中小企業診断士の視点:プラダクトアウトとマーケットイン

プラダクトアウトとマーケットイン

商品やサービスを世に出す上で、開発方法の分け方としてプラダクトアウトとマーケットインというのがあります。

マーケティングを勉強している方だったら既に知っているかもしれませんが、まだ知らない人もいるかもしれません。

今回は、プラダクトアウトとマーケットインの話です。

この記事を読むとプラダクトアウトとマーケットインについて分かるようになります。

 

プラダクトアウトとマーケットイン

本記事の内容

  • プロダクトアウトとは
  • プロダクトアウトの例
  • マーケットインとは
  • マーケットインの例
  • この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
  1. KAZUTOYOは家電量販店店員(サラリーマン)として10年以上の経験があります。
  2. 中小企業診断士としての活動歴は10年以上です。

 

プロダクトアウトとは

  • 会社が作りたいものを商品化

プロダクトアウトとは会社が作りたいものを商品化すること、または会社が作れるものを商品化することです。

極端に言えば商品を作ってから、どのように売っていくかを考えることです。

商品開発陣にこんな商品をどうしても作りたいという強い思いや、こんな商品を作ったら絶対に売れるはずというところから商品コンセプトが決まり、商品を開発していくのです。

当然ながらあたりはずれのリスクはかなり高いことになります。

ただ、潜在的なニーズに合致すればかなりあたることもあります。ただ、もともと目に見える形で市場ニーズがあるわけではないため、製品を市場に浸透させるのには時間がかかります。

 

プロダクトアウトの例

ソニーウォークマン

  • 開発陣が思い入れたっぷりで作った商品です。

気軽に音楽を外に持ち出して聴くというきっかけを世界で最初に作ったのがソニーのウォークマンです。

当時、似たような商品は世界中を探してもどこにもなかったのです。

開発陣が、こんなすごくて素晴らしい製品を作って世に出せば絶対ヒットする、と信じて作った商品だったと思います。

そうしたら、その通り大ヒットしたのです。

あまりにも成功したので、その後家電メーカー各社はこの市場に参入していきました。

典型的なプロダクトアウト型の商品だと言えます。

ただ、もともと明確なニーズがあった商品ではなかったので、すぐにはヒットせず苦労したようです。

未知の商品というのは、大体市場に浸透していくに時間がかかるのです。

 

QRコード決済サービス

  • 利用すると便利なことに気がつく

スマホでのQRコード決済は、政府がキャッシュレス決済をなんとしても進めたくて、特に2019年から民間業者と協力して普及促進に努めてきました。

プロダクトアウト型のサービスといえます。

ようするに別にもともとサービス自体に強烈なニーズがあったわけでないのですが、政府の都合で普及させたかったのです。こんな決済サービスがあるのだからぜひ使ってください、ということです。

日本ではキャッシュレスそのものについては、既にクレジットカード決済は多くの人が利用していて、特にスマホのQRコード決済などなくても別に不便なことはなかったのです。

利用したい人だけ利用すればよい程度の普及だったのです。

KAZUTOYO自身もスマホでのQRコード決済は特に必要性は感じていませんでした。

でも、お得になるというのでやってみることにしました。

使ってみると便利なことがわかりました。いままでは財布におつりの小銭がだんだんたまって膨らんでいくということがあったのですが、そのようなことはなくなりました。

使って初めて便利なことがわかったのです。

このように特に強いニーズがなく、利用しないと良さに気が付かない商品やサービスについてはかなりマーケティングに力を入れないとなかなか広く普及はしないものです。

 

空調服

  • 今では現場になくてはならないものになっています

空調服もあらかじめニーズが明確にあった商品ではありません。

未知の商品というのは、ニーズが見えないところから始めるので大変なのです。

 

空調服は現場仕事で大変な思いをしている方の苦労を和らげるための服ですが、直接的なニーズがあって開発・商品化したわけではありません。

ですから開発してから売れるようになるまで、かなり時間がかかっています。

今では、業種によってはなくてはならない商品になっています。

空調服については、当ブログ「中小企業診断士の視点:成功するには時間がかかる話」に書いています。興味のある方はご覧ください。

 

マーケットインとは

  • ニーズを把握してから商品化

マーケットインは消費者や顧客のニーズを調査してから、もしくはニーズの存在が明らかな商品の開発を行うことを指します。

ニーズを確認してから商品サービスの開発をするので、いきあたりばったりの商品開発と比べれば、リスクはかなり低減されます。

すでにニーズがあることが分かりきっている市場の場合、商品が水準以上ならマーケティングがよほどひどくなければ大失敗ということはないと思います。

リスクを少なくしたいなら、マーケットインで始めるのが無難でしょう。

 

マーケットインの例

ダイエット商品

  • 市場規模の大きいニーズです

ダイエットのニーズの存在は明からで、当分なくなることはないでしょう。

この分野でのニーズは絶対にあり、市場規模も大きいと考えられます。あとはどんな商品を開発するかを決めればよいのです。

開発する商品は運動でもよいし、器具でもよいし、食品でもよいのです。

各社この市場に参入し、いまやマーケティングの巧拙でヒットが生まれるかどうかの勝負になっているようです。

芸能人をつかったライザップのようなサービスが典型です。

また、古くは「スリムドカン」などもマーケティングがうまかった事例です。(ネーミングだけで痩せそうなイメージをうまく演出しています)

 

健康・美容関連商品

  • 健康や美容もなくならないニーズです

健康や美容も明らかに存在し、かつなくならないニーズです。

このニーズに対応した商品を開発すれば失敗は少なくなります。

健康面では、「青汁」はもはや定番の健康食品になっています。

飽きられたら異なる素材を使って新たな効能を打ち出したものを新製品としてだせば、そこそこ売れるはずです。

美容面では例えば「ニキビ」の悩みは一定規模で毎年あります。この分野でのニーズもなくなることありません。ということは商品の需要もあるのです。

ですから、この分野のニーズに限定して商品を開発すれば、商品の水準が一定以上ならば売れないということはありません。マーケティングがうまくいけば大ヒットも期待できます。

これらの商品についてはニーズが明らかにあることがわかっているので、ニーズそのものについての調査は必要ありません。

調査するのは、いままで使っていた同種の商品についての感想や意見などを尋ねて、意見を反映させた商品を新製品としてだせば良いのです。

 

マスク・フェイスシールド

  • 今、明らかなニーズがあります

今、新型コロナウイルス感染症の影響で、マスクやフェイスシールドには明らかなニーズがあります。今この市場に参入すれば、まったく売れないということはないでしょう。

ただ、ニーズも多様化しているため、通常商品だと差別化が難しくなります。今後はデザインや色使いも工夫し、機能を満たすだけでなくファッション性にも考慮した商品であることが売れる条件となっていきます。

ただ、需要は当分なくなることはなく、利用頻度は以前より増えています。この市場に進出しても成功するチャンスは他の分野と比べれば高いと考えられます。

 

まとめ

プラダクトアウトとマーケットイン

  • プロダクトアウトとは

会社が作りたいものを商品化することです

  • プロダクトアウトの事例

ソニーウォークマン、QRコード決済サービス、空調服

 

  • マーケットインとは

ニーズを把握してから商品化することです

  • マーケットインの事例

ダイエット商品、健康・美容関連商品、マスク・フェイスシールドなどです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

中高年のフリーランスの中小企業診断士です。独立する前は家電量販店の店員をやってました。1970年代から1980年代の洋楽・ロック等をよく聴いています。