企業の内部留保が過去最高
財務相によると、企業の内部留保にあたる利益剰余金が過去最高になったそうです。
これだけちょっと見ると、「企業は会社内にお金を貯め込んでいる。ひどい。従業員や社会に還元すべき」と思う人も多いでしょう。
会計のことを勉強していないとそう思ってしまってもしかたがありません。
でも実はかなり違います。
新聞などでいっている内部留保は利益剰余金の額のことを言っていて、一般の人が思う内部留保は企業が現金・預金をため込んでいる状態を考えているからです。お金があり余っているなら、従業員の給料を高くしろ、社会に還元しろと思ってしまうからです。
そこで、今日は企業の内部留保、利益剰余金について書いていくことにします。
この記事を読むと、企業の内部留保と利益剰余金について概要がわかると思います。
Contents
中小企業診断士の視点:企業の内部留保にあたる利益剰余金が過去最高
記事の内容
|
この記事は中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
企業の内部留保は決算書の利益剰余金のこと
- 企業の内部留保は決算書の利益剰余金の額で示されています
企業の内部留保というのは、企業が実際に持っている現金・預金の額のことではありません。決算書の利益剰余金という項目名で示されている金額のことです。
利益剰余金とは
利益剰余金というのは大雑把にいうと、過去の純利益の内利益処分されないものが蓄積されたものです。
例えば、会社が5年間に亘って毎年1億円ずつ黒字を計上し、利益を処分していなかったら、利益剰余金が5億円増加するということです。
黒字を長年計上している会社なら、利益剰余金は積みあがっていくのが普通です。
ですから、KAZUTOYOは財務省の企業の利益剰余金が過去最高という発表でも、別に大して驚いたりしませんでした。まあ、蓄積された数値だからそうなるだろうな、というのが感想です。
利益剰余金(内部留保)の特徴
- 先にも書きましたが、利益剰余金(内部留保)は企業が保有している現金・預金額のことではありません
企業は利益剰余金を全て現金・預金で保有しているのではなく、土地や建物、設備投資などに使うのが普通です。実際は利益剰余金の資金を元にいろいろ投資しているのです。
たとえば、企業の発展のために利益剰余金の資金を元に一億円の土地を現金で購入したとします。
その場合の仕訳は、
(土地)1億円、(現金)1億円
となり、利益剰余金の額が減るわけではありません。だから積み上がった利益剰余金の額だけを見て、「お金を貯め込んでいる。けしからん。」というのは的外れです。
利益剰余金の決め方
その年の利益剰余金は株主総会を経てその額が決められます。
基本的に利益剰余金の処分は年一回行われる株主総会の結果を受けて、その仕訳が行われます。通常の日常業務とは違うので、それ以降は手をつけられることはありません。
ですから、利益剰余金の資金をもとに設備投資や土地の購入をしても、前のところでも書いたように利益剰余金勘定の金額が変化するわけではありませせん。
これは、簿記をやっている人でないとわからないかもしれません。
利益剰余金(内部留保)を減らす方法
- 利益剰余金を減らす方法は赤字になることです
利益剰余金は会社が赤字の場合はマイナスに向かうことになります。
また、株式会社では赤字でも株主配当する場合もあります。その場合は利益剰余金が積み上がっていて内部留保があることが条件です。(株主総会の決議が必要です)
利益剰余金を取り崩して対応します。
取り崩せば、利益剰余金は減少します。
まとめ
企業の内部留保というのは、企業が実際に持っている現金・預金の額のことではありません。利益剰余金という項目名で示されている金額のことです。
利益剰余金というのは大雑把にいうと、過去の純利益の内、利益処分されないものが蓄積されたものです。 黒字を長年計上している会社なら、利益剰余金は積みあがっていくのが普通です。
利益剰余金(内部留保)は企業が保有している実際の現金額・預金額のことではありません。
その年の利益剰余金は株主総会を経てその額が決められます。
利益剰余金を減らす方法は赤字になることです |