バイイングパワーとは?
中小企業診断士の勉強をしていた時、バイイングパワーについて勉強した記憶があります。
バイイングパワーについては、KAZUTOYOがもともと家電量販店に勤務していたことがあって、そのことを体験してこともあり、印象に残っていてずっと記憶に留まっていたのかもしれません。
ということで今回は、バイイングパワーについて書きたいと思います。
この記事を読むと、パイイングパワーについてわかるようになります。
Contents
中小企業診断士の視点:バイイングパワーとは?
|
この記事は、過去に家電量販店に勤務した経験があり、バイイングパワーを体験している中小企業診断士のKAZUTOYOが体験談も交えて書いています。
バイイングパワーとは?
- バイイングパワーとは買う力のこと
バイイングパワーは英語でbuying powerのことです。文字通り買う力のことです。チェーン展開し、大量販売ができる大規模小売業が持つ強力な販売力を背景とした優位な購買力のことを言います。
メーカーや問屋にとっては、このような強力な購買力を持つ大規模小売業の存在は大きく、その存在があるかないかでビジネスの展開方法が大きく変わってきます。
失うと大きな機会損失につながります。
そして、このような強力な購買力をもつ大規模小売業は、その力を背景に、メーカーや問屋などの仕入れ先に対し、値下げや返品、値付けなどの協力を依頼するようになります。
メーカーや問屋は、こうした要求に対してなかなか「No」とは言えません
「No」と言ってしまうと、強力な購買力をもつ大規模小売業と取引できなくなることもあるからです。従うしかすべはないのです。
このようなバイイングパワーの行使は、独占禁止法の優越的な地位の乱用に触れることもあります。
また、バイイングパワーの行使には、金銭的なものだけでなく、繁忙期に人材を派遣してもらうなどいろいろなやり方があります。
バイイングパワーの体験談
- バイイングパワーの威力
KAZUTOYOは家電量販店に勤務していましたが、パソコン売り場にいたこともありました。パソコン仕入は当時パソコン部門を任されている部長が行っていました。
当時、パソコンの売れ行きは好調で、20万円~30万円もするようなパソコンが飛ぶように売れていました。
部長の話によると、メーカーとは1000台単位で商談をしていたようです。最低でも1回で2億円から3億円の商談ということになります。
全国展開の量販店ではなかったので、全国展開しているような家電量販電ではおそらく万単位での商談だったと思います。
一回の商談で数億~数十億の売買が決まるのです。
メーカーや問屋も気合がはいることでしょう。
こうした量販店を逃さないために、販売店の多少の無理は聞くようになります。
- 例をあげます。
当時、私のいた量販店では拡売・協賛伝票というものがあり、安く売ってしまった場合には補填金額を書いてメーカーの担当セールスが来た時には、サインしてもらっていました。
また、展示台や什器を作る時にも、お金をだしてもらっていました。
更に、繁忙期には人が足りなくなるのでメーカーから応援要員がきていました。そのようなことが日常だったのです。
特に疑問には思っていませんでした。
中小企業診断士の勉強をするようになって、あれがバイイングパワーというものだったのかと知りました。
その他にも、新規開店するときにもメーカーから担当セールスを含め多くの人が手伝いということで来ていました。
あのようなことができたのも、量販店だったらからだと中小企業診断士の勉強をするようになってわかった次第です。
バイイングパワーを見せつけられた事例
- 家電のコジマの事例
コジマは低価格販売で大きくなってきた家電量販店です。
コジマがナショナル(現パソソニック)の商品の安売りを始めたとき、全国の町中にある「ナショナルの店」が反発しました。
ナショナルに対して、コジマに圧力をかけるように訴え、ナショナルは安く売るのをやめるようにコジマに要求しました。
全国の町中にある「ナショナルの店」は一店一店は小さいですが、長年に亘ってナショナル(松下電器)をずっと支えてきた店です。小さいとはいっても全国の町にあり、いっしょに成長してきた仲間ともいえる存在でした。
ところが、コジマはその要求を聞かなかったのです。安売りを続けたのです。
従来小売店がメーカーに盾突くなど、考えられないことでした。
言うことを聞かないコジマに対し、それなら取引はやめましょう、ということでナショナルはコジマとの取引をやめたのです。
当時のナショナルからすれば、「小売店のくせに」という思いがあったはずです。
天下の松下電器です。口には出しませんが、そのうち頭をさげて「言うことを聞きます。安売りはしませんから、納品してください」と言ってくるとたかをくくっていたと思います。
ところがコジマも譲ることなく、「それでは結構です」とナショナルの商品を扱うのをやめたのです。
ですが、そうなってもコジマは他メーカーの商品を安売りし、どんどん成長し、ついに家電量販店ではトップ企業となっていったのです。
そんなことが何年か続いたと思います。
ある時、ついにナショナルが折れたのです。
安売りをしてもよいので、ナショナルの商品を扱ってください、ということになったのです。
このとき、KAZUTOYOはメーカーと小売店の立場が逆転したことがわかりました。
いままでは、なんやかんや言っても、ずっと小売店よりもメーカーの方が立場が上だったのです。
ですが、このときメーカーが小売店に頭を下げるようになったのです。
しかも天下の松下電器がです。
逆転の理由は、バイイングパワーです。
当時のコジマの圧倒的なバイイングパワーの前に天下のナショナルは敗北したのです。安売り店から長い間系列店として頑張ってくれた全国のナショナルの店を守ることをあきらめたのです。
これは圧倒的なバイインパワーの凄さを知った出来事でした。
天下の松下電器も大きなバイイングパワーに負けたのです。
まとめ
バイイングパワーは英語でbuying powerのことです。文字通り買う力のことです。チェーン展開し、大量販売ができる大規模小売業が持つ強力な販売力を背景とした優位な購買力のことを言います。
コジマがナショナル(現パソソニック)の商品の安売りを始めたとき、ナショナルはコジマとの取引を停止しました。でも、その後コジマのバイイングパワーが圧倒的になると、ナショナルはコジマとの取引を再開しました。 それはバイイングパワーを見せつけられた出来事でした。 |