中小企業診断士の視点:日銀が国債買い入れの上限を撤廃【借金大国でも問題無し】

日銀が国債買い入れの上限を撤廃【借金大国でも問題無し】

日銀が国債買い入れの上限を撤廃したというニュースが今日の新聞に載っていました。

いうまでもなく、これから政府が実施する政策のためにお金が必要だからです。

今回は、日銀の今回の件に関連して政府の借金が本当にいけないものなのかなどについて書くことにします。

この記事を読むと、少なくとも日本が借金で破綻しないことはわかってもらえると思います。

日銀が国債買い入れの上限を撤廃【借金大国でも問題無し

記事の内容

  • 日銀が国債買い入れの上限を撤廃した理由
  • 民間の黒字は政府の赤字
  • 日本に財政問題はない
  • 需要・供給とインフレ・デフレの関係
  • 大切なのは供給能力を守ること
  • 政府はGDPの減少分を支出することが必要

この記事は、中小企業診断士のKAZUTOYOが日頃経済について勉強したことを元に書いています。

 

日銀が国債買い入れの上限を撤廃した理由

  • 新型コロナウィルス感染拡大で影響を受けた個人・企業の支援のため

日銀が国債買い入れの上限を撤廃した理由は、新型コロナウィルス感染拡大で影響を受けた個人・企業を支援するためです。

これから実施する一人あたり一律10万円給付する件や持続化給付金、雇用調整助成金、休業補償、家賃補助などで、国民や企業に配っていくための資金を捻出するためです。

 

民間の黒字は政府の赤字

  • 政府はずっと赤字で良いのです

民間の黒字は政府の赤字になります。これは損得にも置き換えられます。誰かが損していると一方で必ず得している人がいるのです。

例えば、KAZUTOYOが政府から10万円もらうとKAZUTOYOは得しますが、政府は損します。

消費増税も同じです

8%から10%に消費税をあげたら、政府は得しますが、国民は損するのです。当たり前の話です。

 

マクロ的にみると、政府が赤字だと民間の黒字になり、政府が黒字だと民間の赤字になるのです。

 

それで、最近だんだんと明らかになってきたのは、一般の個人や企業は赤字や損するのは大いに困ったことですが、政府は赤字でも損でも、特に困らないという事実です。

 

日本に財政問題はない

  • 政府が借金を重ねても破綻しないことは財務省も自ら言っています。

政府の赤字が続くと日本の財政は破綻するのではないか、と心配する人もいますが、そんなことはないと財務省が自らいっています。国が借金しても赤字になっても国が破綻することはないのです。ちゃんと財務省のホームページに書かれています。日本に財政問題はないということです。

財務省のホームページの画像

財務省https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htmより切り抜き

日本の国債は、円建てです。返すときには円でかえせば良いのです。お金は日銀が発行するのですが、日銀は国の子会社です。別機関ですが実際には同体と考えても良いのです。(法の縛りがあるようですが)

国債が外貨建てだと問題ですが、そうではないのです。

自分(政府)が自分(日銀)からお金を借りているようなものです。返しても良いのですが、返さなくても問題ありません。

 

現に2018年の政府の政府債務は1970年の152倍となっています。ですが、長期金利も高騰せず下がり続けています。

債務が152倍となって大変な「借金大国」となっていますが、特に問題は起こっていません。

借金といっても、外国からお金を借りているわけでないので大丈夫なのです。

ようするに政府は赤字でも損でも、困らないのです。プライマリーバランスなんて別に気にする必要はないのです。

日本の負債と長期金利の推移のグラフ

 

需要・供給とインフレ・デフレの関係

  • シンプルなのです。

需要・供給とインフレ・デフレの関係はシンプルです。以下のようになっているだけです。

需要>供給のときに、インフレが起こります。

需要<供給のときにはデフレが起こるのです。

 

需要>供給がインフレになった良い例が日本にあります。

  • 第二次世界大戦後の日本

需要>供給がインフレになった良い例が戦後の日本です。あの時には空爆で多くの工場・生産設備が破壊されました。アメリカがそのようなところを狙って爆弾を投下したのです。東京が特にひどく焼け野が原になりました。

空爆により、物を供給するのに必要な工場の多くが失われることになりました。

その結果、需要があるのに供給できない(供給する力、供給能力がない)という状況になったのです。だから物価が高騰し、ひどいインフレになったのです。

 

今は需要<供給の時代です

  • 需要<供給だとデフレになります

それで今は、供給する力、供給能力が十分あるのに需要がない、と言う状態なのです。需要<供給です。

こういうときには、供給側は安くても何でも良いから売りたいとなり、安く売るようになります。こうして物価が下がるというデフレになります。

企業は儲けが少なくなり、従業員の給料もだんだんと下がっていきます。給料が下がった人々はお金がないから購買意欲も減少します。

そしてますます需要が減少していくことになります。企業はまた値下げして売ろうとします。この状態が回っていくことになります。これがデフレスパイラルです。

 

誰かがこの流れを変えないといけません。

需要を増やすことが必要なのです。

でも、そもそも人々はお金がないので、買うことはできないし、企業もデフレ状態では設備投資する意欲などありません。やっても損するに決まっているからです。

 

では、誰がやったら良いでしょうか。

民間がお金を使わないなら、政府がお金を使うしかありません。

政府がお金を出して需要を喚起する施策を実行するのです。

 

大切なのは供給能力を守ること

  • 供給能力が失われると取り戻すのに時間がかかります

一番大切なのは、供給能力を守ることです。

今の状態が継続すると、多くの店舗ビジネスはやっていけなくなります。製造業もやっていけなくなります。

今年の秋以降が正念場になるとの見方があります。資金繰りがつかなくなって廃業・倒産するしかなくなってしまうのです。

 

店舗や製造業が廃業や倒産してしまうと、供給能力が失われることになります。

 

供給能力がいったん失われてしまうと、コロナの問題が解決したとしても戦後の日本のようなことになります。

いったん供給能力が失われると悲惨なことになるのです。

ですから、供給能力を温存しておくことが、今大切だと考えます。経営資源に必要な人とモノを手放さなくてもすむような施策が望まれます。

休業補償や雇用調整助成金などで経営者や従業員が苦境に立たされないような施策を実行していくことが重要だと思っています。というか政府にそれをやってもらうしか手はないのです。

今はじっとしていても、コロナの問題が収束したらすぐに事業が再開できるように、供給能力を温存できるような政府の施策が必要だと考えます。

 

政府はGDPの減少分を支出することが必要

  • GDPの減少分は政府が支出

2019年の日本の実質GDPは536兆5241億円です。このうち民間最終消費支出がもっとも大きく約300兆円となっています。

円グラフにすると以下のような構成になります。

2019年の日本のGDP

※政府の資料を元にKAZUTOYOが作成しました。

GDPが減少すると国は貧しくなり、GDPが増加すると豊かになります。

消費増税と今回の新型コロナウィルスの感染拡大により、何も施策を行わないとGDPは大きく減少し、国民は貧しくなります。

政府は、16.8兆円を支出することになりましたが、まだまだ足りません。

 

日経新聞のGDP予想

  • GDPは11%減少

日経新聞によると、4~6月の実質GDPは11%減を予測しています。1年だと10%程度の減少はありそうです。

日経新聞のGDP予想記事

出所:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57884370Z00C20A4EE8000/より

日経新聞の予想も踏まえると、だいたい2020年の日本のGDPは、約550兆円×10%=55兆円程度は減少するということになります。

 

先日、政府は16.8兆円支出すると発表しましたが、55兆円減少して、16.8兆円の補填では追いつきません。

あと、38.2兆円程度、政府は支出しないと日本は貧乏になります。

貧乏になるだけだったらまだ良いのですが、多分会社の倒産などで借金苦の末、命を絶つ人も増加すると思います。

このままだと、再度補正予算を組むことになりそうです。でも政府には財政上の問題はないので、心配はないのです。

 

まとめ

日銀が国債買い入れの上限を撤廃した理由

  • 民間の黒字は政府の赤字

政府はずっと赤字で良いのです

  • 日本に財政問題はない

政府が借金を重ねても破綻しないことは財務省も自ら言っています。

  • 需要・供給とインフレ・デフレの関係

需要>供給のときに、インフレが起こります。需要<供給のときにはデフレが起こるのです。

  • 大切なのは供給能力を守ること

供給能力が失われると取り戻すのに時間がかかります

  • 政府はGDPの減少分を支出することが必要

民間ができないので、GDPの減少分は政府が支出する必要があります。政府には財政問題はないので心配ありません。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。