中小企業診断士の視点:個人事業の簿記は勉強したのと違う

あれ、変な勘定科目がある?

フリーランスの中小企業診断士になってかなり経ちます。最初は勉強もかねて税金の確定申告も自分で行うことにしました。

 

そこで、気が付いたのです。

「あれ、勉強した簿記と違う。なんだこれ?」と。

皆さん、疑問に思わないことが当時不思議に思っていました。

 

今回はそのことについて書くことにします。

 

この記事を読むと、教科書で勉強する簿記と実務が多少異なることがわかります。

 

中小企業診断士の視点:個人事業の簿記は勉強したのと違う

  • 利益は資本金を増やす
  • 変な勘定科目がある
  • 簿記を勉強しておくと独立した時役立つ

この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。KAZUTOYOは日商簿記の2級と3級も取得しています。また、簿記講座の講師の仕事も何度か務めた経験もあります。

 

利益は資本を増やす

  • 最終的に利益は資本を増やすのが基本です。

KAZUTOYOは中小企業診断士として個人事業をしています。当然売上が発生します。その時の売上の仕訳は例えばこうなります。

(現金)10,000 (売上)10,000

 

そして、その後売上勘定は損益勘定に集められ、最終的には資本金を増やすことになっていきます。

 

このあたりの詳しい仕訳の流れは

「中小企業診断士の視点:簿記の仕訳・仕組みがわからない方へ」

のページにあります。興味のある方はご覧ください。

 

個人事業では、生活費や事業に関係のない支出は個人事業の資本金から引き出して使うことになります。

通常は、引出金勘定という仮勘定科目を設けてその処理を行います。そのように簿記の教科書に書いてあります。

 

ですから、生活費でお金が必要な時は、資本金を直接減らすのでのなく引出金勘定で現金(もしくは預金等)を減じる形でお金を引き出すことになります。

仕訳は例えば

(引出金)10,000 (現金)10,000

となります。

 

私も最初、実務でもそのように処理すれば良いと考えていました。最終的に決算では集まった仮勘定科目の引出金を資本金の減少という形で0にすればよいのだと。

 

上の例で行けば

(資本金)10,000 (引出金)10,000

です。

 

こうすれば、本来貸方にある資本金は10,000減少し、借方にあった引出金は差し引き0ということになります。

 

このようにすれば良いと最初は考えていました。

 

変な勘定科目がある

  • 税務署の申告書類に聞いたことがない勘定科目がある

昔は、税金の確定申告の時期が近づくと、税務署から申告書類が送付されてきていました。

(最近は国税庁のWEB上で、申告書類は全部作ることができるので、KAZUTOYOはそれを利用しています。申告書類を送付してもらっていません。)

 

そのなかに、勉強したことがない全く知らない勘定科目がありました。簿記の勉強してきた中にはなかった勘定科目です。

 

変な勘定科目とは

税務署から送付されてきた、確定申告書類の中に知らない勘定科目が印刷されていました。

それが、事業主貸勘定事業主借勘定です。

「なんだ、これ」と思いました。

 

事業主貸

調べてみると、事業主貸というのは、事業主が生活費など個人的に使用する目的でお金を引き出す際に使われる勘定科目ということです。

例えばこのような仕訳となります。

(事業主貸)5,000 (現金)5,000

 

事業経営者である自分が生活者である自分にお金を貸した、という考え方なので事業主貸と言っているのです。簿記3級でいう引出金と同じ意味あいです。

 

事業主借

事業主借という勘定科目もあります。これは、生活者である自分の財布から、事業用のお金を出した時などに使う勘定科目です。

例えばこのような仕訳となります。

(現金)1,000 (事業主借)1,000

 

面倒だなあ、と感じました。

 

簿記3級で勉強した引出金で統一すればよいのに、と思います。それで困ることはないはずです。事業主貸、事業主借の勘定科目がないと困るとは思えません。

と、ここまで書いていて気が付きました。

簿記を勉強し、複式簿記で会計処理を行っている人は特に不都合はないかもしれないですが、簿記をよく勉強していない人だと必要かもしれないことに。

 

単式簿記で考えると、事業主借、事業主貸という勘定科目があったほうがわかりやすいのでしょう。

確かに小遣い帳のようなものしか知らない人のことを考えると、事業主借と事業主貸は分けて考えたほうが後で会計処理するときはわかりやすいのかもしれません。

 

KAZUTOYOの場合、複式的に考えるのに慣れてしまっているので返って分りづらいと思ってしまいますが。

 

簿記を勉強しておくと独立した時役立つ

  • 簿記は独立する時役に立ち、かつ確定申告で得します

中小企業診断士の場合、簿記を勉強しておくと役に立ちます。簿記の講師の仕事の話があったときも自信を持って受けることができます。

でも、確定申告の時も簿記を勉強していると原理がわかっているので、すんなり進めることができます。

 

個人事業をやっている人で、簿記を勉強していなかったら大変だと思います。また損をすることもあります。

KAZUTOYOは今のところ個人事業ですが、税金の確定申告は複式簿記が基本となる青色申告で行っています。青色申告の場合、所得額から65万円差し引いた額が所得税の対象となります。それだけ所得税が安くなるのです。

簿記がわかっていない人は、単式簿記の白色申告をしている人もいます。

65万円の税額控除はありません。

 

勉強して簿記を知っているか知っていないかで、かなり差があることがわかります。

原理がわかっているといかに得をするかということです。

簿記は独立した時役に立ち、得する技能・資格です。勉強しておくことをお勧めします。

 

まとめ

  • 利益は資本を増やす

利益は資本を増やすのが基本です。

  • 実務では変な勘定科目がある

簿記の勉強では出てこない、事業主貸勘定と事業主借勘定があります。

  • 簿記を勉強しておくと独立した時役立つ

簿記は独立する時役に立ち、かつ確定申告でも得します。学んでおくことをお勧めします。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。