間違いだらけの会社選び
昭和の時代だったら、有名企業や一流と言われる企業に入社できたら、ほぼ安心でした。一生その会社が面倒を見てくれると思われていたからです。
実際その時代に生きてきて、ラッキーな方はなんとかギリギリセーフで一生を終われることができるのではないでしょうか。もちろん無事に定年を迎えられる方に言えることですが。
でも、最近の世の中を見ていると、環境変化は激しく、将来のことは容易に予測できません。
就職・転職を考えている人は、注意深く会社選びをする必要があります。
その際、こんな風にして会社を選ぶとリスクがあると思うことを書くことにします。
就職・転職を考えている方は、こんな考え方もあるのだというような感覚で読んでみて見てください。
Contents
中小企業診断士の視点:間違いだらけの会社選び
記事の内容
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この記事は転職経験もある中小企業診断士のKAZUTOYOが書いています。
会社のブランド・規模を重視して選ぶ
①仕事内容が自分に合っているかわからない
②簡単に退職できない ③規模が大きい会社は変化に即応できない |
①仕事内容が自分に合っているかわからない
- 自分に合っていない仕事は苦痛しかない
会社のブランド・規模を重視し、仕事内容について十分に調べておかないと、あとで後悔することになります。自分に合っていない仕事もあるからです。
例えば極端な例ですが、算数や数学がもともと苦手で文系の大学にいった人が、ブランド重視で大手の金融機関に入ったとします。でも金融機関は数字を扱います。しかも少しのミスも許されません。
そもそも数字を見るのも嫌なような人が、そんな仕事をしていて楽しいはずがありません。毎日が苦痛の連続となります。やりたくない仕事はどうしても心理的に頑張れないので、実力も身に付きません。
昔だったら、なんとか定年まで我慢しようという選択もあったのかもしれませんが、今はそんなのんきな時代ではないのです。
能力がないとなれば、会社は平気でリストラ要員と判断します。
すくなくとも自分のやりたくない仕事は選ばないようにすることです。
②簡単に退職できない
- せっかくのブランドなので手放したくない
簡単に退職できない、という意味は会社が離さないという意味ではありません。せっかく苦労して手に入れたブランドのある会社なので、退職することに関して自分自身にブレーキをかけてしまうということです。
毎日辞めたいと思っていても、一度やめてしまったら、同じようなブランドを持つ会社にはほぼ入ることはできないとなると、なかなか簡単に決断できません。
辞めたい辞めたいと思いつつ、不本意ながらずるずると会社にいることになります。(まあ、リストラされずにずっといられればまだ良いのですが。)
ただ、あまり幸せではないような気がします。
KAZUTOYOの知り合いは、ある大手の有名企業に勤めていましたが、思い切って途中で転職しています。転職先は、有名ではない企業です。
娘さんがいたのですが、「結婚式では、大手の有名企業に勤務しているお父さんとして紹介したかった」と言っています。そのように、家族の思いもあるのです。
③規模が大きい会社は変化に即応できない
- 大きい会社はなかなか変われません
規模の大きな会社はなかなか変化できません。組織内にもいろいろなしがらみがあります。
例えば、間接部門をアウトソーシングするのが良いと解っていても、間接部門にいる人達は職がなくなるので、当然反対することになります。
そんなことが、至る所に起こるため改革しようとしても、調整がつかず進展しないのです。当然環境の変化に対応するのも遅くなります。
ちょっと前に話題になった元ニッサンの社長だったゴーンさんも、結局内部ではどうしても改革できないので、助っ人として来てもらったのです。
その結果、まずニッサンでは座間工場を閉鎖することになったのです。反対も相当あったのです。
でも結局、座間工場を閉鎖して良かったのです。
規模が大きくなると、なかなか自分では変化できません。その結果環境変化についていけなくなるのです。
自分の好きな事業をしている会社を選ぶ
①事業を客観的に見られない
②事業の将来性は予測が困難 ③企業の合併・買収、事業譲渡もありえる |
①事業を客観的に見られない
- 自分の好きな事業は、どうしても贔屓目に見てしまいます。
例えば、車が好きな人は、自動車産業の会社に入りたくなります。そのような人は自動車の将来予想をどうしても贔屓目にみる傾向があります。
KAZUTOYOは自動車にあまり興味がないので、客観的に見ることができると思っています。
客観的に見ると、自動車産業は、これからかつてのオーディオ産業のようになっていく可能性が高いと思っています。大変革期になると考えています。
例えば、オーディオはアナログからデジタルになることで、大きな変革を向かえることになりました。
分かりやすい例は、音楽を聴くメディアがレコードからCDになった時のことです。
レコードプレーヤーを作っていた会社、レコード針を作っていた会社は変革をしないといけないことになりました。
レコードプレーヤーを作っていた音響メーカーの多くはCDプレーヤーを作ることで対応できました。
ですが、レコード針を作っていた会社は変革するのは困難だったのです。
レコード針での国内企業のトップはナガオカという会社でした。レコード針は消耗品なので、KAZUTOYOも定期的にナガオカ製のレコード針を買っていたのです。
でも、KAZUTOYOもレコードではなく、CDに乗り換えたのでレコード針を購入することはなくなりました。
家にオーディオ装置がある人の多くはKAZUTOYOと同じような行動をとったはずです。
そしてナガオカはいっきょにお客がいなくなったのです。
ナガオカはいまでも存続しレコード針を作っていますが、需要層はごく限られたマニアになります。いままでのように広く多くの人が定期的にレコード針を購入する、ということはなくなったのです。
KAZUTOYOはこのようなことが、自動車産業に起こると考えています。
音楽の世界でレコードからCDに変化したのは、音楽が記録されていて再生できるのなら、別に何でもよかったからです。CDはより便利に再生できるので、そちらを選択しただけなのです。
自動車産業もそうなると思います。
自動車は人や物資を運ぶのが、主な機能です。その機能さえ果たせればなんでも良いのです。
動力はエンジンでもハイブリッドでも電気でもなんでも良いのです。また、機能をはたしてくれれば自分が車を所有しなくても良いのです。
音楽と同じです。CDをもっていなくても、いつでも聴ける配信で良いのです。
ホリエモンも自動車産業の崩壊を予想しています。(音声注意)
②事業の将来性は予測が困難
- 世の中の変化が激しく、競争は同業者だけではないのです
事業の将来性の予測は困難です。同業他社だけが相手でなく、競争が複雑化しているからです。
例えば、最近、カメラメーカーの業績が良くないようです。目立つのはニコンです。
ニコンはカメラ専業のイメージが強いですが、ニコンの業績は右肩下がりで悪くなっています。
理由はカメラが売れないからです。
売れなくなった理由は、明らかでです。普通に写真を撮るのだったら、わざわざカメラを購入しなくてもスマホのカメラで十分だからです。
多くの人がそう思って、「別にカメラいらないよね」となって、今まで小型カメラを購入していた層がカメラを買わなくなっているのです。スマホのカメラも性能がかなり良くなっているので、余計にそうなります。
どこから敵がくるのかわからない世の中になっているのです。
書店などもそうです。例えば、今までA書店で本を買っていた人が、A書店で本を買わなくなっているのです。競合店Bが近くにできたのではありません。もうお分かりかと思いますが、アマゾン等のインターネット書店で購入するようになったからです。
古着店もそうです。いままで古着店で買い取りをしてもらっていた人がメルカリを使って個人的に売買を行うようになったからです。
世の中はどんどん変化しています。その変化は激しいので将来の予想をするのは難しのです。従来のビジネスモデルがいつ通用しなくなるのかわからないのです。
③企業の合併・買収、事業譲渡もありえる
- 好きな事業にずっと携われるのかはわかりません
今のご時世、会社がずっと安泰であると考えることはできません。入った会社が、将来合併・買収されることもあるでしょう。事業を譲渡することもあるかもしれません。
ですから、その会社のやっている事業が好きで入ってもずっとその事業に携わっていけるのかどうかは分からないのです。
例えば、ビクターとケンウッドは合併していますし、サンヨーはパナソニックと合併しています。
まだ、電気関連の仕事だったら良い方です。会社が新規事業を立ち上げ、そちらに行かされる可能性もあります。
例えば、ソニーなどは子会社で保険とか金融事業もやっています。
そのような世の中です。ずっと同じ事業の仕事に携われるようなことは望めなくなっています。
どうしても、同じ事業がやりたいのなら自分で会社を興してやるのがよいでしょう。
まとめ
中小企業診断士の視点:間違いだらけの会社選び 会社のブランド・規模を重視して選ぶ
自分に合っていない仕事は苦痛でしかありません。
せっかくのブランドなので手放したくないと自分にブレーキがかかり、決断ができにくいのです。
大きい会社はなかなか変われません。 自分の好きな事業をしている会社を選ぶ
自分の好きな事業は、どうしても贔屓目に見てしまいます。
世の中の変化が激しく、競争は同業者だけではないのです。事業の将来性の予測は困難です。業業他社だけが相手でなく、競争が複雑化しているからです。
好きな事業にずっと携われるのかはわかりません |